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愛知県高浜市議の柴口さんと台湾人パートナーの劉さんが台湾で婚姻届を提出し、受理されました

2023年08月22日

 愛知県高浜市議の柴口征寛(しばぐちまさひろ)さんと台湾人の同性パートナー・劉霊均(リュウ・レイキン)さんが、台湾の戸政事務所に婚姻届を提出し、受理されました(おめでとうございます!)


 柴口征寛さんは今年4月の統一地方選挙で、愛知県高浜市議に立候補しました。毎日新聞によると、告示された4月16日、「私は今まで同性愛者であることを隠して生きてきました。しかし彼に出会い、オープンにすることの勇気を与えられました」と聴衆に語りました。柴口さんの隣には劉霊均さんが寄り添っていました。支援者の方たちはレインボーフラッグを振って応援してくれました。
 小学生のときに自身がゲイであると自覚した柴口さんは、差別や偏見があるなか「どう思われるか」との不安から、両親や友人、会社の同僚にもカミングアウトはできませんでした。しかし、2年前に劉さんと出会い、考えが変わったといいます。劉さんは大学の非常勤講師で、ゲイであることをオープンにしながら人権問題に取り組んできた方でした(昨年のコロラド州「club Q」銃撃事件追悼集会にもわざわざ足を運び、スピーチしています)。その年の4月、高浜市で「パートナーシップ宣誓制度」が始まり、お二人はその第1号カップルとなりました。これを機に、柴口さんはゲイであることを初めて周囲にカムアウトしました。
 半年後、柴口さんは7期28年務めた共産市議の後継として出馬を決意しましたが、劉さんは、自身が差別を受けた経験から「同じつらい思いをさせたくない」と反対、しかし、柴口さんの意思は変わりませんでした。
 昨年秋、愛知県議がSNSで「同性婚なんて気持ち悪い」と投稿して波紋を呼び、劉さんは謝罪を求める署名活動を展開するなかで「気持ち悪いと言われている人はここにいて、闘っている」と思い、柴口さんの出馬に理解を示すようになったそうです。
 高浜市での選挙の街宣車にはレインボーフラッグを掲げ、選挙ビラには「同性パートナーと同居」と明記しました。そうした行動に否定的な声も一部で上がり、ポスターを燃やされる被害もあったそうですが、柴口さんは「不安を抱える性的少数者の人たちに希望を持ってほしい」とひるまなかったそうです。そうして見事に市議に当選し、柴口市議は「差別や偏見がなく暮らせる社会になるよう、その一歩として、議員として活動していきたい」と決意したそうです。

 そんな感動的な選挙を経験し、共に苦労を分かち合ってきたお二人は、8月11日、台北市大同区戸政事務所で婚姻登録をして、台湾の法律に認められる配偶者となりました。
 台湾メディアは同性パートナーと結婚した日本の政治家は極めて珍しいと伝えています。
 柴口さんは「私はたまたま相手の国(台湾)が同性婚を認めているから手続きができた。日本でも(法制化の動きが)広まってほしい」と語りました。
 劉さんは中央社の取材に「私はこの国に見捨てられておらず、故郷は私の存在を支持してくれているように感じた」と語りました。 
 
 台湾では2019年に同性婚法が施行され、婚姻平等が実現しましたが、当初、外国人との結婚については相手が同性婚承認国の人であることを条件としており、台湾とマカオ籍のゲイカップル台湾と日本のゲイカップルなどが裁判を起こし、いずれも勝訴し、結婚が認められていました。今年1月、台湾内政部(内務省)が(中国籍を除き)同性婚を承認していない国の人であっても婚姻届を受理するよう各県市に通知を出し、晴れて国際同性婚が認められるようになりました(詳細はこちら

 『台湾同性婚法の誕生』の著者である鈴木賢明治大教授は、1月の国際同性婚実現の報を受けて、台湾での同性カップルの婚姻が1万組の大台に乗ることを紹介しながら、「結婚における性の平等はすっかり社会に定着し、受け入れられているようです。伝統的家族は崩壊していません。さて、日本はいつ差別を止めるのでしょうか? 今年? 来年? 5年後?」とコメントしています。
 日本でも、人口カバー率で7割を超える自治体が同性パートナーシップも婚姻に相当すると承認し、各種世論調査でも同性婚への賛成は高い割合を示し、経済界なども早く同性婚を認めよと提言しており、社会はすでに同性婚を受け容れる方向に変わっています。「結婚の自由をすべての人に」訴訟でも5ヵ所中4ヵ所で違憲判決が出ており、いずれも国会での法制化に向けた議論を要請しています。
 私たちは、ただパートナーが同性であるというだけで婚姻制度から排除され、「いざ」という時に配偶者として扱ってもらえず、理不尽な…悲しみに追い討ちをかけるような思いを味わい、泣いています。「愛する人と結婚したい」という願いが叶えられないまま亡くなってしまう方も…。
 今回のお二人の結婚には、そういう日本の現状をなんとかしたい、一日も早く日本での婚姻平等が実現してほしいという願いが込められているように感じられます。
   
 

参考記事:
愛知・高浜市議、台湾人パートナーと同性婚 台湾で届け出受理(共同通信)
https://mainichi.jp/articles/20230821/k00/00m/040/254000c
台湾と日本の同性カップルが結婚 「自分の存在が故郷から支持された」(フォーカス台湾)
https://japan.focustaiwan.tw/society/202308210003

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