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【同性パートナーシップ証明制度】北海道幕別町、福井県敦賀市・小浜市、広島県府中市、香川県が導入へ

2023年09月10日

 北海道幕別町の町議会で飯田晴義町長が「来年度中に制度運用開始を予定している」と答えたことがわかりました。
 こちらのニュースでお伝えしていたように、北海道新聞が道内全179市町村長を対象に同性パートナーシップ証明制度導入について行なったアンケートで、十勝管内では約3分の1に相当する6自治体(音更、幕別、池田、豊頃の4町のほか、匿名希望の2自治体)が「導入予定、または検討中」と回答、そのなかで幕別町は導入の理由について「多様性を認め合い、ひとりひとりが社会の対等な構成員として参画し、活躍できる地域社会にするため」と回答していました。

【追記】2023.9.11
 これは同性パートナーシップ証明制度ではないのですが、北海道新聞によると、札幌市が来年度、障害の有無や文化の違い、年齢、性別、SOGIにかかわらず、誰もが多様性を尊重する共生社会の実現に向けた理念を行政と市民、事業者が共有するための「共生社会推進条例(仮称)」を制定する考えを示しました。東京都が五輪に向けて人権尊重条例を制定したのと同様、2030年冬季五輪・パラリンピック招致を見据えた動きです。11日に庁内の関係部署が横断的に議論する「ユニバーサル推進本部」が発足し、初会合が開かれました。LGBTQや障害者、有識者らによる委員会を11月にも立ち上げ、庁内外での議論を経て条例制定を目指すそうです。 

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 栃木県は、「パートナーシップ宣誓制度」の導入から1年が経ったものの、先行県に比べて認知度が低いという課題もあることから、1日から15日まで県庁昭和館をレインボーカラーにライトアップするのをはじめ、制度について啓発活動を行なうこととしました。
 栃木県でこの1年に制度を利用し、パートナーシップ宣誓を行なったカップルは計14組で、県とは別に独自に制度を設ける9市町でも計12組が宣誓しています。先行する茨城県では制度開始から1年で33組、群馬県では20組ほどが宣誓したそうですが、県人権施策推進室の担当者は「制度が知れ渡っていない可能性がある。宣誓しやすい環境をつくるために、性の多様性への県民の理解を促進する必要がある」と話しています。
 啓発事業として県は今月、県庁昭和館を性の多様性を象徴するレインボーカラーにライトアップするという初の試みを実施しています。県庁前では通行人らが足を止め、色鮮やかに照らし出された光景に見入っているそうです。また、昨年度まで県職員や医療・福祉関係者向けに開いていた研修会は、対象を企業経営者や従業員に広げて実施します。人材会社などの担当者が「多様性を組織の力に変えるために現場で必要なこと」などをテーマに講義し、動画配信します。県内の事業所に啓発ポスター掲示も呼びかけ、制度への賛同の輪を広げ、宣誓カップルへの民間サービスの拡充にもつなげていくそうです。

県庁昭和館 レインボーカラー・ライトアップ
実施日時:9月1日〜15日 18時-21時

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 新潟県では、新潟市が2020年にいち早く(北陸で初めて)制度を導入したものの、県としてはまだです。隣接する富山県、長野県、群馬県などは導入済みで、山形県も「導入に向けて前向きな姿勢」です。
 県は今年、性的マイノリティへの理解度や制度の必要性に関する県民意識調査を実施したそうです。男女平等・共同参画推進室は「現在、調査結果を精査中で、導入が必要かどうかも含めて施策を探る」としています。
 新潟市が拠点の当事者団体「LGBTQここラテにいがた」代表のあやかさんは「県内は当事者が集まれる場所が少なく、情報も届きにくいのが実情。孤独感や生きづらさを抱え、東京など県外に出た人も多い」と語り、制度について「自治体との連携や周知活動をどのようにやっていくのか不安はあるが、県でやってもらえたらいちばんいい」と語っています。
 
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 今年3月「パートナーシップ宣誓制度」を導入した富山県は、茨城県との間で連携協定を結び、引っ越した際の手続きの簡略化を図りました。県の県民生活課は「より多くの人が制度を利用しやすい環境を整え連携の拡大も検討していきたい」としています。
 
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 福井県敦賀市は1日、「パートナーシップ宣誓制度」を秋頃をめどに導入すると発表しました。米沢光治市長が、記者会見で明らかにしました。市長は「性的指向によって生活や行政サービスに不便があってはならない。啓発活動に取り組み、市民の理解も深めていきたい」と述べました。

 同じく福井県の小浜市も8日、「パートナーシップ宣誓制度」を、この秋をめどに導入する方針を示しました。四方宏和企画部次長は、杉本達治県知事が秋をめどに制度を導入すると表明したことを踏まえ、「県と同じ時期の運用開始に向けて検討を進めている」と述べました。庁内に関係課による検討会を設置し、どのような行政サービスを提供するのか検討中だそうです。

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 広島県府中市は10月から「パートナーシップ宣誓制度」を導入します。県内では9例目です。
 宣誓したカップルは、市営住宅や市内の県営住宅に一緒に入居できるほか、保険金の請求などに使う「救急搬送証明書」の交付の代理申請などもできるようになります。
 市総務課課は「多様性を認め合い暮らしやすいまちづくりの一歩にしたい」としています。

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 香川県が「パートナーシップ宣誓制度」を導入する方針を固めました。香川県内では、すでに全ての市と町で導入されていますが、今年7月に県内の団体から要望があり、また、今年5月から6月に行なった県政世論調査の結果を踏まえ、県としての制度導入を決めたそうです。開始時期や具体的な内容については近く発表されます。
 香川県の池田豊人知事は、「いろんな立場や考え方のある人が不当な差別であったり、住んでいく上で困るようなことがあったりする、こういったことをなくしていかないといけないと思いますので、必要なことを今後考えていきたい」と記者会見で語りました。

【追記】2023.9.11
 共同通信によると、香川県の池田豊人知事は11日、10月1日に「パートナーシップ宣誓制度」導入することを明らかにしました。 
 これまでは当事者が市町をまたいで転居する際は再申請する必要がありましたが、県は今後、市町と協議を進め、手続きの簡略化を図る考えです。なお、県としては宣誓受領証(パートナーシップ証明書)の交付は行なわないそうです。(手元に証明書を持っておきたい方は県ではなく、お住まいの市町で手続きしたほうがよさそうですね…)


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 九州では福岡、佐賀両県で制度を導入済みですが、長崎県も「可否を含めて検討している」そうです。
 県内で性的少数者の支援や啓発活動に取り組む「Take it!虹」代表の儀間由里香さんは「県全域でできると大きい」と語っています。

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 熊本市の大西一史市長は9月6日の市議会で「パートナーシップ宣誓制度」の改善を検討することを明らかにしました。
 熊本市では2019年から制度が導入されましたが、宣誓に必要な書類のなかに、通常の婚姻には必要ない「独身証明書」が含まれており、市議から「異性のカップルの場合は不要な独身証明書を求めるのは差別的ではないか」との指摘を受けていました。大西市長は、「他都市では独身であることを戸籍謄本で確認しているところもある。今後は当事者の意見を参考にし、改善していきたい」「差別的な感じがして嫌だとかがある場合には適宜見直していくことは行政の姿勢として重要だと思いますので、そういったことにはこれからも最大限配慮しながら、差別感情を持たれないように制度を成熟させていきたい」と述べました。
 
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参考記事:
パートナーシップ制度 来年度中の運用を予定 幕別一般質問(十勝毎日新聞)
https://kachimai.jp/article/index.php?no=592987

パートナーシップ導入から1年 栃木県制度に14組が宣誓 性の多様性理解へ周知強化(下野新聞)
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/788159
虹色に輝く県庁昭和館 性の多様性への理解深めて 15日までライトアップ(下野新聞)
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/784559

増える「パートナーシップ制度」導入の都道府県、新潟県は未整備…LGBTQが生きやすい社会とは? 県外の事例や、当事者の声から見えるものは?(新潟日報)
https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/277119

「パートナーシップ宣誓制度」引っ越し時の手続きの簡略化(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/toyama/20230906/3060014274.html
転居後も「宣誓」容認 富山県と茨城県 パートナーシップ協定(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/765613

パートナーシップ宣誓制度 敦賀市も秋めどに導入へ(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/761230?rct=fukui

パートナーシップ宣誓制度、今秋導入の方針 小浜市(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/766118?rct=fukui

府中市、「パートナーシップ宣誓制度」を10月に導入 性的少数者のカップルを公認(中国新聞)
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/356435

【独自】香川県がパートナーシップ宣誓制度導入へ 県単位では四国初 当事者団体の要望など受け方針固める(KSB瀬戸内海放送)
https://news.ksb.co.jp/article/14999495

長崎市のパートナー制度 県内初導入から4年 各地で取り組み広がるも、残るLGBT法への懸念(長崎新聞)
https://www.nagasaki-np.co.jp/kijis/?kijiid=1070517563932312171

大西熊本市長 性的マイノリティーのカップルを対象にした宣誓制度 改善する考え(熊本テレビ)
https://www.tku.co.jp/news/?news_id=20230906-00000011
『性的マイノリティ』の “パートナーシップ宣誓制度” の改善を検討 熊本市(熊本放送)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/704612?display=1
「独身証明書の提出義務付けは差別」パートナーシップ宣誓制度の申請手続き見直し検討(熊本県民テレビ)
https://www.kkt.jp/nnn/sp/news100bn0i224ojy34d077.html


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