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特集:2024年2月の映画・ドラマ

2024年2月に上映・放送・配信される映画やドラマの情報をお伝えします。今月は、エストニアで大ヒットを記録し、同性婚実現の原動力になったという『Firebirdファイアバード』などが上映されます

特集:2024年2月の映画・ドラマ

(『Firebirdファイアバード』より)


寒い日が続きますが、早くも梅や桜が咲いているところもあるようですね。週末、天気がよければ、劇場ギャラリー、映画館にも足を運んでみませんか? 今月は、エストニアで大ヒットを記録し、同性婚実現の原動力になったという『Firebirdファイアバード』や、フレディ・マーキュリーの晩年の真実をめぐる新たなドキュメンタリー『フレディ・マーキュリー The Show Must Go On』などが上映されます。
というわけで2024年2月に上映・放送・配信される映画やドラマの情報をまとめてお伝えします。
ちなみに2月1日はファーストデー。各館1100円〜1200円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。『ジャンプ、ダーリン』なども上映中です。
(最終更新日:2024年1月29日)
 
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2月3日上映 東京(足立)
第4回足立レインボー映画祭

 以前レポートをお届けした足立レインボー映画祭。第4回がこの2月に開催されます。『his』『リトル・ガール』という2本の名作映画を上映。各作品上映の後にトークショーもあります。『his』は松岡宗嗣さん、『リトル・ガール』は小林りょう子さん(NPO法人ハートをつなごう学校副代表理事)、平尾春華さん(Team Respect & Solidarity)が登壇します。

第4回足立レインボー映画祭
日時:2月3日(土)13:00-18:10
会場:東京芸術センター・天空劇場(足立区千住1-4-1)
定員:300名
無料
主催:足立区(多様性社会推進課)
協力:そらにじあだち





2月4日上映
ペット・ショップ・ボーイズ・ドリームワールド THE GREATEST HITS LIVE AT THE ROYAL ARENA COPENHAGEN

 英国を代表する音楽デュオ、ペット・ショップ・ボーイズのデビュー40周年を記念し、2023年7月7日に行われたツアー「DREAMWORLD」のコペンハーゲン公演の模様が映画館で上映されます(ペット・ショップ・ボーイズのボーカル、ニール・テナントはオープンリー・ゲイ。二丁目の「ArcH」に来たこともあります)
 1984年にデビューして以降、全世界で5000万枚以上の売上げを記録し、UK音楽史上最も成功したデュオとして知られるペット・ショップ・ボーイズ。2023年7月7日にコペンハーゲンのロイヤル・アリーナで行われた本公演では、「ウエスト・エンド・ガールズ」「サバービア」「オポチュニティーズ(レッツ・メイク・ロッツ・オブ・マネー)」「Left to my own devices」「レント」「ドミノ・ダンシング」「恋はすばやく」「オールウェイズ・オン・マイ・マインド 」「とどかぬ想い」「哀しみの天使」など、彼らの音楽史に刻んだキャリアの中から選ばれたヒット曲、名曲の数々が披露されました。その模様を14台のカメラで余すところなく収めた映像が、劇場公開されます。監督は、「エリック・クラプトン アクロス24ナイツ」「エリック・クラプトン ロックダウン・セッションズ」などの音楽作品で知られるデビッド・バーナードです。

ペット・ショップ・ボーイズ・ドリームワールド THE GREATEST HITS LIVE AT THE ROYAL ARENA COPENHAGEN
原題:Pet Shop Boys Dreamworld: The Greatest Hits Live at the Royal Arena Copenhagen
2024年/英国/115分/監督:デビッド・バーナード
2/4(日) 限定上映 ※東京と大阪では1/31(水)〜2/8(木)に上映。詳細は公式サイトでご確認ください




2月9日より公開
Firebirdファイアバード

 エストニアの2人の青年の秘められた愛を実話に基づいて描いたラブストーリーで、同国で同性婚が認められる原動力になった映画です。監督のペーテル・レバネは2014年、地元メディアのインタビューに「今日、エストニアは人種と寛容、あるいは国家が禁止し、侵害し、命令するもののうち、どの価値観が正しいと考えるかを選択しなければならない時に来ています。私は今ロンドンに住んでいますが、英国でも同性法案について活発な議論が展開されています。なぜなら、この春に女王が結婚法の最終版に署名したからです。それは性別に関係なく全ての人々に結婚の権利を与えるものです。エストニアでは住民投票どころか議論することさえ許されない」と答えています。その7年後の2021年、エストニアで『Firebirdファイアバード』がLGBTQ映画として初めて一般劇場公開されると、コロナ禍にも関わらず大ヒットを記録し、同国で公開されたすべての映画の中で4番目に収益を上げた作品となったそうです。この映画のメッセージは大きな反響をよび、2023年3月に国会で同性婚法案が採択されるに至りました。この映画の存在が、国をも動かす大きな原動力となったのです。
 ちなみにペーテル・レバネ監督はペット・ショップ・ボーイズ「Together」のMVなどを手がけた方です。原作はロシアの無名の俳優セルゲイ・フェティソフによる回顧録「ロマンについての物語」で、セルゲイ本人とレバネ監督、劇中でセルゲイを演じる英国の俳優トム・プライアーが共同で脚本を手がけています。

<あらすじ>
1970年代後半、ソ連占領下のエストニア。役者を夢見る若き二等兵セルゲイは、間もなく兵役を終えようとしていた。ある日、セルゲイと同じ基地にパイロット将校のロマンが配属される。写真という共通の趣味を持つ2人はすぐにひかれ合い恋に落ちるが、当時のソ連では同性愛は法的に固く禁じられており、発覚すれば厳しく処罰される運命にあった。一方、同僚の女性将校ルイーザもロマンに恋心を抱いていた。そんな中、セルゲイとロマンの関係を疑うクズネツォフ大佐は、2人の身辺調査に乗り出す…。

Firebirdファイアバード
原題:Firebird
2021年/英国・エストニア合作/107分/R18+/監督:ペーテル・レバネ/出演:トム・プライアー、オレグ・ザゴロドニー、ダイアナ・ポザルスカヤほか
2月9日より全国公開



2月11日・12日 神戸
みちくさ〜天国に一番遠い場所〜

 不登校やLGBTQ、SNSでの誹謗中傷などをテーマにした、現代に生きづらさを感じる方たちを励ますような「見て癒やされるような優しさと希望の物語」だそうです。監督の石井克典さん、プロデューサーの森中純子さんは、ともにお子さんが不登校になった経験があるといい、親としての思いがこの映画の制作につながったそうです。この映画をご覧になったある方は、「LGBTQやジェンダー、格差問題など最近多くの関心や意識も高まってきたと思います。ただ、まだまだ表現方法や伝え方によっては当事者に対する感じ方が良くも悪くも左右してしまうこともあります。本作はこういったテーマ性に対してわかりやすく目線を当事者サイドまで下げて問題提起しつつやさしく伝える力のある作品だと感じております」とアンケートに書いていました。まだ関西の一部の映画館でしか上映されていないのですが、だんだん全国に広がるのでは?と期待します。
 
<あらすじ>
シェアハウス「みちくさ」は、人里離れた大自然の中にある。開放感に包まれて暮らしているのは、様々な悩みから人生に絶望した経験を持つ若者たちだ。こんな場所に見慣れない女と男がいる。若者たちは息を潜めて様子を伺うと他人のように見えた二人が同時に「死にたい」と呟いた。セクシュアリティは誹謗中傷の的になり、性自認にそって生活することも困難を極める。周囲に打ち明けることができない二人もまた人生に絶望を感じて、ここへ来たのだ。彼らは何を求めてこの場所へ訪れたのか。
「みちくさ」の若者たちは、好奇心から「死にたい二人」へ近づいてゆく…。

みちくさ〜天国に一番遠い場所〜
2023年/日本/88分/監督:石井克典/出演:折目真穂、冨士田伸明、速瀬愛ほか
2月11日(日)12:30、16:30、12日(祝)12:30、16:30、神戸三宮シアター・エートーにて上映。予約はこちら




2月16日より公開
フレディ・マーキュリー The Show Must Go On

 フレディ・マーキュリーの新しいドキュメンタリーが届きました。
 派手なステージ・パフォーマンスや4オクターブの音域で知られるクイーンのリード・ボーカル、フレディ・マーキュリー。彼の出生からクイーンの結成、世界を席巻した音楽活動、HIVに感染して45歳の若さで急逝するまでの激動の人生を貴重な写真・映像、関係者達のインタビューで綴ります。晩年、エイズに感染しながらもその事実をひたすら隠し続けた真意や、クイーンのメンバーの想いなども収録されており、改めてフレディを苦しめた死の真相が解き明かされているそうです。フレディ・マーキュリーの知られざる一面が、写真・映像、関係者の証言から浮き彫りにされる中編ドキュメンタリー、世界に先駆け早くも日本に初上陸!とのことです。

フレディ・マーキュリー The Show Must Go On
原題:Freddie
2023年/英国/49分/監督:フィンレイ・ボールド

 


2月23日より公開
ネクスト・ゴール・ウィンズ

 実話をベースに、世界最弱といわれた米領サモアチームの挑戦を描くスポーツコメディドラマです。チームの一人、ジャイヤ・サエルアがFIFAワールドカップ初のトランスジェンダー選手として知られています(自身はファファフィネというサモアにおける第三の性を自称しています)
 監督は『ソー:ラブ&サンダー』や『ジョジョ・ラビット』を手がけたタイカ・ワイティティ。主演は『X-MEN』シリーズや『SHAME -シェイム-』で知られるマイケル・ファスベンダーです。
 トロント国際映画祭で上映されるやスタンディングオベーションが巻き起こり、メディアも「タイカ・ワイティティは実話にハートとユーモアをもたらした」「疑いなく万人に愛される作品!」「ワイティティ印の愉快なスポーツ・ドラマ」と賞賛したそうです。

<あらすじ>
米領サモアのサッカー代表チームは、2001年にワールドカップ予選史上最悪となる0対31の大敗を喫して以来、1ゴールも決められずにいた。次の予選が迫る中、型破りな性格のためアメリカを追われた鬼コーチ、トーマス・ロンゲンが監督に就任し、チームの立て直しを図るが……。

ネクスト・ゴール・ウィンズ
原題:Next Goal Wins
2023年/英国・米国合作/104分/監督:タイカ・ワイティティ/出演:マイケル・ファスベンダー、オスカー・ナイトリー、レイチェル・ハウスほか
2月23日より全国公開



2月24日上映 小樽
小樽LGBTQ映画祭

 小樽プライドが新たにLGBTQ映画祭を開催することになりました。上映作品は『FLEE フリー』『そばかす』『片袖の魚』という、実に素晴らしいラインナップです。小樽や札幌のみなさん、ぜひ。

2024小樽LGBTQ映画祭
日時:2月24日(土)
開催地:小樽市生涯学習プラザ(レピオ)
無料、自由席
定員:各回50名
チケット予約フォーム
問い合わせ: otarupride@gmail.com



2月27日より配信
アメリカン・フィクション

 アカデミー賞で作品賞を含む5部門にノミネートされている『American Fiction』がアマプラで配信されます。小説家である主人公が黒人のステレオタイプを利用した小説で大人気になるというブラックコメディです。主人公・モンクの兄弟がゲイで、『THIS IS US/ディス・イズ・アス』のスターリング・K・ブラウンが演じ、アカデミー助演男優賞にノミネートされています(なお、主人公を演じたジェフリー・ライトは『エンジェルス・イン・アメリカ』でゲイの看護師ベリーズの役を演じ、トニー賞助演男優賞を受賞した人です)。クィアの作曲家であるローラ・カープマンも作曲賞にノミネートされました。作品賞や脚色賞にもノミネートされています。オバマ元大統領もお気に入りだと語っている作品です。
 
<あらすじ>
ある挫折を味わった黒人の小説家モンクが、攻撃的な表現に頼った“ブラックエンタテインメント”が利益を得る現状にうんざりし、自らも冗談で突飛な黒人小説を執筆する。モンクは酔った勢いで黒人のステレオタイプを取り入れ、自分自身をパロディした模擬回顧録を書くが、その本は世間でたちまち大人気となってしまう。

アメリカン・フィクション
原題:American Fiction
2023年/米/117分/本国ではR指定/監督:コード・ジェファーソン/出演:ジェフリー・ライト、トレイシー・エリス・ロス、スターリング・K・ブラウンほか
Amazon prime videoで2月27日より独占配信(URLがわかったら更新します)
※ちなみにアマプラでは16日から『ウエスト・サイド・ストーリー』『グレイテスト・ショーマン』が、23日から『ムーラン・ルージュ』も配信されるそうです

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