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特集:2023年12月公開の映画

2023年12月に上映・放送・配信される映画やドラマの情報をお伝えします。今月は『Winter boy』という凄い映画が公開されるほか、香川と福井の映画祭、世界エイズデー関連の映画上映会などもあります

特集:2023年12月公開の映画

(『神はエイズ』より)


 気づけばもうすぐ12月。1年が本当にあっという間ですね。会社の忘年会などで忙しい方も多いかと思いますが、週末は映画館や劇場ギャラリーにお出かけしてみてはいかがでしょうか。今月は『Winter boy』という凄い映画が公開されるほか、香川と福井の映画祭、世界エイズデー関連の映画上映会などもあります。
 というわけで2023年12月に上映・放送・配信される映画やドラマの情報をまとめてお伝えします。
 ちなみに12月1日は映画の日! 各館1000円〜で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。『蟻の王』『シチリア・サマー』なども上映中です。
(最終更新日:2023年11月29日)


12月1日〜7日 北九州
老ナルキソス

 5年前のレインボー・リール東京のコンペでグランプリに輝いた『老ナルキソス』の長編映画版が今年5月から劇場公開され、評判を呼びました。「ゲイとして生きることが許されなかった」世代の方たちに光を当て、今の時代へと接続し、包摂するとともに、多様なSEXを肯定し、愛しさを持って描く素晴らしい作品です(レビューはこちら)(監督インタビューはこちら
 その『老ナルキソス』が、このたび北九州市にある小倉名画座で1週間、特別上映されることが決定しました。東海林監督は「ゲイカルチャーの大切な一部分である薔薇族映画館でこの作品を上映してもらえる事が嬉しいです」と喜びのコメントを上げています。2日(土)3日(日)には監督が登壇するトークショーも開催されます。福岡や山口にお住まいの方は、この機会にぜひ!

<あらすじ>
ゲイでナルシストの老絵本作家・山崎カオルは、自らの容姿の衰えに堪えられず、作家としてもスランプに陥っている。ある日、ゲイ風俗(ウリ専)で働くレオと出会い、その若さと美しさに打ちのめされる。山崎の代表作を心の糧にして育ったというレオに、山崎は恋心を抱く。レオもまた山崎に見知らぬ父親の面影を重ね合わせ…すれ違いを抱えたまま、二人の旅が始まる――。

老ナルキソス
2023年/日本/110分/R15+/監督:東海林毅/出演:田村泰二郎、水石亜飛夢、寺山武志、日出郎、モロ師岡、津田寛治、田中理来、千葉雅子、村井國夫ほか/配給:オンリー・ハーツ
小倉名画座で12月1日〜7日特別上映(上映スケジュールはこちら。2日(土)3日(日)には監督が登壇するトークショーも開催)




12月2日 高松
香川レインボー映画祭

 今年は高松市丸亀町レッツホール内のカルチャールームにて11:00〜15:30に開催、6本1組で2回上映します。監督挨拶もあります。上映作品は「ラブレター・オン・ザ・ハム」「ふたつの遺影」「Veils」「カゾクノキョリ」「I am me」「パンプキン」です。
 
香川レインボー映画祭
日時:12月2日(土)11:00-15:30
会場:高松市丸亀町レッツホール内 カルチャールーム 



12月3日 福井
福井LGBTQ映画祭2023

 今年もかずえちゃんが福井でLGBTQ映画祭を開催します。「誰もが自分らしく暮らせる町、そして暮らし続けたいと思える町にしていくために」との想いです。
 午前の部は永遠の名作「パレードへようこそ」を上映、トークゲストは「なろっさ!ALLY」のみなさん。午後の部は「二十歳の息子」を上映、トークゲストはmoriuoさんです。
 
福井LGBTQ映画祭2023
日時:2023年12月3日(日)
   午前の部 10:00-13:00(9:30開場)
   午後の部 14:45-17:20(14:15開場)
会場:テアトルサンク スクリーン1(福井市中央1丁目8-17)
チケット:こちら



12月5日上映 東京
『心の中』『天使の楽園』

 大木裕之監督『心の中』、鈴木章浩監督『天使の楽園』という、長年観ることがかなわなかった90年代の傑作がスクリーンによみがえります。現代美術のアーティストとして幅広く活躍する大木裕之の監督作品『心の中』(1999年)と、薔薇族映画として制作されながらもアート映画として海外映画祭でも広く上映された鈴木章浩監督『天使の楽園』(1999年)。両作品とも劇場公開されており、そのアーティスティックな映像表現とテーマは、今観ても新鮮です。浜辺で死へと向かって横たわるゲイのカップルの心象風景を幾重にも重ねられた映像で描く『心の中』。一人のゲイの青年の死と生を、様々な映像メディアと視点で描く『天使の楽園』。いずれの作品にも、90年代終りのアンニュイな時代の空気が流れているのも魅力となっています。『心の中』はニューデジタル版上映。『天使の楽園』はオリジナル35mフィルムによる貴重な上映となります。12月5日夜に下高井戸シネマで上映。『心の中』19:15-、『天使の楽園』21:00-(『天使の楽園』上映後に大木裕之さん、鈴木章浩さんによるトークショーもあります。詳細はこちら
 
『心の中』
 現代美術をはじめ多彩に活躍する大木裕之の劇場公開映画の傑作が復活。幾重にも重ねられた映像が、死に向かうゲイ・カップルの意識の流れのように次々と現れては消える。現在の大木裕之の映像作品にも通じる手法により、フィクションとドキュメンタリーを越境する作品。
1999年/日本/大木裕之監督

『天使の楽園』
 薔薇族映画として制作されながら、アート映画として高く評価され、海外映画祭に多数招待された“アンチ・ヘテロ映画”。撮影に映像作家・黒澤潤、出演に今泉浩一、ほたる、大木裕之など多彩な顔ぶれを迎え、個人映画を思わせる実験的手法で描かれる、ゲイの青年の生と死を巡る物語。
1999年/日本/鈴木章浩監督




12月7日上映 東京
虎の子 三頭 たそがれない

「TOKYO AIDS WEEKS 2023」関連企画として、HIVやクィアを描くブラジル映画の上映&トークイベントが開催されます。『虎の子 三頭 たそがれない』の監督はブラジルで注目を集める若手グスタボ・ヴィナグリ。極右政権が樹立した自国とコロナ禍の社会を皮肉とユーモアを交えて描き、世界中の映画祭で高く評価されました。今回が東京での初上映となります。終映後にはドラァグクイーンで性教育パフォーマーのラビアナ・ジョローさん、GOGOのTENさん、文筆家でASK認定依存症予防教育アドバイザーの風間暁さんによるトークも行なわれます。
 
<あらすじ>
脳に影響を及ぼすウィルスが街にひろがり人々の記憶力は低下。国家は独裁政権や植民地主義の歴史を忘れているようだ。そんな状況下をともにする3人組がHIVと生きる体験を共有したりインフルエンサーに出会ったり頼りない大人たちと時間を過ごしながら、どこかへ導かれる。

虎の子 三頭 たそがれない
監督:グスタボ・ヴィナグリ|2022年|84分|ブラジル *日本初上映
12月7日(木)19:30- ユーロライブにて上映
料金:1000円(税込)
トークゲスト:ラビアナ・ジョロー(ドラァグクイーン、性教育パフォーマーラ)/ TEN(GOGO BOY)/ 風間暁(文筆家、ASK認定依存症予防教育アドバイザー)




12月8日より公開
Winter boy

 フランスのゲイの監督、クリストフ・オノレが、自身の少年時代の経験に基づき、思春期のゲイの男の子の不安定な性愛や父の死による喪失と再生を描いた半自伝的作品です。新星ポール・キルシェが主人公を演じ(2022年のサン・セバスチャン国際映画祭において史上最年少で主演俳優賞を受賞)、『ポンヌフの恋人』『トリコロール/青の愛』『イングリッシュ・ペイシェント』など数々の伝説的な作品に出演してきた名優ジュリエット・ビノシュが母親役を演じています。17歳の高校生を主人公に、今を生きるゲイのリアリティ、セックス、痛み、そして回復や癒しが描かれ、深い感動をもたらします。画面に緊張感や生気が漲っています。凄い映画です。もしかしたらゲイにとっての生きづらさの根源にあるようなこと、その苦しさやしんどさを描くだけじゃなく、どのようにして回復や、本当の意味での癒しがありうるのかというところを描いたところがスゴいし、素晴らしいです(レビューはこちら)。ぜひご覧ください。
 
<あらすじ>
冬のある夜。寄宿舎で暮らす17歳の少年リュカは父が事故死したとの連絡を受け、アルプス山麓の実家に帰る。愛する父の死に直面し、大きな悲しみと喪失感にさいなまれるリュカ。葬儀の後、兄に連れられて初めてパリを訪れたリュカは、兄の同居人である年上のアーティスト、リリオと出会う。優しいリリオに心惹かれるリュカだったが、リリオには、リュカに知られたくない秘密があった──。

Winter boy
原題:Le lyceen
2022年/フランス/122分/R15+/監督:クリストフ・オノレ/出演:ポール・キルシェ、ジュリエット・ビノシュ、ヴァンサン・ラコスト、エルヴァン・ケポア・ファレほか
12月8日よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国順次公開




12月14日上映 東京
神はエイズ

「TOKYO AIDS WEEKS 2023」関連企画として、HIVやクィアを描くブラジル映画の上映&トークイベントが開催されます。グスタボ・ヴィナグリがファビオ・レアルと共同で監督を務めた『神はエイズ』は、ブラジルに住むHIV陽性のアーティストと活動家や医師の8人を捉えたドキュメンタリー。8人は世間の無知やゲイシーンにおける人種差別、HIV/AIDSに感染した女性たちの存在が十分に知られていないことに対して声を上げ、ダンス、パフォーマンス、詩を通してHIVに対する新しいイメージを提示していきます。終映後のトークショーにはダンサーでパフォーマーの川口隆夫さん、ドラァグクイーンでアーティストのマダム ボンジュール・ジャンジさん、HIV陽性者でスティグマファイターの福正大輔さんが登壇します。
 
映画『神はエイズ』日本初上映!! + トーク
監督:グスタボ・ヴィナグリ&ファビオ・レアル|2021年|82分|ブラジル *日本初上映 
12月14日(木)19:30- ユーロライブにて上映
料金:1000円(税込)※資料代
要予約(申込はこちら
トークゲスト:川口隆夫(ダンサー、パフォーマー)、マダム ボンジュール・ジャンジ(ドラァグクイーン/アーティスト)、福正大輔(HIV陽性者/スティグマファイター)
*手話通訳あり
*作品には性的描写がふくまれます

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