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香港最高裁が、同性カップルの権利を保障する法的枠組がないのは違憲だとする判断を示し、同性パートナー法の整備を香港政府に求めました

2023年09月05日

 香港終審法院(最高裁)は5日、同性婚が認められないのは香港基本法(憲法に相当)などに違反するとの訴えについて、香港政府が同性カップルの法的権利を何も保障していないのは違法な状態だとする判決を下しました。同性婚自体は認めなかった(香港基本法が保障する結婚の自由は異性間の結婚にのみ適用されるとした)ものの、同性カップルが承認に値しない下層階級に属するといった感覚を払拭するためにも法的承認を与える「代替的な枠組み」が必要だとして、香港政府に対し、2年以内に何らかの対応を行なうよう求めました。裁判官5人のうち3人が、同性カップルに権利を認める同性パートナー法などの代替的な枠組みがつくられるべきだとの考えを示したそうです。
 香港で最高裁が同性婚について直接判断したのは初めてです。
 香港政府からは今のところコメントは得られていません。

 香港終審法院(最高裁)は2019年、海外で英国人と同性結婚した香港政府職員が異性婚と同等に税制上の優遇措置などが認められるべきだと訴えていたことに対し、「合理的な理由なく異性婚と差別的な待遇をする根拠はない」と結論づけ、異性婚と同等の権利を保障すべきだとする判決を出しています(詳細はこちら)。今回の判決は、こうした流れの上にあると言えます(同性婚を認めなかったのは残念ですが)

 PinkNewsによると、今回の訴えを起こしたのは、沙田区議の岑子杰さん(Jimmy Sham Tsz-kit)で、彼は10年前にニューヨークで同性パートナーと結婚し、2018年、海外での同性婚を香港でも認めるよう最初の司法への訴えを起こしました。下級審は2020年9月と2022年8月に、その訴えを却下しましたが、その後、最高裁への上告が認められました。彼は、同性婚できないことは、結婚「より劣っている」とのメッセージを送ることにほかならない、平等権を侵害している、違憲だと訴えてきました。

 台湾の同性婚に関するオーソリティである鈴木賢明治大教授はX(twitter)で、「海外で同性婚した香港の民主活動家・岑子杰さんが香港で婚姻の効力を認めないことを香港基本法、人権条例に反するとして提訴。終審法院が何らの法的保護も与えない法を違憲と判断。香港も先へ行きそう!」とコメントしています。
 
 SNSでは、「一国二制度」で香港が中国本土と異なる法体系になっているとはいえ、中国政府に実質的に支配されている状況で、議会が同性パートナー法を承認するかというと、難しいのではないか…しかし、最高裁が同性カップルの権利が何ら保障されていないのは違憲だとの判断を示した意義は大きい、香港社会にいい影響を与えるはず、といったコメントが寄せられています。
 今後の行方を見守りましょう。

 

参考記事:
香港最高裁、同性婚は認めず カップル向け代替法的枠組みを要請(ロイター)
https://jp.reuters.com/article/hongkong-lgbt-idJPKBN30B0RT
同性カップルに法枠組みを 香港最高裁、婚姻は認めず(共同通信)
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/785945
香港最高裁、同性カップルの権利認める枠組みの設置を命令(CNN)
https://www.cnn.co.jp/world/35208693.html
Hong Kong government ordered to recognise same-sex partnerships(PinkNews)
https://www.thepinknews.com/2023/09/05/hong-kong-same-sex-partnerships-legal-recognition-lgbtq-marriage/

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