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【同性パートナーシップ証明制度】山口県が導入へ、和歌山県は来月から制度導入

2024年01月24日

 山口県の村岡嗣政知事が23日の定例記者会見で、「同性パートナーシップ制度」を県として導入する方針を表明しました。

 村岡知事は、昨年6月に設置したワーキンググループの議論やLGBTQ団体の意見も踏まえ、「性的マイノリティの方々の生きづらさを軽減し、安心して暮らせる環境整備をしていくとともに、県民の理解を増進し、性の多様性を認め合う社会の実現に向けて取り組む」と話し、県としてこの制度を導入する方針を表明しました。「利便性を考えると県全体で取り組むのがふさわしいのでは。安心して暮らせる環境を整備したい」
 具体的には、学識経験者や自治体などが参加して話し合う2月26日の「調整会議」で、宣誓書を提出する方式か、届出制にするかなど制度設計を検討し、今後、新たな要綱を策定し、県民への丁寧な周知・広報を実施するとしています。また、当事者の悩みや不安に対応する相談体制を強化するほか、職場での理解を促すため、LGBTQへの配慮のポイントをまとめたハンドブックを作成する予定です。

 県内では、宇部市がこの制度を導入しているほか、山口市も導入する方針を固めています。

 山口県弁護士会は昨年10月、他県に比べて制度導入が遅れているとして、県知事宛てに会長声明文を提出していました。

 昨年、プライドパレードを初開催した「山口レインボープライド」の実行委員長、田中愛生さんは、「山口市では導入に時間がかかった分、同居要件をなくし一歩進んだ制度ができる。県も実情に合った制度を作ってほしい」と語りました。

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 和歌山県の岸本知事は2月から「パートナーシップ宣誓制度」を導入すると発表しました。
 岸本知事は昨年2月、「基本的人権、憲法13条の問題だと思っている。全ての個人に幸福追求の権利がある以上、同性婚も認められるべきだと考えている」と述べ、同性婚支持を表明、その後、「パートナーシップ宣誓制度」の検討を表明しました。導入時期については昨年8月時点で「今年度中」とされていて、具体的な日付は未定でした。制度の概要は9月から県の公式サイトで公開され、1ヵ月間パブリックコメント(意見公募)が実施され、24の個人団体から57件の意見が寄せられました。およそ半数が制度に前向きな意見だったそうです。寄せられた意見などを参考に制度案を練り上げ、2月からの実施という運びになりました。
「子どもがいる場合、家族に相当する関係を証明することもできる」とのことで、事実上ファミリーシップ制度でもあります。
 実は和歌山県では以前から県営住宅の入居が認められていたのですが、第三者に関係性を証明してもらう書類が必要でした。制度導入後は宣誓受領証の提示で済むようになります。5市7町の公営住宅への入居も認められます。また、9市7町で保育所などの入所申込みや送迎がスムーズにできるようになるそうです。
 岸本知事は、「LGBTQの方々の幸福追求の権利を守っていくことが大事。多様な生き方があることを知り、それを受け入れ、そういう方々と一緒に歩んでいくためにも、パートナーシップ宣誓制度をつくった。ここからスタートだと考えている」と語りました。

 和歌山のLGBTQ団体「チーム紀伊水道」の副理事長でゲイの津村雅稔さん(Qちゃん)は、「これまで当事者は、同居や病院での面会を望んでも赤の他人扱いされて対応してもらえないこともあった。だから、関係を公的に証明される権利を得たことが、何より大きい」と、一方で、日常生活により近い「市町村での制度などの導入も必要」だと指摘し、「県内全域で施策や理解が広がっていくよう、今後の制度のアップデートにも期待したい」と語りました。

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 兵庫県丹波篠山市では昨年4月から「パートナーシップ宣誓制度」を導入していますが、5月に第1号として宣誓を行なったカップルのことが神戸新聞に掲載されていました。
 ヒトシさんとケンさん(ともに仮名)は、2001年、お互いの勤務地だった近畿北部の農村地域で出会い、同居するようになりましたが、誰かに交際がばれたら関係を続けられなくなるのでは…との危惧から、隠れるように暮らしていたそうです。2004年に丹波篠山市に移住してからも、周囲に関係を明かすことはありませんでした。「結婚は?」「相手はいないの?」「紹介するよ」と言われ続け、将来もずっと一緒にいられるかどうか不安になったりも…。そんな二人に転機が訪れたのが、2022年、丹波篠山市で制度導入とのニュースでした。「田舎では結婚して一人前という雰囲気がある。したくてもできないなかで、一緒に暮らす人たちがいると知ってほしい」との思いで宣誓を決意し、2023年5月に市役所に赴きました。周囲の人たちからも「おめでとう」と言ってもらえて、「人生はずっと苦しいだけじゃない。幸せになる未来もきっとある」と思えたそう。「けんかしても、宣誓第1号であることや、みんなに祝福してもらったことを思い出すと、自然と仲直りできるんです」
 
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【追記】
 北海道小樽市で25日、今月からスタートした「パートナーシップ宣誓制度」の第1号となるカップルに宣誓書受領証と受領カードが手渡されました。
 市内在住の金沢奈々さんと村田あかねさんのお二人は、今月11日にパートナーシップ宣誓書にサインを済ませていたそうです。25日には迫俊哉市長から宣誓書受領証と受領カードが手渡されました。金沢さんは「制度導入は当事者にとって大きな一歩。大変うれしい日が訪れた」と、村田さんは「手術の同意や面会など医療面ですごく安心できる」と語りました。(おめでとうございます!)



参考記事:
村岡知事 「同性パートナーシップ制度」県として導入を表明(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/20240123/4060019199.html
山口県「同性パートナーシップ制度」導入へ(テレビ山口)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/958031
県、パートナー制導入へ 来月、調整会議を設置(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/local/yamaguchi/news/20240123-OYTNT50107/
同性パートナーシップ制度 知事が導入の方針を表明(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20240124/ddl/k35/040/311000c

弁護士会「同性パートナーシップ認証制度導入を」県に要請(テレビ山口)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tys/785100

和歌山県 「パートナーシップ制度」2月から導入へ(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/wakayama/20240124/2040016632.html
和歌山県「パートナーシップ宣誓制度」2024年2月から導入 岸本知事「LGBTQの方々の幸福追求の権利を守っていくことが大事」(テレビ和歌山)
https://www.tv-wakayama.co.jp/news/detail.php?id=77775
和歌山県が「パートナーシップ宣誓制度」導入 2月1日から(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASS1R6TZKS1RPXLB001.html
パートナーシップ制度導入 県が2月から(わかやま新報)
https://www.wakayamashimpo.co.jp/2024/01/20240124_122092.html

丹波篠山市で初のパートナーシップ ゲイの2人、公的認定に「安心」 20年隠した関係、宣言がカミングアウト後押し(神戸新聞)
https://www.kobe-np.co.jp/news/tanba/202401/0017253892.shtml

小樽市パートナーシップ制度 宣誓カップルに初受領証 行政サービス利用可能に 「大変うれしい日」(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/967470/



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