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【同性パートナーシップ証明制度】沖縄県や滋賀県が制度導入を発表、山口県は9月から開始

2024年02月27日

 沖縄県が26日、同性パートナーシップ証明制度を導入する方針を示しました。現在は那覇市と浦添市の居住者に限られているのを将来的に県内全域に拡充します。証明書があれば県営・市町村営住宅に入居できる可能性があります。導入時期は未定です。
 開会中の県議会2月定例会で西銘純恵県議(共産)の質問に対し、宮平道子子ども生活福祉部長が「制度導入に向けて取り組む」「先行自治体の手続きや課題、導入後の実施状況などを整理し、県内市町村との意見交換を進める」と答弁しました。県は制度導入後、自治体や民間企業に制度への理解と協力を促す考えです。
 沖縄県は2021年3月、都道府県としては初めてのLGBTQ支援宣言となる「沖縄県性の多様性尊重宣言(美ら島にじいろ宣言)」を発し、相談窓口も設けています。県知事の玉城デニー氏はたびたびピンクドット沖縄に登壇したり祝辞を寄せたりしてくださっています。

 那覇市議会で今月行なわれた代表・一般質問で、「那覇市パートナーシップ・ファミリーシップ登録」制度に関連し、早ければ3月初旬にも住民票の続柄について、現行の「同居人」から「縁故者」に変更可能とすることが明らかに明らかにされました。西中間久枝市議(共産)の質問に対し、渡慶次一司市民文化部長答えたものです。渡慶次部長は「現在、窓口の受託事業者や職員が統一的な対応が徹底できるよう、内部規定の取りまとめを行なっている」と述べました。
 那覇市は2013年からピンクドット沖縄を共催しており(後援ではなく自治体がプライドイベントを「共催」するのは全国初)、2015年に「性の多様性を尊重する都市・なは宣言(通称・レインボーなは宣言)」を発してLGBTQ支援施策を展開し、2016年7月には全国で5例目となる「那覇市パートナーシップ登録」制度を導入しました。2022年度から制度を「那覇市パートナーシップ・ファミリーシップ登録」制度に拡充し、登録したカップルの子や親も家族として承認し、証明書を発行してきました。琉球新報によると、2月21日現在、ファミリーシップには4組が、パートナーシップには4組を含む計58組が登録されているそうです。

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 今年1月に県としての制度導入を表明していた山口県が26日、9月の施行を目指す方針を明らかにしました。
 同日、県庁であった調整会議で示された制度案では、当事者双方が署名した宣誓書を県へ提出すると、知事が受領証と受領カード、宣誓書の写しを交付するという宣誓方式になっており(宣誓書では通称名も使用できます)、申請や届け出といった行政手続きの際、委任状が不要な家族と同等の扱いを受けられる見通しです。県は3月に県議会へ報告し、4月にも実施要綱を公布するそうです。
 県は今後、県内ですでに導入している宇部市と、4月に導入予定の山口市のほか、近隣県と連携して利用できる行政サービスの相互乗り入れを実施する計画で、病院や介護施設でパートナーの病状説明を受けられたり、賃貸住宅で共に入居できたりするよう、民間事業者の取組みも募集するそうです。
 調整会議には、弁護士や市町の担当者のほか、オープンリー・ゲイの田中愛生さんら12人の委員が出席し、委員からは「宣誓が市町の施設でもできるようになったほうが利便性が高まる」「市町で代行できる仕組みができないか」といった意見や、宣誓したカップルが利用できる行政サービスの運用への質問も出たそうです。
 山口放送の取材に対し、田中愛生さんは、「ヨーロッパに長く生活していたなかで人権として当たり前に享受していたものが、日本に帰ってきたらできなかった。やっと山口県でも一歩進んだんだなという気持ちです」と語っていました。
 
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 京都市は「パートナーシップ宣誓制度」について4月から、同様の制度がある京都府の福知山市、綾部市など7自治体、大阪府の大阪市や堺市など12自治体、兵庫県の尼崎市や西宮市など11自治体、計30の自治体と連携していくそうです。
 京都市によると、今回の連携で、これらの自治体に引っ越しをする際、宣誓受領書を返却して転出先で改めて宣誓の手続きを行なうことが不要になり、簡易な手続きで制度を継続利用できるようになります。京都市共生社会推進室の水野正宏人権文化推進課長は「今後も都市間の連携を広げ、利用者の負担を軽減していきたい」と話しています。
 NHK京都によると、京都市では、4年前に制度が始まって以降、昨年末までに150組が宣誓したそうです。

 なお、京都府南丹市が4月1日から「パートナーシップ宣誓制度」を導入するそうです。京都府内では8例目となります。

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 滋賀県が「パートナーシップ宣誓制度」の骨子案をまとめました。来年度中に導入するそうす。
 2月5日、大学教授や弁護士などでつくる審議会が開かれ、制度の骨子案が示されました。手続きは県の人権施策推進課のプライバシーが守られる会議室などで行なわれ、公営住宅への入居ができるようにするほか、証明書に子どもの名前も記載でき、子育て支援も受けられるようにするということです。審議会では「受けられる行政サービスの一覧があった方がいい」などの意見が出されました。
 審議会の会長を務める神戸大学名誉教授の坂元茂樹さんは「同性カップルなどが抱えている生きづらさを少しでも解消したい」と話していました。
 関西では大阪府と和歌山県がすでに制度を導入し、兵庫県が今年4月からの導入を決めていますので、滋賀県は4例目となります。

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 三重、岐阜両県知事の懇談会が2月21日、津市で行なわれ、両県の「パートナーシップ宣誓制度」の相互連携などに取り組むことが確認されました。
 三重県は2021年9月に同制度を導入し、岐阜県も昨年9月から制度を導入していました。

 全国の都道府県では、2月1日時点で21都府県が導入済みで、今後、兵庫県や愛知県、沖縄県、山口県、滋賀県でも導入予定ということで、今年度中に過半数に達する見込みです。今後、制度導入済みの都道府県間での連携も(すでに茨城県と佐賀県が2022年から始めていますが)進んでいきそうですね。

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 神奈川県横須賀市は2024年度から、新居の家賃や引っ越し費用を1世帯当たり最大60万円補助する結婚新生活支援事業をスタートさせますが、「パートナーシップ宣誓証明制度」の利用者にも適用されることがわかりました。
 市企画調整課によると、結婚新生活支援事業は、国の「地域少子化対策重点推進交付金」を活用して実施するもので、県内では秦野市や湯河原、山北町など県西部を中心に導入されています。人口減や少子化が進む横須賀市は、市内定住への契機としてもらうため、事業導入を決めました。
 対象者は2024年4月1日~2025年3月31日に婚姻届を提出またはパートナーシップ宣誓を行なったカップルのうち、二人とも39歳以下で、どちらかが市内に住民登録があり、所得合計額が500万円未満であること。3年程度は市内に住むことも条件としています。

 自治体が新婚夫婦を応援する制度で同性カップルも対象とした例は、群馬県の「ぐんま結婚応援パスポート」(通称「コンパス」)が最初ではないかと思われますが、異性カップルも同性カップルも分け隔てなく同じ制度を適用してくれるのは、とてもうれしいことですよね。
 横須賀市は全国的に見ても最も先進的にLGBTQ施策を進めてきた自治体の一つで、2012年には職員向けの研修を行ない、市の公式サイトに「性的マイノリティ」についてのページを設けて市民に理解を促し、同性パートナーシップ証明制度導入以前から、同性パートナーが市立病院で手術を受ける際に同意書への署名を認めたり、同一世帯で住民登録ができるようにしたり、同一世帯で国民健康保険に加入できるようにしたり、同性カップルを里親に認定するなどしてきました。2021年に横須賀でIDAHOBITのアクションが行なわれた際は、市がパネル展を開いたり、市長さんがビデオメッセージを寄せたりしています。
 今回の結婚新生活支援事業についても、県内の他の市町では(パートナーシップ宣誓制度を導入しているにもかかわらず)同性カップルを対象に含めていませんが、横須賀市は平等に対象に含めることにしたのです。素晴らしいですね。


  
参考記事:
沖縄県が「パートナーシップ制度」導入へ 同性カップルの公的証明書、県全域に拡充(琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-2844062.html
同性カップル 住民票の続柄「同居人」→「縁故者」も可能に 那覇市がパートナーシップ制度拡充、市議会で答弁 沖縄(琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/news/region/entry-2841009.html

同性パートナーシップ宣誓制度の9月施行に向け山口県が調整会議(山口放送)
https://news.ntv.co.jp/n/kry/category/society/kr8654465811e04869a957fdd11dc8e62f
[山口県]県、パートナーシップ制度9月施行へ 行政手続き 委任状不要な家族と同等扱い見通し(山口新聞)
https://yama.minato-yamaguchi.co.jp/e-yama/articles/70568
「パートナーシップ宣誓制度」山口県が調整会議初会合(中国新聞)
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/429977
 
京都市 「パートナーシップ宣誓制度」で30自治体と連携へ(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kyoto/20240222/2010019582.html
京都府南丹市が「パートナーシップ宣誓制度」 LGBTQのカップル公認(京都新聞)
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1202194

滋賀県 パートナーシップ宣誓制度の骨子案まとまる(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/20240205/2060015196.html

「パートナーシップ宣誓制度」相互連携など、取り組み確認 三重、岐阜両県知事の懇談会(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/857193

新婚さん定住支援へ 横須賀市が今春から補助金 家賃など1世帯当たり最大60万円(神奈川新聞)
https://www.kanaloco.jp/news/government/article-1059495.html

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