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元高校球児のトランス女子レスラー、エチカ・ミヤビさんが性別適合手術前の壮行試合で初勝利を収めました

2024年01月10日

 1月9日、新宿FACEで開催された『The New Year Glory ―栄光の遊宴―』でトランス女子レスラーのエチカ・ミヤビさんが性別適合手術前の壮行試合でデビュー初勝利を挙げました。

 
 エチカ・ミヤビさんは小学校までソフトボールを、中学では軟式野球、高校では硬式野球から柔道を経験した方で、投手時代には一年生で140km/h近い速球を投げるなど運動神経に優れている方で、現在は女性として生活しています。マッスルガールズバー『筋肉女子・マッスルガールズ』でともに働いていた筋肉系YouTuber/セクシー女優のちゃんよたさんという方が出場する試合を見て、ちゃんよたさんに憧れたことがきっかけで『P.P.P.TOKYO』(以前『バディ』誌にも度々登場していたセクシー男優のしみけんさんがアドバイザーを務め、慶應義塾大学卒の元・博報堂レスラー三富兜翔さんが総帥としてプロデュースしているプロレス団体で、シャンパンタワーやテキーラが飛び交うパリピ興行や日本初のラブホ興行などを開催しています)に入団、2022年9月にデビューしました。
(プロレス界で活躍するトランスジェンダーの方としては、初めてカミングアウトした朱崇花(現VENY)さんや、トランス男性の石野結さんなどがいらっしゃいました。バトルニュースによると、自認する性別にもとづいて活躍の場を選べるような環境が整備されつつあるそうです)
 
 2022年7月、デビューの発表の場でエチカ・ミヤビさんは「厳密に言えば私はトランスジェンダーなんですけど、女性として、ちゃんよたさんが女子プロレスラーとしてリングで活躍している姿を見て、カッコいいって思って。私はそういうカッコいいプロレスで人を魅了できるようになりたいと思いました」と語り、男子・女子を問わず闘っていきたいとしましたが、代表の三富さんは「彼女は女子レスラーとして羽ばたきたいっていう意向が強いので、私としてはずっと女子と戦わせたい」という意向を語っていました。
 しかし、デビューが発表されるや、トランス女性が女子プロレスラーとして闘うことに対する否定的な意見が殺到したといいます。エチカさんは「プロレスラーになる前からトランスジェンダーだったので、私が言われないにしてもいろんなところで見てきてはいたので、そういった意見があることは予想はしていました。ただ、完全なる誹謗中傷もあったし、それには傷ついたところはあるんですけど、それに打ち勝って、その人達に認めさせてこその私だと思うので、負けないように頑張ります」と語りました。対戦相手となった世羅りささんも「何がいけないのかわからないです。『女子の中でのし上がっていってやろう』と思っても、そう簡単にはできないですよ。女子プロレスの世界は厳しいですから。それをわからせるための私だと思っていますので、任せてください。彼女を立派な女子プロレスラーにしてあげます」と語っていました。世羅りささんの勝利となったデビュー戦を終えてエチカさんは「応援してくれたみんなに感謝を込めて。本当にありがとうございました!」と語り、見守っていた三富総帥は「トランスジェンダーという、ただでさえちょっと色眼鏡で見られる中で、彼女はこれからいろんなものと闘っていかなきゃいけない。それに向かっていく覚悟は感じました。これから経験・実績をドンドン積んでいただきたい。僕はメチャクチャ期待しています」とエールを送りました。

 昨年11月、エチカさんは性別適合手術を受けるために長期欠場に入ることを宣言し、この1月9日、壮行試合としてエチカ・ミヤビ&真琴&宮本裕向 vs 夏すみれ&リアラ&今成夢人の6人タッグマッチが開催されました。
 幾度もピンチに陥ったエチカさんですが、この日は人一倍の気迫を見せて何度も立ち上がり、そんな姿を見た仲間がエチカさんを全力でバックアップし、終盤に大逆転、最後はエチカさんが3カウントを奪い、勝利しました。
 マイクを取ったエチカさんは「プロレスデビューして1年。ようやく初めて勝つことができました! この試合は、私の性転換手術の前の最後の試合です。この手術は、私の人生の大きな、大きな分岐点になります。いろんな悩みとか、ツラいこととかあったけど、覚悟決めて!その覚悟で!臨んだ試合です!初めて勝てました! やっぱりさ、プロレスって、最高!私、プロレスに出会えてよかった。人生変わった。だからさ、だから、絶対このリングに帰ってくるから。絶対帰って来るから。人として、レスラーとして、もっと、もっと!素敵になって、人に夢を与えられるような、希望を与えられるような女になって帰ってきます!」と涙ながらに想いを叫び、観衆は大歓声&大喝采で送り出しました。
 バックステージに戻ったエチカさんは「1年と少しだけど、プロレスやってきて、それだけの時間でも私『プロレス大好きだな』って。この世界に入ってプロレスに出会えてよかったなって、心の底から思えたことが嬉しいです。自分の人生でこんなに、こんなに集中できること、愛することを見つけられて、私本当に幸せなんです。絶ッ対に戻ってきて、もっともっと愛されるレスラーになります」と決意を語りました。

 なんとも熱く、感動的なニュースでした。エチカさんを全面的に応援してくれたPPPのみなさんや観客のみなさんに拍手を送りたいですね。
 

 なお、プロレスといえば、20年前からDDTで男色ディーノさんが活躍していたり(一度『バディ』誌にも登場してくれました)、2008年からドラァグクイーンも登場する二丁目プロレスが開催されていたりと、ゲイフレンドリーでもある業界です。
 これからも多様なジェンダー・セクシュアリティのレスラーが活躍できる舞台として輝いてほしいです。
 


参考記事:
元高校球児のトランスジェンダー女性が女子プロレスラーとしてデビュー決定!(バトルニュース)
https://battle-news.com/?p=86075
「これから色んなものと闘っていかなきゃいけない」元高校球児のトランスジェンダー女性が誹謗中傷に負けず女子プロレスラーとしてデビュー!(バトルニュース)
https://battle-news.com/?p=88731
性転換手術前の最後の試合で初勝利!トランスジェンダーレスラーが決意の試合で涙のマイク!「私、プロレスに出会えてよかった」(バトルニュース)
https://battle-news.com/?p=109837

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