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【同性パートナーシップ証明制度】福井県が11月、神戸市が12月下旬に導入

2023年10月17日

 新潟県は同性パートナーシップ証明制度導入の是非を決める判断材料とするため、初めて性の多様性に関する県民意識調査を実施し、先月末にその結果を公表、66.2%が「必要」「やや必要」と回答したことが明らかになりました。この結果を受けて県議会で制度導入についての議論が行なわれました。
 9月28日の県議会代表質問では、自民党とリベラル新潟の県議がそれぞれ制度導入について質問し、花角知事は「今回の調査結果では県や市町村がパートナーシップ制度を導入することについて、7割に近い方が必要、または、やや必要と回答しており、その結果を尊重したい」「県としては今回の調査結果をはじめ議会での議論、県内外の先行事例などを踏まえ、今後の対応を検討したい」と答弁しました。
 新潟県では新潟市と三条市、長岡市ですでに制度が導入されていますが、県としても今後、検討を本格化させる考えです。
 
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 福井県の杉本達治知事は10月16日の記者会見で、「パートナーシップ宣誓制度」を11月に導入すると発表し、「できるだけ不都合を取り除けるように考えた。全ての県民が尊重し合う社会にしたい」と述べました。
「人生のパートナーとして協力し合うことを約束した関係である」との宣誓書などを提出すると、県が宣誓受領証(パートナーシップ証明書)を即日交付します。これにより、県営住宅への入居のほか、福井県立病院での面会、障害者の通院などに使う車の自動車税の減免措置などができるようになります。軽費老人ホームの利用料減額など、すでに受けられる19の行政サービスについては、受領証の提示で手続きを円滑化できるそうです。
 かずえちゃん(福井市)は「県として制度を導入することは本当にうれしい。これがゴールではなく、当事者が安心して窓口で手続きできる社会を目指すべき。県民全体として『LGBTQがいて当たり前』という意識を醸成していく必要がある」と話している。

 福井県内では越前、勝山、鯖江、あわらの4市が導入済みで、敦賀、小浜、坂井、永平寺の4市町も11月から導入します。福井市、大野市も導入を予定しています。
 昨年10月、県内で初めて「パートナーシップ宣誓制度」を導入した越前市では、宣誓したカップルは7組に上るそうです。中日新聞の報道によると、宣誓したカップルは「LGBTQへの理解が進んでいる」と喜びを見せるとともに、同性婚の法制化に向けた議論の活発化に期待を寄せているそうです。
 また、越前市での制度実現に貢献した越前市ダイバーシティ推進室の緒方祐さんが「すごい地方公務員アワード」を受賞しています。越前市は2015年・2016年のレインボーフェスタ!(関西レインボーパレード)にブース出展したり、2018年には同性パートナーを持つ職員に慶弔休暇を認める&職員の共済会が結婚祝い金等の支給対象とするという規則改正を行ない、2019年には広報誌でLGBTQを特集したり啓発パネル展示を実施、また、2021年の人権週間には市役所の大階段をレインボーカラーにデコレーションするなど、北陸のなかでは最も早くから熱心にLGBTQ支援の取組みを進めてきた自治体です。緒方さんが入庁した2014年当時、LGBTという言葉を知らない職員がほとんどで、「福井は保守的だから理解してもらうのは難しい」と言われていましたが、緒方さんはNPO法人などで活動を進めるとともに、その取組みをまとめたレポートが地方自治研究全国集会で優秀賞に選定されるなど、内外の評価を得て、役所に変化をもたらしていったそうです。

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 名古屋市など愛知県内の18市町が17日、「パートナーシップ宣誓制度」やファミリーシップ制度についての連携協定を結びました。転居時に宣誓書などを自治体に返す必要がなくなり、転居先での再申請でも添付書類を省略するなど、手続きの簡素化が図られます。
 豊田市や岡崎市、一宮市などで17日から運用を始めました。ファミリーシップ制度を導入する蒲郡市なども含みます。
 18市町は、名古屋、豊橋、岡崎、一宮、半田、春日井、豊川、豊田、西尾、蒲郡、新城、東海、大府、知立(11月頃連携開始)、日進、田原、長久手の各市と幸田町(12月1日開始)です。

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 神戸市は12月下旬にも性的マイノリティのカップルも婚姻と同様の関係であると証明する「ライフパートナー制度」を開始する方針を決めました。宣誓を行なうと宣誓受領証(パートナーシップ証明書)が交付されます。宣誓したカップルには市営住宅への入居などの行政サービスを適用する方向で調整しているそうです。
 カップルのどちらかが市内居住またはその予定があることが条件で、事実婚カップルも利用できます。
 市は10月下旬からパブリックコメント(意見公募)を実施し、12月下旬に制度を始める予定です。
 兵庫県によると、県内ではすでに15市町が制度を導入しています。

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 山口市では今年GWに初のプライドパレードが開催された後、伊藤和貴市長が「パートナーシップ宣誓制度」の導入を発表し、制度の中身について検討が進められてきました。
 山口市議会の入江幸江議長は4日、伊藤市長に意見書を提出し、2023年7月に市人権施策推進審議会で示された「パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱(素案)」を基に制度を創設するよう求めました。意見書には、当事者の要望を踏まえ、将来的に他自治体との連携に向け調整を進めることや、市民の意見を広く聴くことなどが盛り込まれています。
 伊藤市長は「市議会からの要請を受けて検討を始め、LGBTQなどの当事者の意見もいただいてきた。宇部市などの先行事例も参考にしながら、より良い制度にしたい」「意見書を踏まえながら来年4月の施行に向けて進めてまいりたい」と述べました。
 入江議長は取材に対し、「ここに至るまでに、長い時間がかかった。同僚議員たちは学び、一緒に勉強し、この結果になった」「議員からは、施行後も状況に応じて柔軟に見直したいという姿勢を評価する声や賛否ある制度であることから広く市民に周知してほしいと意見があった」と語りました。
 今後、11月にパブリックコメント(意見公募)が実施され、来年1月の市人権施策推進審議会に最終案が示されるそうです。

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 長崎県諫早市に「パートナーシップ宣誓制度」の導入を求め、諫早市出身の当事者らが10日、市に要望書を、市議会に請願書を提出しました。
 提出したのは、藤山裕太郎さんとパートナーの松浦慶太さん。二人は居住している兵庫県尼崎市でパートナーシップ宣誓を行なっていますが、近く、藤山さんの故郷である諫早市への転居を予定しているといいます。要望書(請願書)では、性的少数者のカップルが病院でパートナーと面会したり病状説明を聞いたりできないケースがあることや、不動産の契約を断られるなどしている現状に触れ、「トラブルを防ぎ、安心した家庭環境を守るために必要な制度を」と求めています。
 藤山さんらは取材に対し、「LGBTも、障害がある人も暮らしやすい諫早になってほしい」と話しました。市は「制度の必要性は認識している。県の動きも確認しながら対応を検討したい」としています。市議会は次の定例会で請願書を審議する見通しです。
 


参考記事:
パートナーシップ制度「必要」66%、同性婚の法制化「賛成」60% 性の多様性に関する新潟県民意識調査、県が結果公表(新潟日報)
https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/288731
県「パートナーシップ制度」導入は 県民調査「必要~やや必要」約7割 県議会で質疑【新潟】(UX新潟テレビ21)
https://www.uxtv.jp/ux-news/%E7%9C%8C%E3%80%8C%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%83%97%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%80%8D%E5%B0%8E%E5%85%A5%E3%81%AF%E3%80%80%E7%9C%8C%E6%B0%91%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%80%8C/

福井、パートナー制導入へ 11月から、県が受領証交付(共同通信)
https://nordot.app/1086505529708413768
福井県が11月からパートナーシップ宣誓制度を導入 性的少数者カップルを公的に認め不利益軽減(福井新聞)
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1892858
敦賀市、パートナーシップ制度を11月1日から導入 行政サービス利用可能に(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/786533
「自分たちの関係が公に認められ安心」 越前市のパートナーシップ制度1年(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/789214
「すごい地方公務員アワード」 日本を元気にする受賞者12名(Forbes JAPAN)
https://forbesjapan.com/articles/detail/66466

愛知18市町、パートナーシップ制度で連携 手続き簡略化(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD177I50X11C23A0000000/
パートナーシップ制度、愛知18市町が連携へ 転居時の手続き簡素化(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASRBK4SJKRBKOIPE004.html

神戸市、パートナーシップ制度を12月開始へ LGBTQや事実婚などのカップル対象、政令市20市で19番目(神戸新聞)
https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202310/0016924530.shtml
事実婚や性的少数者向け「パートナー制度」、神戸市が12月導入へ(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASRBJ5TKWRBJPIHB008.html
LGBTQ認めるパートナー制度導入へ…神戸市が年内にも(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20231019-OYO1T50020/

山口市のパートナー宣誓制度 別居している人の申請も認める素案(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASRB47DX2RB4TZNB00F.html
パートナーシップ宣誓制度 素案基にした創設求める 山口市議会が市に意見書(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20231005/ddl/k35/040/215000c
先進地の制度も参考に、市議会がパートナーシップ宣誓制度に意見書【山口】(宇部日報)
https://ubenippo.co.jp/2023/10/05/2742485/

パートナーシップ宣誓制度 当事者ら、諫早市に導入要望 市議会には請願書を提出(長崎新聞)
https://www.nagasaki-np.co.jp/kijis/?kijiid=1084648158081859966

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