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pecoさんがryuchellさんとのことも綴ったエッセイを発表しました

2024年03月10日

 pecoさんが初めてのエッセイ『My Life』を刊行、ryuchell(りゅうちぇる)さんとの出会い、結婚、出産、そして夫婦関係を解消して「新しい家族のかたち」に至るまでのこともありのままに綴られているそうです。pecoさんはこのエッセイについて語った「好書好日」のインタビューでもryuchellさんのことを語っています。あらためて二人の愛の強さに感じ入り、心に沁みるものがありました。 
 

 昨年7月、ryuchellさんが亡くなったことは、本当にショックな出来事でした。
 pecoさんは10月1日放送のフジテレビ「ボクらの時代」に出演し、そのことについて語りました。

 今回の「好書好日」のインタビューによると、pecoさんは2022年にryuchellさんと夫婦関係を解消して「新しい家族のかたち」になることを発表した際、応援の言葉もたくさんいただいたけど、なかには「pecoちゃんは優しすぎるよ」「大丈夫なの?」といった心配の声もあったことをきっかけに、この『My Life』を書くことにしたそうです。pecoさんも当初は「泣いたり苦しくなったり」したそうですが、自身の思いを言葉にすることによって「これで大丈夫だ」とだんだんと心の整理ができるようになったといいます。
 pecoさんにとってryuchellさんは「何が起きても絶対に味方でいる」家族であり、カミングアウトを受けたときは驚いたものの、「勇気を振り絞って言ってくれてありがとう」と思えたそうです。「ryuchellは「だましていてごめんね。嘘ついてごめんなさい」と言ってくれたんですが、私は今でもだまされていたとか、嘘をつかれていたとはまったく思いません」「それはryuchellからの愛をきちんともらっていたから。私にしかわからないことですし、周りが何と言おうと、その愛は揺るがないので、ryuchellからの告白も受け入れられました。そこからは、ryuchellが自分らしく、今まで抑えていた部分を放てるようにどうしたらいいか、一緒に考えていけたらいいなと思いましたね。生まれ育った環境も、親から受けた愛の形もそれぞれ違うように、私たちも違う。そんな私たち、そして息子に対して、何が一番良いかの話し合いは最初平行線ですごく大変でした。ただ、同じ家族を思ってのことには変わりがないので、本当に頑張りました」

 pecoさんはさらに、「もし身近に、自身の性について迷ったり悩んだりしている人がいたら、どのように声をかけますか」との質問に対し、「例えば、自分の子どもが性について悩んでいたら、私は「本当にそのままでいいよ」と伝えたいです。身近な人が悩んでいて、さらにそのことを言うか言わないか迷っていたら、「あなたがもし言いたいんだったら言えばいいし、言いたくなかったら言わなくていいよ。でも、あなたはあなただよ」って言ってあげたい」と語っています。「ただ、これがパートナーだった場合、私の場合はましてやそこに子どもがいる以上は、ありのままでという自分たちの思いだけで動けることじゃないからこそ、すごく難しくて複雑なことだと感じました。ですが、自分と家族が選んだことは絶対大丈夫という自信があります」
 
 pecoさんってなんて素敵な方なんだろうとあらためて感じさせるお話でした。
 ryuchellさんが亡くなってしまったことは本当にショックで、まだまだこの悲しみが癒える日が来るとは思えないのですが、お二人の息子さんが、ryuchellさんの優しさと、pecoさんの強さを受け継いでいるというお話は希望を感じさせました。
 
 『My Life』の「おわりに」でpecoさんはこのように綴っています。
「認め合い受け入れる、そんな世界になればもちろんとても平和だけど、冷めてると思われるかもしれないけど、正直わたしは
そんな時代がくることはないんじゃないかなと思っています。
 そんな時代がくることをめざすことももちろん素敵だけれど、わたしはもし自分の思いを否定されたときにも「あなたはそうなのね」とただそれだけを思い、自分の芯さえしっかり持てる強さを培うことの方が、そのゴールに近づくんじゃないのかなと考えるこの頃です」
 自分らしく生きようとする人に容赦なく心ない言葉が投げつけられる今の世の中に生きていると、違いを認め合い受け入れる時代が来るなんて絵空事のように感じられてしまう、けど、どんな人を好きになるか、どんな関係を結んでいくか、どんな自分として生きていくかということを否定する人たちに惑わされることなく、自分は自分だという信念を曲げず、強く生きていくことが大切ではないかという決意の表明であり、同時にそれは、心ない言葉に傷つけられてきた私たち(やryuchellさん)への応援・励ましの言葉でもあると感じました。
 ryuchellさんのことを偲びながら、遺されたpecoさんや息子さんに思いを馳せながら、『My Life』を読んでみてはいかがでしょうか。




参考記事:
peco さん初エッセイ本に込めた思い。「新しい家族のかたち」から永遠の別れ、彼への愛はずっと揺るがない(好書好日)
https://book.asahi.com/article/15189298

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