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（『シアター・キャンプ』より）

すっかり秋めいてきましたね。絶好のお出かけシーズン到来！ということで、週末は映画館や劇場、ギャラリーにお出かけする方も多いと思います。そんな今月は、映画もいろいろありますが、「きのう何食べた？」season2などのドラマの放送・配信もたくさんあります。というわけで、LGBTQに関連する様々な映画・ドラマの情報をまとめてお伝えします。
ちなみに10月1日はファーストデー。各館1100円〜1200円で映画を観ることができます（特別上映等を除く）。『ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇』なども上映中です。
（最終更新日：2023年10月27日）


10月1日より放送
『NCIS：ハワイ』シーズン2

　全米でシーズン19が放送中で、世界で最も成功したTVシリーズと言われる「NCIS ネイビー犯罪捜査班」のスピンオフ第3弾『NCIS：ハワイ』シーズン2は、「LGBTQエージェントが登場」と見出しでバーンと打ち出しているところがスゴいです。
 「NCIS ネイビー犯罪捜査班」は、米海軍や海兵隊の将兵が関わる事件を扱う海軍犯罪捜査局（Naval Criminal Investigative Service=NCIS）のワシントンDC本部を舞台にした犯罪捜査ドラマで、他の映画やドラマ、また実在の事件などをネタにしたパロディ的な要素が多いのが特徴です。2003年から放送が続いている長寿ドラマで、『NCIS：LA 極秘潜入捜査班』『NCIS: ハワイ』などのスピンオフも生み出しています。
　今回放送される『NCIS：ハワイ』シーズン2では、ルーシー・タラというNCISパールハーバー支局で最も若い捜査官が登場し、FBIの特別捜査官のケイト・ウィスラーと過去につきあっていたことが明らかにされるようです。
　
＜あらすじ＞
かつて自分を逮捕したワシントンDCのパーカー捜査官を陥れた、服役囚のハーマン・マックスウェル。実は信奉者らとともにDCの街に毒をばら撒こうとした「レイヴン（大鴉）」だったマックスウェルは、まんまと脱獄してプライベートジェットでハワイへ逃亡。ジェシーとカイがハワイの飛行場に急行するが、マックスウェルはすでに姿を消しており、同乗していた信奉者たちは神経ガスで殺されていた。マックスウェルがわざわざハワイへ来たのは新たなテロを行なうためだと考えたテナントたちは、DCからやってきたニック・トーレスらとともにホテルのバーでマックスウェルを発見するが…。

『NCIS：ハワイ』シーズン2
Super!dramaTV
10月1日（日）二ヵ国語版10:00～、字幕版20：00～ 放送スタート
※シーズン2（全22話）から最初の6話がキャッチアップ放送されます
※視聴方法はこちら




10月2日より配信
ドリームランド 渚の四姉妹

　シンガーソングライターとして世界的人気を集めるリリー・アレンとドラマ「ドクター・フー」のフリーマ・アジェマンが主演を務める本作は、英国アカデミー賞（BAFTA）テレビ部門でベスト短編番組を受賞したコメディを長編ドラマ化した作品。パリのファッション業界で働いていたが突然帰郷する次女のメルをドラマ初主演のアレン、長女のトリッシュをアジェマンが演じます。作品には、不倫・妊娠・姉妹関係・性的指向・自己実現といったテーマが盛り込まれているそうです。

＜あらすじ＞
イングランド南東部ケント州にある海辺の町・マーゲイト。父親の存在なしに女だけで互いに協力し生きてきたオサリヴァン一家の長女トリッシュは、夫スペンスとの間に3人目の子を妊娠中だが、女の子を待ち望むあまり、先走ってピンク色がテーマカラーのベビーシャワーを開く。そんなとき、パリで暮らしていた次女のメルが突然マーゲイトに戻ってくることに。一家の“はみ出し者”的存在のメルは、さっそくトリッシュと衝突し、家族に緊張が走る…。

ドリームランド 渚の四姉妹
【配信】
スターチャンネルEX
毎週月曜に1話ずつ更新
10月2日（月）スタート
【放送】
BS10 スターチャンネル1
毎週火曜23:00～ほか
11月7日（火）スタート
※11月5日（日）13:00～ 吹替版第1話無料放送
BS10 スターチャンネル3
毎週金曜22:00～ほか　
11月10日（金）スタート




10月6日放送開始
きのう何食べた？ season2

　こちらでお伝えしていたように、ドラマ『きのう何食べた？』のシーズン2がいよいよ10月6日から放送されます。2019年4月に放送されるや、原作の再現度の高さもあいまって世間でもゲイコミュニティでもたいへんな評判を呼び、ドラマアカデミー賞で4冠を達成、ギャラクシー賞7月度月間賞を受賞、東京ドラマアウォードの優秀賞を受賞し、お正月スペシャルも放送され、2021年には映画化もされた作品で、続編が待望されていました。その期待に応え、主要なキャストがみなさん揃って登場します。アラフィフに突入したシロさんとケンジの日常が描かれます。

＜あらすじ＞
小さな弁護士事務所で働く雇われ弁護士・筧史朗と、美容師・矢吹賢二。二人はお互いを「シロさん」「ケンジ」と呼び合うカップル。史朗の日課は、定時に事務所を出た後に近所の安売りスーパーへ向かうこと。お買い得な食材を素早く吟味しながら、頭の中で瞬時に夕食の献立を組み立てていく。月の食費を2万5千円以内に抑えるのが史朗にとっての重要な課題……だが、いよいよ限界が近づき、値上げを考え始める。さらに、それぞれの勤務先や、男二人暮らしにも徐々に変化が起きてきて……。

きのう何食べた？ season2
テレビ東京系
毎週金曜24:12〜
10月6日放送スタート



10月6日公開
シアター・キャンプ

　演劇スクールの存続をかけて新作ミュージカルの上演に挑む人々の奮闘をモキュメンタリー形式で描いたコメディドラマ。2003年製作の『キャンプ』という映画によく似ていて、ミュージカル俳優養成のためのサマー・キャンプのお話です。『フェーム』にせよ『コーラスライン』にせよ、ミュージカルスターを目指す若者たちの群像劇にはゲイが欠かせませんよね。この作品もきっと…と思っていたら、こちらのレビューで『ディア・エヴァン・ハンセン』のベン・プラットがゲイの教師として登場するほか、クセが強いゲイの教師たちも登場すると紹介されていました（ベン・プラットと婚約したノア・ガルビン？）。『RENT/レント』やボブ・フォッシーへのオマージュも捧げられているそうで、ミュージカルファンなら何倍も楽しめそうです。俳優モリー・ゴードン（『ブックスマート　卒業前夜のパーティーデビュー』など）が共同監督と主演を務めています。2023年サンダンス映画祭でUSドラマチック審査員特別アンサンブルキャスト賞を受賞しています。　
　
＜あらすじ＞
ニューヨーク州北部の湖畔にある演劇スクール「アディロンド・アクト」では、ミュージカルスターを夢見る子どもたちを長年にわたり指導してきた。しかし今夏のキャンプ開校を前に校長が昏睡状態となり、演劇に無関心な息子トロイが跡を継ぐことに。経営状況は破綻寸前に陥っており、スクール存続のためには3週間後のキャンプ終了までに出資者の前で新作ミュージカルを披露しなければならない。一癖も二癖もある教師たちと自由奔放な子どもたちは、期限までに舞台を完成させるべく奮闘するが……。

シアター・キャンプ
原題：Theater Camp
2023年／米国／95分／G／監督：監督モリー・ゴードン、ニック・リーバーマン／出演：ノア・ガルビン、モリー・ゴードン、ベン・プラット、ジミー・タトロほか
2023年10月6日よりロードショー公開




10月17日より配信
WRECK／レック

　豪華客船サクラメント号で消息を絶った姉の真相を突き止めるために新人クルーとして乗船したジェイミーが刃物を持った着ぐるみアヒルさんに追い回されるスラッシャーコメディドラマです。2022年10月にBBC Threeで放送され、批評サイトのロッテントマトではオーディエンススコア96％という高評価を獲得しています（2023/9/14時点）。また、本作のクリエイター兼脚本家のライアン・J・ブラウンは「登場人物のセクシャリティに焦点を当ててはいないが、LGBTQ+のキャラクターを登場させることで、徹底的にクィアのDNAを投入した」と語っています。ライアン・J・ブラウンは今年、英国のゲイ雑誌『Attitude』の「世界を変えるLGBTQ先駆者101人」特集で、映画・テレビ・音楽部門の1人に選ばれています。

WRECK／レック
10月17日よりHuluで配信



10月19日より放送
ゆりあ先生の赤い糸

　2023年手塚治虫文化賞で頂点の「マンガ大賞」に輝いた入江喜和氏の「ゆりあ先生の赤い糸」（講談社）がドラマ化されます。菅野美穂さんが主演で、泥臭くも生き生きと躍動し始める、平凡だけど力強い主婦・ゆりあを演じます。「とてつもない底力を秘めた令和の新ヒロインが、鮮烈な新風を吹き込む」そうです。このドラマ、少々特殊なシチュエーションではありますが、男性どうしの恋が描かれています。夫の吾良を演じた田中哲司さんによると、吾良は40〜50代になってゲイに“目覚めた”んだそうです。吾良の恋人の美青年を演じるのは鈴鹿央士さんです。
　
＜あらすじ＞
ゆりあの夫・伊沢吾良は小説家で、一発当てた後は鳴かず飛ばずだったが、優しさは天下一品。常に穏やかで平和な空気を漂わせるが、その裏には長年連れ添ったゆりあですら、まったく想像の及ばなかった別の顔があった…。吾良が突然ホテルで昏倒し、意識不明の要介護状態に。その傍らには、泣きながら恋人だと名乗る美青年がいた…。

ゆりあ先生の赤い糸
テレ朝
毎週木曜21時〜 放送
10月19日（木）スタート




10月23日、26日、28日、31日上映　東京
レタブロ

　新宿K's cinemaにて10月21日〜～11月3日に開催される「ペルー映画祭 vol.2」で上映される作品です。LGBTQ映画として注目され、ベルリン国際映画祭でテディ新人賞を受賞しています。2018年のアカデミー賞で国際映画賞ペルー代表に選出されています。

＜あらすじ＞
ペルーの伝統的な民芸品であるレタブロ作りに励む青年は、父親が抱える悲痛な秘密を偶然知り、深い信仰心と伝統を守ろうとする生々しい現実と、想像以上に深い父親とのつながりに直面することになる…。

レタブロ
原題：Retablo
2017年|ペルー|102分|ケチュア語、スペイン語 |スペイン語字幕付
監督：アルバロ・デルガド・アパリシオ
出演：ジュニオール・ベハー・ロカ、アミエル・カジョ（『SAMYCHAY』）、マガリ・ソリエル（『悲しみのミルク』、『わたしはここにいる』）
日本初公開
10月23日（月）16:30-、26日（木）14:30-、28日（土）12:20-、31日（火）10:20-


　
10月25日、27日上映　東京
クイーンに沸いた夜

　新宿K's cinemaにて10月21日〜～11月3日に開催される「ペルー映画祭 vol.2」で上映される作品です。米国の人気リアリティ番組『ル・ポールのドラァグ・レース』でおなじみのドラァグクイーンたちが2017年、リマで公演を行ないました。そのパフォーマンスやメッセージは、保守的なペルーにどのように受け止められたのでしょうか？　ペルーの閉ざされたLGBTQコミュニティを大きく開花させ、新たな輝きへ第一歩を踏み出す様子が描かれます。

クイーンに沸いた夜
原題：Invasión Drag
2020年|ペルー|78分|スペイン語、英語|ドキュメンタリー
監督：アルベルト・カストロ・アンテサナ
出演 タニー･デ･ラ･リーヴァ、ジョージ・ハート
日本初公開
10月25日（水）12:20-、27日（金）16:35-



10月25日上映
異人たち

　1988年、大林宣彦監督、風間杜夫さん＆名取裕子さん主演の『異人たちとの夏』をご覧になった方もいらっしゃることでしょう。秋吉久美子さんと片岡鶴太郎さんが演じる絵に描いたような下町の両親の、なんと温かく、優しかったことか…。その原作小説である山田太一氏の小説「異人たちとの夏」を、『WEEKEND ウィークエンド』『Looking／ルッキング』のアンドリュー・ヘイ監督が映画化しました。劇場公開は2024年春の予定なのですが、東京国際映画祭で一足先に上映されることになりました。この新たな映画版は、原作のストーリーにアンドリュー・ヘイならではの脚色と演出が加えられた、現代の英国を舞台とした作品で、アンドリュー・スコット（『パレード』へようこそでゲイ書店の店主の役だった方）をはじめ、ポール・メスカル（『グラディエーター2』）、ジェイミー・ベル（『リトルダンサー』『ロケットマン』）、クレア・フォイ（『ザ・クラウン』）など英国やアイルランドが誇る名優たちが共演し、繊細かつリアリティに溢れ、胸を打つ切なさをたたえた演技を見せているそうです。
　
＜あらすじ＞
夜になると人の気配が遠のくロンドンのタワーマンションに一人で暮らす脚本家のアダム。同じマンションの謎めいた住人ハリーと出会ったことで、そのありふれた日常に変化が訪れる。ハリーとの関係が深まるにつれ、アダムは遠い子どもの頃の世界に引き戻され、12歳の時に交通事故で亡くなった両親が、そのままの姿で目の前に現れるようになる。想像もしなかった再会に、アダムは固く閉ざしていた心が解きほぐされるような思いを感じ、何ものにも代え難い安らぎの時を過ごすが、その先には思いもしない世界が広がっていた…。

異人たち
原題：All of Us Strangers
2023年／英国・米国／監督：アンドリュー・ヘイ
アジアン・プレミア
東京国際映画祭で10月25日（水）19:15-上映



10月28日～11月3日　東京
大いなる自由

　戦後のドイツの刑務所を舞台に、ゲイであるがゆえに何度となく収監され、自由や尊厳を奪われてきた主人公・ハンスの、極限状況での愛の物語。ハンスにとって「大いなる自由」とは…？（レビューはこちら）　第74回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の審査員賞を受賞。第30回レインボー・リール東京で上演後、今年一般公開されたドイツのゲイ映画です。下高井戸シネマで再び一般上映されます。見逃していた方はこの機会にぜひ。（ちなみに、下高井戸シネマは、最近までファスビンダー特集や『怪物』、『CLOSE/クロース』『青いカフタンの仕立て屋』など、今年話題になったクィア作品を軒並み再上映していて、スゴいです）

＜あらすじ＞
戦後ドイツ、同性愛者であることを理由にハンスは繰り返し刑務所へと送られる。当時、刑法175条によって男性同性愛が禁止されていたからだ。刑務所ですら「変態」と蔑まれるが、そんななかでも絶望することなく、愛する自由を探し求めていく…。

大いなる自由
英題：Great Freedom
原題：Große Freiheit
2021年／オーストリア＝ドイツ合作／116分／監督：セバスティアン・マイゼ
下高井戸シネマで10/28(土)～11/3(金)14:15～上映




10月29日　群馬県玉村町
世界は僕らに気づかない

　『フタリノセカイ』の飯塚監督が届けてくれた、近年稀に見る号泣必至の名作ゲイ映画 『世界は僕らに気づかない』が、群馬県玉村町で開催される「第1回たまむら映画祭」で上映されます。群馬のフィリピン系のゲイの高校生が主人公。ゲイで、ミックスルーツで、父親が家にいなくて、母親はフィリピンパブで働いていて、学校で容赦なくいじめられ…そんな生きづらさや苦しみ、やり場のない怒りを母親にぶつけながら、自分の手で父親を探したり、なんとか道を切り開こう、幸せを見つけようともがく姿を、限りなくヒューマンな眼差しで熱く描いた人間ドラマです。群馬県で初めて「パートナーシップ宣誓制度」を導入した大泉町（や隣接する太田市）が舞台で、おそらく「パートナーシップ宣誓制度」実現後の社会をリアルに描いた初めての長編商業映画でもあります。

＜あらすじ＞
群馬県に住む高校生の純悟は、フィリピンパブに勤めるフィリピン人の母親を持つ。父親のことは母親から何も聞かされておらず、ただ毎月振り込まれる養育費だけが父親との繋がりである。純悟には恋人の優助がいるが、優助からパートナーシップを結ぶことを望まれても、自分の生い立ちが引け目となり、なかなか決断に踏み込めずにいた。そんなある日、母親のレイナが再婚したいと、恋人を家に連れて来る。見知らぬ男と一緒に暮らすことを嫌がる純悟は、実の父親を探すことにするが…。

世界は僕らに気づかない
2022年／日本／112分／脚本・監督：飯塚花笑／出演：堀家一希、GOW、篠原雅史、村山朋果、岡田信浩、宮前隆行、田村菜穂、藤田あまね、鈴木咲莉、加藤亮佑、高野恭子、橘芳美、佐田佑慈、竹下かおり、小野孝弘、関幸治、岩谷健司、松永拓野ほか
10月29日(日)10:00～11:52、玉村町文化センター 小ホールにて上映