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米CDCがクラミジア・淋病・梅毒の曝露後予防薬を推奨

2023年10月04日

 クラミジア感染症と淋菌感染症(淋病)、梅毒の感染者が急増していることを受け、米疾病対策センター(CDC)は2日、曝露後予防(PEP)※として一般的な抗生物質を性行為後の内服薬として処方するよう医師に推奨することを提案しました。

※HIV感染予防のためにあらかじめ抗HIV薬を服用するのはPrEPですが、感染不安のある出来事(コンドームなしのセックスや針刺し事故など)の直後に抗HIV薬を服用することで感染を防ぐやり方を曝露後予防(PEP)と言います
 
 コンドームなしで性行為をしたゲイ・バイセクシュアル男性やトランスジェンダー女性を対象とする臨床試験で、PEPとしてドキシサイクリンを服用する「ドキシPEP」という方法によって各感染症の発症リスクが低減することが明らかになりました。
 広範囲に推奨すると耐性菌が増加する恐れがあることから、CDCのガイドラインでは、こうしたハイリスク群のみを対象とし、性行為後72時間以内にドキシサイクリン200ミリグラムを1錠、経口投与するよう推奨しています。
 
 米国のクラミジア、淋病、梅毒の感染者は約10年間右肩上がりで、2021年にはさらに感染が拡大し、250万人に達していることが背景にあります。PrEPが広まってコンドームの使用率が減少していることも理由の一つと見られていますが、他の要因として考えられるのが、PrEPを行なっている場合は3ヵ月ごとに健康診断を受けるよう推奨されているため、感染判明数が増加しているということです。さらに疫学上、感染者数が増えれば増えるほど感染が拡大しやすくなります。
 
 米国での臨床試験を主導した一人、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の医師で研究者のアニー・ルークマイヤー氏は、サンフランシスコとシアトルでゲイ・バイセクシュアル男性やトランスジェンダー女性を約500人募集して臨床試験を実施しました。3ヵ月ごとの確認で性感染症が約3分の2減少していたそうです。
 ドキシサイクリンの有効性はクラミジアと梅毒で非常に高く、いずれも約80%の減少が見られました。淋病は約55%減少したそうです。副作用はほとんど見られませんでした。
 ドキシサイクリンの服用が増えることで、特に突然変異が起こりやすい淋病で既存の抗生物質への耐性が生じることが懸念されています。しかし、初期段階の研究では懸念材料はないとされています。

 日本でも、早晩、PrEPが保険適用され、広く普及するでしょうし、そうなると、米国と同様、PrEPの普及によるクラミジアや淋病、梅毒の感染が拡大することも懸念されます。「ドキシPEP」の認可にも期待します。
 
 

参考記事:
米でも性感染症急増、性行為後の抗生物質服用推奨へ(AFPBB News)
https://sp.m.jiji.com/article/show/3063422

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