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11月20日はトランスジェンダー追悼の日、トランスジェンダー支援に関するさまざまなニュースがありました

2023年11月20日

 11月20日はトランスジェンダー追悼の日(Transgender Day of Remembrance; TDOR)、11月20日までの1週間はトランスジェンダー認知週間です。毎年世界中で何百人ものトランスジェンダーが、ただ自分らしくあるというだけでヘイトクライム(憎悪犯罪)に遭い、命を落としています。SNSでは#トランスジェンダー追悼の日のハッシュタグで、多くの団体・企業・個人の方々が追悼のコメントを上げています。
 日本は、以前はトランスジェンダーに寛容な国だと思われていましたが、今はとてもそんなことは言えない状況です。トランス女性の仲岡弁護士の元に殺害予告メールが届いたり、ネット上でトランスジェンダーへのヘイトスピーチやバッシングが横行しています。19日に新宿駅南口で行なわれたスタンディングアクション「#1119新宿トランスライツ」でも、ヘイターによる妨害行為があったそうです。命にも関わるような状況です。
 
 
 そんななか、トランスジェンダーを支援するような内外のニュースがたくさん届きました。
  
 EY Japan株式会社は11月20日、認定NPO法人ReBitの協力を得て、トランスジェンダーに関する情報や応対の仕方などをまとめた『トランスアライになろう ガイドブック』を作成し、公開しました。
 EY Japanは(CEOの貴田守亮さんが「2020 OUTstanding LGBT+ Role Model Lists」エグゼクティブ部門の世界2位に選ばれたり、英INvolveの「100 LGBT+ エグゼクティブ」第1位に選ばれたりしている方ということもあり)、LGBT+をはじめ多様なメンバーが自分らしく活躍できる社会の実現を目指し、さまざまな取組みを行っていますが、今回、知識や情報の不足による偏見や差別を減らし、トランスジェンダーに寄り添い支援する「トランスアライ」の育成促進を目的に、このガイドブックを作成し、無償で公開する運びとなりました。特に「企業で取り組む意義」「職場での困りごと」「職場でできること」「企業インタビュー」「企業人事の声」といった、ビジネスパーソン向けのコンテンツが充実しているのが特長です。(実際に当事者の方がたくさん登場している『トランスジェンダーのリアル』や、『トランスジェンダー入門』などと併せて)職場で活用してみてはいかがでしょうか。


 
 新潟市では18日、性的マイノリティに配慮した学生服を考える催しが開催され、県内の当事者たちが学生時代の悩みを振り返り、「制服もジェンダーレスにしてほしい」と訴えました。
 催しは10代〜23歳の性的マイノリティ(かもしれない人)の居場所作りに取り組む「にじーず」が主催したもので、登壇したトランス男子の方が「学生時代は女性用のスカートをはき、毎日打ちのめされていた」と、レズビアンの方が「高校のジャージーは男女で色が違った。見た目で男女を分けることに違和感がある」と語るなどしたほか、思い思いの学生服を着て歩くファッションショーも開催されました。

 文春オンラインには、『元悪役女子プロレスラー、男になる!』の著者であるトランス男性の石野結さんをフィーチャーした記事が掲載されました。ドラマ『3年B組金八先生』(第6シリーズ/2001~2002年放送)で上戸彩さんが演じた鶴本直というトランス男子のキャラクターを観て「これは自分のことかもしれない」と確信を持つ一方、友人から「気持ち悪い」と言われたこともあり、周囲の人に言うのをやめてしまった、プロレスラーとして新しい方向を模索していた頃、初めて彼女ができ、家族にカミングアウトし…といったストーリーが綴られています。

 『女子SPA!』には、著書『パパだけど、ママになりました 女性として生きることを決めた「パパ」が、「ママ」として贈る最愛のわが子への手紙』(アスコム)を出版した日本テレビの映画プロデューサー、谷生俊美さんへのインタビューが掲載されました。4年前にお子さんをさずかったことでの心境の変化や、トランスしてからの生活の変化などが語られています。以前は男性としてガザ地区の取材もしていたという谷生さんが、「今現地にいたらきっと自分の子どもの顔が思い浮かぶと思います。死んでも仕方ないと思っていましたが、今は同じようには思えないのかな」と語っていたのが印象的でした。素敵なインタビューでした。

 それから、中日新聞に「女子大でトランスジェンダー女性の受験、受け入れ広がる」という記事が掲載されました。2018年にトランス女子学生の受入れを発表したお茶の水女子大を皮切りに、奈良女子大、宮城学院女子大、日本女子大、ノートルダム清心女子大、津田塾大、広島女学院大が続き、2026年度までに少なくとも全国で7校に増える見通しになっているそうです。

 これは海外のニュースですが、エルサルバドルで11月18日(現地時間)に開催されたミス・ユニバース2023では、ポルトガル代表のマリーナ・マチェーテさんとオランダ代表のリッキー・コレさんというトランス女性が国の代表として出場しました。
 
 パキスタンのカラチでトランスジェンダー・コミュニティが、就職の機会均等などの権利を訴える集会とフェスを開催、とか、ローマ教皇庁がトランスジェンダーや同性カップルの子どもにも洗礼を授けることを容認したというニュースもありました。
 
 悪意あるデマに基づくトランスジェンダーへの逆風は各地で吹き荒れていますが、それでも世の中は少しずつ、自身が生きたい性で生きるという基本的な人権を擁護する方向に進んでいます。
 



参考記事:
EY Japan、『トランスアライになろう ガイドブック』を作成(EY Japan)
https://www.ey.com/ja_jp/news/2023/11/ey-japan-news-release-2022-11-20

「学生服もジェンダーレスに」 性的少数者の当事者らが訴え(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20231119/k00/00m/040/047000c

「え~、キモチ悪いよ」上戸彩が演じた“性同一性障がいの生徒”さえ異物扱いされた「2001年のLGBT事情」【当時の写真あり】
(文春オンライン)
https://bunshun.jp/articles/-/66998
【大ピンチ】好きだった女性への告白は成功したけれど…「トランスジェンダー」であることが家族にバレてしまった「女子レスラーのドタバタ」
https://bunshun.jp/articles/-/66999

トランス女性の日テレ映画プロデューサーが娘に「女の子はピンク」と言われ、伝えたこと(女子SPA!)
https://joshi-spa.jp/1272799

女子大でトランスジェンダー女性の受験、受け入れ広がる(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/809694

ミス・ユニバース史上初、プラスサイズモデルや既婚で母親の女性らが躍進。トランスジェンダー女性もトップ20入り(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_655adb11e4b0998d69a0bb6f

パキスタンのカラチで初のトランスジェンダーイベントが開催(Aflo)
https://news.yahoo.co.jp/articles/6b671e39dcf53989c972326b05b6a9ca0711e30d

トランスジェンダーの洗礼容認 ローマ教皇庁(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023110900709&g=int

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