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仙台の小浜さんが婚姻届を提出、不受理の場合は違憲だとして家事審判申し立てへ

2024年02月07日

 仙台市に住む「にじいろCANVAS」共同代表の小浜耕治さん(61歳)が6日、パートナーの方との婚姻届を区役所に提出しました。受理されるかどうかは後日、市から連絡があるということで、受理されなかった場合、受理するよう求める審判を家庭裁判所に申し立てることにしています。


 小浜さんは6日午前、仙台市太白区役所を訪れ、窓口で担当者に書類を手渡しました。受理されるかどうかは後日、市から連絡すると伝えられたということです。
 提出のあと、小浜さんは弁護士らとともに仙台市内で会見し、パートナーが79歳と高齢になったことから、パートナーが今後、大きな病気などにかかった際、家族として認められず、病状の説明を受けたり、パートナーの代わりに意思決定したりできない可能性があり、また「一緒に住むマンションの相続も心配だ」として、婚姻届を出すことにしたと語りました。婚姻届が受理されなかった場合、幸福追求権を定めた憲法13条のほか、「法の下の平等」を保障した憲法14条、婚姻の自由や平等を定めた憲法24条などに違反するとして受理を求める審判を家庭裁判所に申し立てる考えです。「どう判断してもらえるかというところなんですけど、このまま通ってほしいなというところは率直な気持ちとしてあります」「マイノリティが制度の枠から外れている現状がある。社会が変わらないと困ると本気でやっています。そういったことを受け止めてほしいです」
 弁護士によると、同性婚をめぐっては全国各地で訴訟が起こされていますが(「結婚の自由をすべての人に」訴訟)、パートナーが高齢のため、比較的短い期間で判断が出される家庭裁判所の審判という方法を選んだということです。(同性カップルによる婚姻届の提出は2014年に行なわれましたが)同性婚をめぐる司法手続きは、東北では初めてです。
 
 仙台市は同性パートナーシップ証明制度を来年度中に導入する予定ですが、法的な効力がないため、小浜さんは不十分だと感じているということです。
 小浜さんは「同性と結婚ができないことで、これまで自分たちの関係は正式なものではないと捉えなければならず、家族や周囲の人たちにも関係を話しづらい理不尽さを感じていました。社会の人たちにさまざまな性の人が当たり前にいることを知ってほしい」「世の中は変わっている感触はあるが、実際に意識の面で変わっていっても制度は変わっていかない。当たり前の穏やかな老後を過ごしたい」と語りました。


 仙台市がどのような判断を示すかはまだわかりませんが、もし婚姻届を受理していただけたら、歴史的な出来事になるでしょう。
 海外では、例えば2004年に(カリフォルニア州で同性婚が認められていないにもかかわらず)サンフランシスコ市長に就任したばかりのギャビン・ニューサムが同性カップルに結婚許可書を発行し、世界的なニュースになっています(こちらのコラムでもお伝えしたように、カリフォルニア州の司法長官が州法に基づき、結婚許可書の発行即時停止と同性婚無効の訴えを州最高裁判所に起こしましたが、州最高裁判所がこの訴えを却下したため、サンフランシスコ市の同性婚は当面の間続くことになりました。サンフランシスコで一時的にでも同性婚が認められたことは、米国の同性婚をめぐる歴史における重要なモーメントの一つになったと言えます)



参考記事:
同性パートナーとの婚姻届提出 不受理なら審判申し立てへ(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20240206/6000026520.html
仙台市の同性カップルが婚姻届を提出 不受理の場合は家庭裁判所に申し立てへ(東日本放送)
https://www.khb-tv.co.jp/news/15151606
仙台の同性パートナー婚姻届提出 不受理で家事審判へ「議論の場少ない」(仙台放送)
https://www.fnn.jp/articles/-/653794
同性婚を認めないのは「違憲」 男性カップル、家事審判申し立てへ(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15857973.html
仙台の同性カップル、家事審判申し立てへ「婚姻届不受理なら違憲」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20240206/k00/00m/040/171000c
同性カップルが仙台市に婚姻届提出 数日中に不受理となる見通し 家事審判を申し立てへ(河北新報)
https://kahoku.news/articles/20240206khn000024.html

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