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『ゼクシィ』誌が同性カップルや事実婚カップルを起用した広告を渋谷駅近くに設置しました

2023年12月01日

 結婚情報サービスの『ゼクシィ』が12月1日、JR渋谷駅近くで同性カップルや事実婚カップルなど多様な8組を起用した広告の設置を始めました。広告での同性カップルの起用は初めてです。


 『ゼクシィ』は1993年5月に創刊し、今年5月に30周年の節目を迎えました。同誌は、これまで男女の結婚を取り上げることがほとんどでした(『ゼクシィAnhelo(現:ゼクシィPremier)』は2012年8月発売号からLGBTQの結婚式を取り上げ、こちらのゲイカップルの青山迎賓館での結婚式も後押ししています)。今回、30周年の節目のタイミングで「法律婚はできなくても、自分たちなりの幸せを体現している人たちを応援したい」と思い、「あなたが幸せなら、それでいい。」とのキャッチコピーを打ち出し、同性カップルや事実婚カップルを広告に起用しました。広告の種類は期間によって異なり、12月1〜15日にJR渋谷駅周辺、12月11〜24日に原宿WILDPOSTING、12月5~2024年1月5日に中目黒の蔦屋書店で掲示するそうです。
 『ゼクシィ』誌の森奈織子統括編集長は「同性カップルが挙式する場合、『親だけでなくおばあちゃんへの説明が大変だった』とか『結婚式場から冷たい反応をされて心が折れた』という話を聞きました。目の前で結婚式を諦めている人がいる。それがこのキャンペーンを考えた始まりです」「多様な選択をしたカップルを応援するスタンスを、もっと世の中にも発信していきたい」と話しています。

 『ゼクシィ』を運営するリクルートは今年、「Business for Marriage Equality」への賛同を表明しています。

 ただ、Business Insiderの記事でも指摘されているように、また、SNSでも「社会の問題を個人ごとにすり替えている」といった批判の声も上がっているように、法的に婚姻が認められていない同性カップルに対して「あなたが幸せなら、それでいい。」と打ち出すことは、日本における婚姻平等(同性婚の法制化)という課題を見えにくくする面もあります。
 森編集長は「すぐに法律を変えることは難しいと思います。ですが法的に結婚ができない同性カップルだからこそ、結婚式に意味があると考えるカップルは少なくありません。そのための情報が足りていないという声も多くあり、その声に答えていきたいと思っています」と語っています。

 
 『ゼクシィ』に限らずですが、同性カップルの挙式を応援したいと思う企業の方々は、法的に婚姻が認められていないがゆえに、40年以上連れ添った同性パートナーの火葬に立ち会えず、共同経営の会社も親族に奪われたりパートナーを殺されても犯罪被害者遺族給付金の支給が認められなかったりという悲劇に見舞われ、集団で国を相手どって裁判まで起こし、5ヵ所中4ヵ所で違憲判決が出ていて、ちょうど1年前には東京地裁で同性婚が認められないのは「人格的生存に対する重大な脅威、障害である」との判断も出ている、にもかかわらず国会では一向に議論が進まない、同性婚実現を願いながら、この世を去ってしまった(間に合わなかった)方もたくさんいる、といったことを知っていただけたら、より「本気度」の高い(例えばLUSHのような)キャンペーンや打ち出しが可能になるのではないでしょうか。
 
 

参考記事:
ゼクシィ、同性カップルを初めて広告起用。創刊30年、渋谷駅に大型看板(Business Insider)
https://www.businessinsider.jp/post-279241
「あなたが幸せなら」…創刊30年のゼクシィ、新コピーに込めた願い(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASRCY6TKHRCYOXIE02B.html

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