g-lad xx

NEWS

【追悼】LGBT法連合会代表理事の林夏生さん

2024年01月21日

 LGBT法連合会から20日、代表理事の林夏生さんが亡くなったとのがありました。心よりご冥福をお祈りします。
「2024年1月8日(月)、当会代表理事の林夏生が逝去されました。
 ここに生前のご厚誼に深く感謝するとともに謹んでお知らせいたします。
 なお、通夜および葬儀は近親者で執り行われ、これをもって訃報のご連絡をさせていただくこととなりました。生前ご厚情をいただきました皆様には、改めて、『林夏生さんを偲ぶ会』のご案内をさせていただきます」

 
 林夏生さんの研究者としてのプロフィールは以下の通りです。
「1970年京都生まれ。1996年東京大学大学院総合文化研究科国際関係論専攻修士課程修了、1998年10月同博士課程中退。1996年から97年にかけて韓国ソウル大学校社会科学大学外交学科に特別研究生として在籍。1998年10月から富山大学人文学部講師、2003年9月から同助教授、2007年4月から同准教授」
富山大人文学部林夏生研究室のホームページより)

 2015年に富山大で「ダイバーシティラウンジ富山」を設立し、悩みを語り合う場として「やわカフェ」を毎月運営していました。
 2020年には研究室の一角に性の多様性が学べる本や漫画などの書籍を集めた空間「多様性ライブラリ」を開設しました。

 こうした地方での取組みや研究者としての信頼もあり、TRP(東京レインボープライド)がリアル開催できなかった2021年の講座企画【LGBTQの今を知る15選】で「LGBTQと地⽅・地元コミュニティ」の講師も担当されていました。(TRP公式YouTubeチャンネルで配信されています)
 
 LGBT法連合会代表理事として、レインボー国会で挨拶したり、昨年の歴史的なP7サミットでも閉会の挨拶をつとめたり(日本のLGBTQコミュニティの知性や理性、気高さや奥ゆかしさが結晶したかのような、感動的ですらある名スピーチでした)、また、昨年2月の荒井秘書官の差別発言について「自分らしく生きても大丈夫と希望を持ちかけていた人に冷や水を浴びせた許し難い発言」と批判し、6月、国会で差別者に配慮した当事者不在のLGBT法案が採択されたことを受けての記者会見では「地方の当事者の生きづらさ、「故郷を帰れる街にしたい」との思いをずっと見てきて、法律を心待ちにしていた方もいたのを知っているだけに、引き裂かれる思いです。LGBTQが“自分は安心を脅かす存在なのか”と思ってしまいそうで、本当につらい。胸が張り裂けそうだ」と沈痛な面持ちで語っていました。




 ここからは、個人的なご縁や思い出を述べさせていただき、追悼の言葉とさせていただきます。

 本当に突然のことで、にわかには信じ難く、とてもショックでした。
 テディベアのような愛くるしさの先生…ご自身も繊細で、傷つきやすいのに、その優しさゆえにいつもマイノリティのために闘っていた方だと思います。
 
 林先生を初めてお見かけしたのは第2回レインボー国会で、リレースピーチの一人としてお話ししている姿でした。
 初めてお話しさせていただいたのは、2018年の青森レインボーパレードの時だったと思います。最初はたった3人だったのに、第5回にして(主催の翔子さんの「故郷を帰れる街にしたい」との思いに賛同して全国から参加者が駆けつけ)180人になった年でした。林先生はダイバーシティラウンジ富山のなかがわさんと一緒に富山からはるばる車で来たとおっしゃっていて、めっちゃ遠いのに…何とご苦労な…と頭が下がる思いでした。
 2019年、ソウルのパレードに初めて行ったとき、ステージで話されている内容が全くわからなかったのですが、近くにいた林先生がところどころ通訳してくださって(そのとき初めて、林先生が韓国に留学した経験があり、縁が深いということを知りました)、ありがたかったです。韓国の同性愛者を取り巻く状況の厳しさがリアルにわかるエピソードなども教えていただきました。美味しいごはん屋さんも教えてくださって、本当に感謝しています。
 その後、コロナ禍でリアルに会う機会は減ってしまったのですが、昨年のTRPでお会いしてご挨拶したのと、P7サミットでお見かけしたのが最後になりました。なにぶんお住まいが遠いこともあり、ゆっくりお話する機会をなかなか持てないままになってしまいました…。

 私と同年代ですので、おそらく中高生の頃は、林先生も性的指向(というより世間の無理解や偏見)のことでずいぶん悩んだのではないでしょうか。本当のところは知る由もないのですが、ご自身も傷ついたりしながら、世間のホモフォビアや差別・悪意に立ち向かい、苦しんでいる人たちのために声を上げ続けてきた方だと思います。縁の下の力持ちのような、私たちのコミュニティを支える大きな後ろ盾となってきた方だけに、本当に痛ましいです…。

 突然のことで、富山の方たちやLGBTQコミュニティ内でもショックを受けた方が大勢いらっしゃると思います。今後開催されるという「偲ぶ会」が、悲しみや追悼の気持ちをわかちあう(グリーフケアの)場になることでしょう。
 

INDEX

SCHEDULE