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【婚姻平等訴訟】2月14日、訴訟開始から5年の節目を迎え、様々なアクションが行なわれました

2024年02月15日

 2019年2月14日、全国5ヵ所で一斉に始まった「結婚の自由をすべての人に」訴訟。昨年、5ヵ所の地裁の判決が出揃い(判決の詳細はこちら)、現在も6件の裁判が進行中です。婚姻平等訴訟が始まってからまる5年の節目となる2024年2月14日、仙台で婚姻届の受理を求める申立てが行なわれただけでなく、東京では「Marriage For All Japan -結婚の自由をすべての人に」(以下MFAJ)が「バレンタインデーアクション」として様々なイベントを開催しました。


 まず14日朝、東京都の品川駅前で「結婚の自由をすべての人に」訴訟の弁護団や支援者の方などが通勤途中の方などにバレンタインデーのチョコレート(多様性のメッセージが書かれた明治の「マーブル」)と「結婚の自由をすべての人に」訴訟についてのチラシなどを配布しました。
 このアクションにはKANE&KOTFEさんも参加しました。「チョコは、思ったより受け取ってもらえた。社会が変わってきていると思う」とKOTFEさん。KANEさんは「同性婚について日本中の人に知ってもらえるように、裁判所は、原告や弁護団が喜べる判決を出してほしい」と語りました。


 14日10時半からは、3月14日に判決を控えている北海道と東京ニ次訴訟の弁護団と原告が都内で共同記者会見を開きました。東京第二次訴訟の一審(地裁)判決はこれまでの裁判で出た課題を集約するような最後の地裁判決となります。そして札幌では全国初の二審(高裁)の判決です。奇しくも同じ3月14日に判決が出ることになり、注目のW判決となります。
 会見で北海道訴訟弁護団の須田布美子弁護士は、提訴した2019年には11の自治体しか導入していなかった同性パートナーシップ証明制度が現在では少なくとも392の自治体で施行され、その人口カバー率が80%を超えていることや、複数の新聞社の世論調査で「同性婚を認めるべき」だという回答が7割前後に上っていることを挙げ、「世の中はすでに変わっている。3月14日の2つの判決に注目し、それを受けた国会の動きにも注目してほしい」と話しました。
 東京二次訴訟弁護団の上杉崇子弁護士は、これまでの地裁判決で示された、憲法14条1項と憲法24条2項の違憲判断のほかに、これまでは認められてこなかった憲法24条1項の「婚姻の自由の侵害」がどう判断されるかが大きなポイントだと説明しました。
 東京二次訴訟原告の鳩貝啓美さんは、婚姻関係にあれば雇用保険の介護休業給付や健康保険の扶養、配偶者控除、相続などの権利が当然のように認められるのに対し、「何十年も連れ添った私達は果たして晩年でもお互いのそばにいて守り合えるのでしょうか」と不安な気持ちを語り、「きっぱりとした違憲判決を出してほしい」と訴えました。
 北海道訴訟原告の中谷衣里さんは、自治体のパートナーシップ制度ではペアローンが組めなかったことや、事故にあった際に警察の聴取で理解されづらかったことなど、異性カップルならば起きない苦労について語り、3月14日の札幌高裁判決ではこれまでの裁判では違憲判断が示されなかった憲法24条1項などついても「前向きな判断を下してほしい」と訴えました。
 3月14日は、午前10時30分ごろ東京二次訴訟で判決が出る見通しで、午後3時以降に札幌高裁で判決が出る見通しです。

 
 
 そして18時半からは、「どうなる? 最高裁判決」と題したシンポジウムがハイブリッド開催されました。
 3月14日に札幌高裁で全国初の高裁判決が出ますが、来るべき最高裁での審理はいったいどうなるのか、どのような判断が下されるのか、注目が高まっています。そこで、元最高裁判事で弁護士の山浦善樹さん、憲法学者の糠塚康江さん(東北大学名誉教授)、同じく憲法学者の駒村圭吾さん(慶應義塾大学法学部教授)をパネリストに迎え、最高裁の審理は実際にどのように進むのか(どの判事にどの案件が渡るかはそのときになってみないと全くわからないそう。また、調停官という人がさまざまな補佐をするそうです)、最近の最高裁の傾向(昨年のトランス関連の最高裁判決なども踏まえ)、そしてズバリどのような判決が下されるのか(予想が難しいそうです)といったお話が展開されました。専門家のみなさんによる実にエキサイティングなお話で、たいへん面白かったのと同時に、少なくとも違憲だとする判決は出るだろうとの期待が持てるようなお話でした。

 



参考記事:
「同性も結婚できる制度を」 バレンタインにチョコ配布 当事者ら(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASS2G61NSS2GUTFL00R.html

「結婚の自由をすべての人に訴訟」3月14日のダブル判決を前に原告と弁護団が会見「世の中はすでに変わっている。二つの判決、それを受けた国会の動きにも注目してほしい」(MBS)
https://www.mbs.jp/news/feature/kansai/article/2024/02/099007.shtml

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