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特集:2023年11月公開・配信の映画・ドラマ

2023年11月に上映・放送・配信される映画やドラマの情報をお伝えします。今月は偶然、『蟻の王』『シチリア・サマー』というイタリアで実際に起こった事件に基づくゲイ映画が2本、上映されます

特集:2023年11月公開・配信の映画・ドラマ

(『シチリア・サマー』より)

本格的に秋の訪れを感じる今日この頃ですが、11月初旬も夏日になったりして結構暖かくなりそうです。引き続き、絶好のお出かけシーズンということで、週末は旅行に行ったり、映画館や劇場ギャラリーにお出かけする方も多いと思います。そんな今月は、『蟻の王』『シチリア・サマー』というイタリアで実際に起こった事件に基づくゲイ映画が相次いで上映されるほか、不朽の名作『キャロル』の原作者、パトリシア・ハイスミスのドキュメンタリー、『I.K.U.』の続編などが上映されます。
というわけで2023年11月に上映・放送・配信される映画やドラマの情報をまとめてお伝えします。
ちなみに11月1日はファーストデー。各館1100円〜1200円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。『シアター・キャンプ』なども上映中です。
(最終更新日:2023年11月16日)



10月28日~11月3日 東京
大いなる自由

 戦後のドイツの刑務所を舞台に、ゲイであるがゆえに何度となく収監され、自由や尊厳を奪われてきた主人公・ハンスの、極限状況での愛の物語。ハンスにとって「大いなる自由」とは…?(レビューはこちら) 第74回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の審査員賞を受賞。第30回レインボー・リール東京で上演後、今年一般公開されたドイツのゲイ映画です。下高井戸シネマで再び一般上映されます。見逃していた方はこの機会にぜひ。(ちなみに、下高井戸シネマは、最近までファスビンダー特集や『怪物』、『CLOSE/クロース』『青いカフタンの仕立て屋』など、今年話題になったクィア作品を軒並み再上映していて、スゴいです)

<あらすじ>
戦後ドイツ、同性愛者であることを理由にハンスは繰り返し刑務所へと送られる。当時、刑法175条によって男性同性愛が禁止されていたからだ。刑務所ですら「変態」と蔑まれるが、そんななかでも絶望することなく、愛する自由を探し求めていく…。

大いなる自由
英題:Great Freedom
原題:Große Freiheit
2021年/オーストリア=ドイツ合作/116分/監督:セバスティアン・マイゼ
下高井戸シネマで10/28(土)~11/3(金)14:15~上映




10月31日から配信
本当に遠い所

 2022年の第30回レインボー・リール東京で上映された『遠地』が、『本当に遠い所』というタイトルでAmazon prime videoで配信されました。のどかな田舎の村で姪を育てながら幸せに暮らしているゲイの青年が、恋人がソウルから来て、姪の母親である妹も来たことで調和が崩れてしまい…という韓国版『his』のような映画です。とても穏やかで、朴訥とした、優しいジヌが(同様に、知的で、感性豊かで、優しいヒョンミンが)村人たちの露骨なホモフォビアに直面して感情を保てなくなる様には、胸が痛みます…。雄大な自然を背景に、世界と人間、生と死を繊細に描いた作品です。
 
<あらすじ>
姪を育てながら田舎の牧場で静かに羊飼いとして働いているジヌ。素朴ながらも満たされた生活を送っていた二人の元に、ジヌの大学時代の恋人と、姪の母親である双子の妹がやってくる。彼らの来訪によって生活が一変したジヌは、愛と家族にまつわる人生の選択を迫られることになる…。

本当に遠い所(字幕版)
英題:A Distant Place
原題:정말 먼 곳
2020年/韓国/119分/監督:パク・グニョン
Amazon prime videoで配信中


 
11月1日から放送
橋口亮輔監督デビュー30周年 ~監督作一挙放送~

 1993年に『二十才の微熱』が劇場公開された時は(ドラマの『同窓会』と同様)大変な反響を呼びました。ウリ専でバイトをする学生を主人公に(袴田吉彦さんが主演でした)、彼を慕うゲイの高校生や2人の女の子など4人の若者たちを描いた青春ドラマで、橋口監督自身がウリ専の客を演じていたりもして。商業映画として初めてのゲイによるゲイをリアルに描いた作品でしたし、多くの方の記憶に残っていると思います。当時、ゲイ映画を製作することには大変な苦労があったそうで、時代を切り開いた橋口監督には尊敬の念しかありません。
 続く『渚のシンドバッド』(1995年)も名作で、同級生の男の子を好きになるゲイの高校生とその親友の女の子を中心にしたひと夏の青春群像劇ですが、なんと、歌手デビュー前の浜崎あゆみさんが主演していたりします。『渚のシンドバッド』がいちばん好き、なんども観た、という方も多いようです。
 3作目の『ハッシュ!』(2001年)もゲイカップルが友達の女性に頼んで子どもをもうけようとする、時代の最先端を行くような名作で、男闘呼組の高橋和也さんと、田辺誠一さんがカップルを演じていたのもスゴい!と話題になりました。冨士眞奈美さんなども出演していて、結構コメディタッチで楽しく観られる作品なのですが、女性の悲哀をものすごくシリアスに描くシーンもあり、本当に奥の深い名作になっていました。
 ゲイを主人公にした三部作を撮ったあと少し間が空いて、橋口監督は2008年、『ぐるりのこと。』という、うつに苦しむ女性を主人公にした社会派の作品を発表しました。この作品には監督自身のうつを患った経験が反映されていて、真に迫るものがあり、シリアスではあるのですが、限りなく優しい作品でした。日本アカデミー賞、報知映画賞、ブルーリボン賞、山路ふみ子映画賞など、数々の映画賞を受賞しています。
 2013年には『ゼンタイ』という異色作を発表します。全身タイツ(ゼンタイ)で癒される人々をテーマに撮り上げたオムニバスコメディで、日常生活で苦労やストレスに直面している様々な人たちがゼンタイオフ会で解き放たれ、自由を獲得していく様を描いています。必ずしもゲイではないのですが、kinkyな(世間からはヘンタイと見られがちな)ゼンタイの魅力をフィーチャーしつつ、ヒューマンなドラマ性も盛り込んだ、感動的ですらある作品です。
 そして2015年の『恋人たち』です。通り魔に妻を殺されたワークマン、日常に嫌気がさし、取引先の男に惹かれていく主婦、順風満帆に見えた人生が崩れていくゲイの弁護士という3人が主人公で、世の中の不条理に直面する人々の感情を丁寧に掬い上げたリアルな群像劇です。ゲイに限らず、世間の理不尽さに泣いたことのあるすべての人にとって、これ以上ないくらいのカタルシスを感じさせてくれるような名作です。
 橋口監督のデビュー30周年を記念して、この6作品が今月、衛星劇場で一挙放送されます。この機会にぜひ、橋口作品に触れてみてください(以前観ていたという方もぜひ、もう一度ご覧ください)

橋口亮輔監督デビュー30周年 ~監督作一挙放送~
衛星劇場(視聴方法はこちら
◎恋人たち
11月1日(水)午後6:3、11月9日(木)午前8:30、11月24日(金)午後6:15
◎二十才の微熱
11月2日(木)午前8:30、11月8日(水)深夜1:30、11月21日(火)午後6:15  
◎ハッシュ!
11月3日(金)午前8:30、11月23日(木)午後5:15
◎ぐるりのこと。
11月10日(金)午前8:30、11月23日(木)午後7:45
◎ゼンタイ
11月16日(木)午前8:30、11月24日(金)午後8:45
◎渚のシンドバッド
11月17日(金)午前8:30、11月22日(水)午後6:15
◎ぐるりのこと。(日本語字幕放送)
11月19日(日)午前8:15



11月3日公開
パトリシア・ハイスミスに恋して

 欧米ではアガサ・クリスティと並ぶ人気を誇るサスペンス、ミステリー作家で、『太陽がいっぱい』『キャロル』など映画史に残るクィア作品の原作者としても知られるパトリシア・ハイスミスの知られざる素顔に迫るドキュメンタリーです。偽名で発表した『キャロル』は自伝的小説であり、1950年代のアメリカでハッピーエンドを迎えた初のレズビアン小説でしたが、そんな栄光を手にしながらも、ハイスミス自身は女性達との旺盛な恋愛活動を家族や世間に隠す二重生活を余儀なくされていたといいます。そんなハイスミスの生涯を、生誕100周年を経て発表された秘密の日記やノート、貴重な本人映像や元恋人たちへのインタビュー、家族による証言、そしてアルフレッド・ヒッチコックやトッド・ヘインズ、ヴィム・ヴェンダースらによる映画化作品の抜粋映像を織り交ぜながら描き、多くの女性から愛されたハイスミスの謎に包まれた人生と著作に新たな光を当てます。

パトリシア・ハイスミスに恋して
原題:Loving Highsmith
2022年/スイス・ドイツ合作/88分/G/監督:エバ・ビティヤ/出演:マリジェーン・ミーカー、モニーク・ビュフェ、タベア・ブルーメンシャイン、ジュディ・コーツほか
11月3日から、新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
(C)2022 Ensemble Film / Lichtblick Film



11月4日開催 東京
『UKI』プレミア特別上映&トーク

 ハスラー・アキラさん、マーガレットさん、MASAさん、ブブさんといったゲイコミュニティで知られる方たちがたくさん出演していた映画『I.K.U.』(2001年)を憶えている方もいらっしゃるかと思います。その『I.K.U.』の続編となるシューリー・チェン監督の最新作『UKI』が、監督のトークショー付きで日本プレミア特別上映されることになりました。『UKI』は、3D仮装空間で構築されたセットで展開されるマルチスレッドのプロットで、ウイルスとデータに汚染された代替宇宙で、廃れた人間と非人間とのSFを提案します。LASアート財団(ベルリン)、ポンピドゥー・センター(パリ)、MoMA(ニューヨーク)、ICA(ロンドン)などで上映され(上映が予定され)、アート界で大きな注目を浴びている作品です。「シュー・リー・チェンが2009年に『UKI』の制作に取りかかったとき、彼女の作品にはエイズ流行の黎明期の記憶が色濃く残っていた。それから14年後、彼女がこの映画を完成させたとき、COVIDの大流行は終焉を迎えたところだった。このことが、ウイルス愛、バイオハッキング、そしてクィアのイマジネーションを描いた彼女のSFオルタナ・リアリティ映画に、二重の歴史的責任を与えている」(アップリンク吉祥寺公式サイトより)。この『UKI』のジャパンプレミア上映&シューリー・チェン監督のトークというイベントがアップリンク吉祥寺で開催されます。

<あらすじ>
2060年。レイコは、バイオテクノロジー企業ゲノム・コーポレーションのために、何年にもわたってオーガズムのデータを収集してきたが、このヒューマノイドは時代遅れの技術としてマークされ、Eトラッシュヴィルに捨てられる。そこでレプリカントは、ミュータントやトランスジェニック・クリーチャーの様々なグループと出会う。パラレルワールドでは、エドワード・ホッパーの有名な絵画「ナイトホークス」を模したダイナーの客たちが、謎のウイルスに支配されたその日のニュースを聞かされている。これは、ハッカー集団がゲノムのバイオネット計画を暴き、オーガズムデータを採取して即席オーガズム消費用の赤い錠剤を製造していることと関係している。

UKI
2023年/80分/監督:シューリー・チェン
11月4日(土)20:20—、アップリンク吉祥寺で1日限定上映



 
11月10日公開
蟻の王

 「同性愛者は存在しない」とされたファシスト政権下のイタリアで、詩人と青年は恋に落ちた──。詩人で劇作家のアルド・ブライバンティとその教え子をめぐる史実「ブライバンティ事件」にインスパイアされた名匠ジャンニ・アメリオ監督が、「今も存在する“異なる人”に対する憎悪に立ち向かう勇気を与えたい」との思い出撮り上げたのが、この『蟻の王』です。第79回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品され、独立賞5部門を受賞しています。アルドを演じたルイジ・ロ・カーショは、「ブライバンティの複雑さと弱さを驚くほど繊細に表現している、卓越した演技」と称賛されたそう(londonmumsmagazine)。ほかにも新星レオナルド・マルテーゼ、カンヌ国際映画祭男優賞受賞歴を持つエリオ・ジェルマーノらが出演しています。

<あらすじ>
1960年代、ポー川南部の街ピアチェンツァに住む詩人かつ劇作家で、蟻の生態研究者でもあるアルドは、教え子の若者エットレと惹かれ合い、ローマに出て共に暮らし始める。しかしエットレの家族は二人を引き離し、アルドは逮捕され、エットレは電気ショックで同性愛を“治療”するための施設に送られてしまう。世間が好奇の目を向ける中、裁判が始まり、新聞記者エンニオは熱心に取材を重ね、不寛容な社会に声を上げるのだが……。

蟻の王
原題:Il signore delle formiche 
英題:Lord of the Ants 
2022年/イタリア/140分/監督・脚本:ジャンニ・アメリオ/脚本:エドアルド・ペティ、フェデリコ・ファバ/出演:ルイジ・ロ・カーショ、エリオ・ジェルマーノ、レオナルド・マルテーゼ、サラ・セラヨッコほか
後援:イタリア大使館、イタリア文化会館
(C)Kavac Srl / Ibc Movie/ Tender Stories/ (2022)



11月17日〜20日配信
トランスジェンダー映画祭2023秋

 映画を通じてトランスジェンダーのリアルな経験に触れる機会を多くの人に届けたい、そして、たくさんの当事者の語り、トランスの人たちの姿にエンパワメントされていこう!という趣旨のトランスジェンダー映画祭。以前から同じ作品で何度かオンライン開始されていましたが、今回、新たな作品『私たちの場所』『ナベシャツからの解放 ― ろうトランス男性オースティンの旅』が登場しました。いずれも良作で、バラエティ豊かなラインナップとなっています。1本700円という良心的な価格になっているところもポイントです。すべての映画に日本語字幕がつきます。

トランスジェンダー映画祭2023秋
期間:11月17日(金)14時〜11月20日(月)16時
配信方法:Vimeo
詳細・チケットはこちら
主催:トランスジェンダー 映画祭実行委員会
協力:関西クィア映画祭、Team Respect& Solidarity(TRanS)

⑴ 映画『私たちの場所』
 転居先を探すトランスジェンダーのライラとローシュニ。社会の差別の壁は厚く、なかなか物件は見つからない。さまざまな偏見はありつつも、二人は周りの人たちと関わり、支えられながら日常を紡いでいく。個人の監督名を冠することなく創作する「エクタラ・コレクティブ」が当事者の役者らとともに、実際に経験したことをもとに作り上げた作品は、コミュニティの温かさを描き出しています。

原題:Ek Jagah Apni 英題:A Place of Our Own 邦題:私たちの場所
監督:エクタラ・コレクティブ/Ektara Collective
91分|2022年|インド|ヒンディー語
字幕協力:東京国際映画祭


⑵ 映画『ナベシャツからの解放 ― ろうトランス男性オースティンの旅』
 ろうのトランス男性であるオースティンは、長年の悲願だった乳房切除をとうとう受けられることに。家族、幼馴染、恋人も映画に登場し、愛すべきお茶目なキャラであるオースティンとの交流を描くドキュメンタリー作品です。

原題:Austin Unbound: A Deaf Journey of Transgender Heroism 邦題:ナベシャツからの解放 ― ろうトランス男性オースティンの旅
監督:Eliza Greenwood, Sel Staley, Basil Shadid
43分|2011年|米国|英語、アメリカ手話
字幕:日本語、英語


⑶ 映画「Major(メジャーさん)!」
 1969年6月、アメリカのLGBT史を変えるストーンウォールの暴動が起きた。そのまっただ中にいたメジャーさんは、78歳になった今でも投獄されたトランスジェンダーたちに手紙を書き続ける。家族から見放された人たちを娘たちと呼び、数えきれない人たちからママと慕われる彼女のたどった人生を、トランスコミュニティの愛と闘いを描く珠玉のドキュメンタリー作品です。

原題:Major! 邦題:メジャーさん!
監督:Annalise Ophelian 
91分|2015年|米国
音声:英語、字幕:日本語


⑷ 映画「最も危険な年」
 トランスジェンダーの人数は全人口の1%未満。マジョリティの無知は、しばしば少数派への偏見や不安に結びついてきた。2016年、米ワシントン州では、トランスジェンダーのトイレ利用を制限する法案が議論されることに。「トランスジェンダーは出生時の性別のトイレを使うべきだ」との主張に対し、トランスジェンダーの子を持つ親たちが立ち上がる。差別と闘う武器は、自分たちのありのままの物語を語ること。日本でも広まりつつあるトランスヘイトの問題を考える上で必見のドキュメンタリー作品です。

原題:The Most Dangerous Year  邦題:最も危険な年
監督:Vlada Knowlton 
90分|2018年|米国
音声:英語、字幕:日本語




11月18日開催 京都
QUEER VISIONS 2023  

 クィア映画の上映とゲストを招いたディスカッションを行なう1日だけの特別な集い「QUEER VISIONS」が同志社大学で開催されます。今年はレズビアン映画についてのドキュメンタリーや日本で1998年に制作されたトランスジェンダーのドキュメンタリー、映画祭でも注目の集まる現在のブラジル短編映画集が上映され、スペシャルゲストとして三橋順子さん、宮田りりぃさんらが登壇します。

QUEER VISIONS 2023
日時:11月18日(土)13時〜20時
会場:同志社大学 寒梅館 - クローバーホール(京都市上京区今出川通り烏丸東入)
資料代:500円
主催:Queer Vision Laboratory|Normal Screen
(現金受付|予約不要|直接会場にお越しください)

◎現代ブラジル短編セレクション
 極右ボルソナーロ政権にも屈せず、若い才能たちが表現した多様な4本の作品を日本初上映! 予期せぬ他者との出会い、世代を超えた交流、ダンス、日常にある危険…。これらが現在のブラジルで生きる恋人たちや母、トランスの子どもや奴隷制の歴史と向き合うアーティストの視線を交えて描かれます。
『土地なきものたち』 監督:Anderson Bardot | 2020年 | 25分
『プライベート写真』 監督:Marcelo Grabowsky | 2020年 | 20分
『住めない星』 監督:Matheus Farias & Enock Carvalho | 2020年 | 20分
『我慢と辛抱のかいあって』 監督:Érica Sarmet | 2021年 | 26分

◎ダイク、カメラ、アクション!
 レズビアンによるレズビアンのためのレズビアンについてのドキュメンタリー映画。ローズ・トローシュ、バーバラ・ハマー、デジレー・アカヴァン、スー・フレドリック、リサ・チョロデンコ、シェリル・デュニエ、イヴォンヌ・ウェルボン、ルビー・リッチ、サラ・シュルマンらが愛する映画、影響を受けた映画について語り、「自分たちが映画に表象されるのを見ること」の重要性について語る作品です。上映後に菅野優香さんによる解説/トークがあります。
『ダイク、カメラ、アクション!』 監督:Caroline Berler|2018年|61分|アメリカ *日本初上映
 
◎We are Transgenders. -性別を越え、自分らしく生きる!-
 主に関西で生きる大勢のトランスジェンダーの人々についての貴重なドキュメンタリー。1990年代後半にトランスジェンダーやニューハーフやおなべやおかまとして生活する人々が職場や家で日常をおくる姿を丁寧にとらえ、それぞれの想いや考えに耳をかたむけています。様々な差別の現実と向き合いつつ、勉強会や豊かなコミュニティの様子も描かれ、後半には温泉旅行のいきいきした雰囲気が映像におさめられています。上映後に三橋順子さんと宮田りりぃさんによる解説/トークがあります。
『We are Transgenders. -性別を越え、自分らしく生きる!-』 監督:尾川ルル|1998年|78分|日本




11月19日 香川
愛で家族に〜同性婚への道のり

 香川県高松市で11月19日、アジアで最初に同性婚を実現した台湾のドキュメンタリー映画『愛で家族に〜同性婚への道のり』の上映会が開催されます。佐藤倫子さん(「結婚の自由をすべての人に」訴訟弁護団)、青山真侑さん(にじいろかぞく共同代表)のトークもあります。入場無料。託児ご希望の方は11日までにご予約を。

<あらすじ>
2016年、台湾立法院(国会)は同性婚法案を提出しましたが、アンチLGBTQのグループに阻止されます。一方、3組の同性カップルは、それぞれの家族の問題に直面していました。ティエン・ミンとシャンは30年以上も連れ添ってきましたが、彼らの愛は、老いと病という試練に直面しています。ジョヴィとミンディは生活の多くを婚姻平権(結婚の平等)に割いてきました、娘の親権を勝ち取るために。マカオ出身のアグーはシンチーと一緒に暮らしていますが、経済的問題や、高雄に住むシンチーの親との関係に悩んでいます…

『愛で家族に~同性婚への道のり』上映とトーク
日時:11月19日(日)13:00-15:30
会場:たかまつミライエ6階 参画センター第3学習研修室
参加無料
ゲスト:佐藤倫子さん(「結婚の自由をすべての人に」関西訴訟弁護団)、青山真侑さん(にじいろかぞく共同代表)
参加申込みはこちら
問合せ先:プラウド香川(proud.kagawa@gmai.com)



11月22日〜28日配信
老ナルキソス

 5年前のレインボー・リール東京のコンペでグランプリに輝いた『老ナルキソス』が長編映画化され、5月から劇場公開され、評判を呼んでいましたが、今月、シアターフォーオールで配信が行なわれることになりました。「ゲイとして生きることが許されなかった」世代の方たちに光を当て、今の時代へと接続し、包摂するとともに、多様なSEXを肯定し、愛しさを持って描く素晴らしい作品です。まだご覧になっていない方はこの機会にぜひ!(レビューはこちら)(監督インタビューはこちら

<あらすじ>
ゲイでナルシストの老絵本作家・山崎カオルは、自らの容姿の衰えに堪えられず、作家としてもスランプに陥っている。ある日、ゲイ風俗(ウリ専)で働くレオと出会い、その若さと美しさに打ちのめされる。山崎の代表作を心の糧にして育ったというレオに、山崎は恋心を抱く。レオもまた山崎に見知らぬ父親の面影を重ね合わせ…すれ違いを抱えたまま、二人の旅が始まる――。

老ナルキソス
2023年/日本/110分/R15+/監督:東海林毅/出演:田村泰二郎、水石亜飛夢、寺山武志、日出郎、モロ師岡、津田寛治、田中理来、千葉雅子、村井國夫ほか/配給:オンリー・ハーツ
シアターフォーオールで11/22〜11/28限定配信




11月23日公開
シチリア・サマー

 1980年、果樹園の木の下で2人の若者の遺体が発見され、イタリア中に衝撃を与えた「ジャッレ事件」。ホモフォビアゆえの憎悪殺人(ヘイトクライム)ではないかと見られ、葬儀には2000人を超える参列者があったそうですが、事件の真相は謎のままです。このイタリア社会を震撼させた実際の事件をモチーフに、社会の偏見や不寛容さにぶつかりながらも、ただ純粋に愛を貫いた2人の少年の姿を、詩的できらめくような映像美で描き出した映画が『シチリア・サマー』です。同作はイタリアで公開されると、瞬く間に口コミが広がり上映館数が拡大、アカデミー賞で脚色賞を受賞した『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督が大絶賛し、名匠ナンニ・モレッティ監督も映画館へ駆けつけるなどしました。観客の間から熱狂の声が広がり、大ヒットを記録した作品です。監督はベテラン俳優のジュゼッペ・フィオレッロで、彼自身、シチリアの出身であり、初夏のシチリア島の青い海と美しい空、自然豊かな風景などノスタルジックな郷愁を誘う映像美が印象的な作品となっているそうです。2人の若き主演俳優は、数百人が参加したオーディションから選ばれました。2人はイタリアの映画記者組合が選出する映画賞「ナストロ・ダルジェント賞」の最優秀新人賞を2人そろって受賞したそうです。

<あらすじ>
1980年代、カトリックの総本山バチカンのお膝元であり、性的指向に関して保守的な人も多かったイタリアで世界的な同性愛団体「ARCIGAY(アルチゲイ)」が設立された。その原点となったのは、シチリア島に住む2人の少年の身に起こった悲劇だった――。

シチリア・サマー
原題:Stranizza d'Amuri
2022年/イタリア/134分/PG12/監督:ジュゼッペ・フィオレッロ/出演:ガブリエーレ・ピッツーロ、サムエーレ・セグレートほか
11月23日より全国公開
(C)2023 IBLAFILM srl



11月25日 横浜
カミングアウト・ジャーニー


「世界エイズデーに横浜で「伝える」を考える セクシュアリティのこと、HIV/性感染症のこと」というテーマで11月25日~12月20日、横浜でイベントが開催されます。オープニングはドキュメンタリー映画『カミングアウトジャーニー』の上映会で、企画・主演の福正大輔さんとの座談会も行なわれます。実に素晴らしい映画ですので、この機会にぜひご覧ください!

ドキュメンタリー映画『カミングアウトジャーニー』上映会・座談会
日時:11月25日(土)13:00-14:45
会場:横浜市青少年育成センター 第1研修室 関内ホール地下2階(神奈川県横浜市中区住吉町4-42-1)
無料
定員70名
申込:こちらから(定員になり次第受付終了)

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