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【同性パートナーシップ証明制度】大分県、愛知県犬山市・東浦町、福井県大野市が4月から導入、福島県も導入を表明

2024年03月27日

 大分県は昨年10月、「早ければ2024年4月にも「パートナーシップ宣誓制度」を導入する」との方針を明らかにしていましたが、佐藤知事が26日の定例会見で4月1日から導入することを発表しました。知事は「性的少数者の安心感を醸成させるとともに、住まいや医療などの生活上の困りごとの解消も図っていきたい」と述べました。また、同日、県の公式サイトに「大分県パートナーシップ宣誓制度が始まります!」というページが設けられました。

 大分県の「パートナーシップ宣誓制度」の申請については、県庁に書類を持参する方法のほか、オンライン申請(書類を郵送した後、オンラインで必要な面談を行なうかたち)でも受け付けます。
 宣誓を受理されパートナーシップ証明書を交付されたカップルは、県営住宅への入居の申込みや、県立病院でパートナーが手術を受ける際の治療の方針への同意などが認められるようになります。さらに、大分市や日田市などすでに制度を導入している自治体で受けられる行政サービスも全市町村で利用できるようになります。また、犯罪によってパートナーが死亡するなどした場合は自治体から最大30万円の見舞金を受け取ることができるそうです(昨日の最高裁判決を受けての措置でしょうか。素晴らしいです)

 大分県ではこれまでに臼杵市や大分市など6つの市がすでに「パートナーシップ宣誓制度」を導入しているほか、来月1日から佐伯市、由布市、宇佐市、姫島村でも導入されます。

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 香川県善通寺市はすでに導入している「パートナーシップ宣誓制度」を拡充し、来月から「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」とすることにしました。宣誓したカップルだけでなく、その子どもや親なども家族と認める制度です。市営住宅への入居の申し込みの際に親族として申請できるほか、保育所などの入所手続きを保護者として行なえるなど、一部の行政サービスが利用できるようになります。また市職員については、介護休暇や育児休業が取れるようになります。
 香川県内ではこれまでに高松市など4つの市がファミリーシップ宣誓制度を導入していて、来月からは善通寺市のほか坂出市も導入を予定しているそうです。
 善通寺市は「これまでよりも多様な家族の形を認め、支援するとともに、制度の導入によって市民の意識が高まり企業のサービスも広がれば」としています。

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 愛知県犬山市も4月1日から「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を導入します。
 同制度は「日常生活において協力し合うことを約束した一方又は双方が性的マイノリティであるお二人が、人生のパートナーシップにあることを宣誓し、市が宣誓したことの証明として、証明書等を交付する」ものです。「また、生計を共にする未成年のお子さまがいる場合は、そのお子さまと家族関係にあること(ファミリーシップ)を宣誓することもできます」
「この制度は、婚姻制度とは異なり、法律上の効力(相続、税金の控除等)が生ずるものではありませんが、周囲の理解が得られないことによる悩みや生きづらさを少しでも軽減し、お二人の自分らしい生き方に寄り添うことを目的としています」(市の公式サイトより)
 犬山市での制度の導入は、地元のLGBTQ+Allyのグループ「犬山木もれ陽」の働きかけによって実現したんだそうです。

 なお、同じ愛知県の東浦町も4月1日から「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を導入します。宣誓したカップルは、同一世帯であれば住民票に続柄を「縁故者」と記載できるようになるほか、町営住宅への申込み、保育所入所の申込みも可能になります。

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 福井県大野市は26日、「パートナーシップ宣誓制度」を4月1日に導入することを発表しました。
 これまで県の宣誓制度を利用したカップルが享受できていた公営住宅での同居、公立医療機関での面会などに加えて、宣誓によって新たに罹災証明書などの交付手続き、住宅災害見舞金支給申請手続きが認められるようになるそうです。
 制度導入に向けて市は2023年度、性の多様性についての職員研修や人権についてのパネル展などを行なってきたそうです。

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 新潟県上越市が「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を2月1日に導入しましたが、2月29日までに2組のパートナーシップ宣誓があったそうです。導入を求めて活動してきた「上越市にパートナーシップ制度を求める会」は、新たに「上越市にパートナーシップ制度を広める会」(阿部和子代表)を結成し、啓発活動に取り組むことにしています。

 制度の導入について、市議会3月定例会一般質問で中川幹太市長は、昨年LGBT理解増進法が施行され、性の多様性に寛容な社会に向けた活発な議論や全国の自治体で制度導入が進んでいることなどを踏まえて「総合的に判断した」と説明しました。「活用できるサービスの拡充を検討するとともに、多くの市民が性の多様性を認識し、理解を深めてもらうことが重要」と述べ、市民セミナーの開催や『広報じょうえつ』などによる啓発活動を行なっていくと述べました。
 署名活動を展開した「求める会」は、制度導入を受けて2月に新たに「広める会」を結成し、同市に対し教育現場や民間事業所への周知など、市民への啓発を積極的に展開するよう要望しています。5月には同会が主催し、制度導入の報告と周知を目的とした「集い」を開催する予定です。代表の阿部さんは「制度を導入して終わりではなく、広く市民に知ってもらわなければ意味がない。これからも啓発活動を行なっていく」と語っています。

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 千葉県では、この4月1日から結婚休暇の対象を同性のパートナーのいる職員にも拡大します。忌引きや看護休暇、扶養手当、住居手当、単身赴任手当などについても同様の対応にするということです。
 県の結婚休暇は、法律婚か事実婚の職員が社会的に結婚したと認められる日から原則1ヵ月以内に連続7日間の休暇を取得できる福利厚生です。これが4月から同性のパートナーがいる職員にも適用されます。自治体のパートナーシップ証明書を提出するなど実態を証明したうえで申請すれば認められます(なお、千葉県では、同性パートナーシップ証明制度はまだ導入されていませんが、千葉市、市川市、船橋市、松戸市、習志野市、柏市、浦安市、市原市、木更津市、君津市、流山市などで導入されています。千葉市は2016年、全国で初めて同性パートナーがいる市職員にも結婚・介護休暇制度の利用を認めています

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 福島県南相馬市は「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」を5月13日から導入することを決めました。
 市は「性的マイノリティのカップルらの社会生活上の生きづらさを少しでも軽減し、自分らしい生き方に寄り添うことを目的」とし、2月以降、パブリックコメントを募り、地域協議会を開くなどして、制度導入の準備を進めてきました。25日に臨時庁議を開き、正式に制度導入を決めました。宣誓したカップルが受けられる行政サービスの内容については「各課と協議中」だそうです。
 福島県内では、伊達市が1月から導入し、富岡町や福島市も導入を検討しています。

 こうした県内自治体の動きや有識者からの指摘を受け、県の担当者は「制度の導入に向けて検討を進める」と明らかにしました。具体的なスケジュールなどは未定だそうです。
 県はこれまで「住民に身近なサービスを提供する市町村などの意向を聞く」などとし、制度導入の態度を明らかにしてきませんでした。
 2月に開かれた県男女共同参画審議会では、県に対し、委員を務める弁護士や大学教授から「憤りすら感じるくらい進まないと感じている」「県がリーダーシップを発揮してほしい」といった声が上がり、「県にパートナーシップ・ファミリーシップ制度の導入に着手してほしい」という意見をまとめました。審議会長を務める藤野美都子・県立医科大特任教授は「制度を導入し、多様な人々に居場所をつくり、包容力がある県だとアピールすることが、若者の県外流出を防ぐことにつながる」と語っています。



参考記事:
「パートナーシップ宣誓制度」県が来月導入 オンライン申請も(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/oita/20240326/5070018134.html
同性のカップルの公営住宅入居など可能に「パートナーシップ宣誓制度」県が4月から導入(テレビ大分)
https://news.ntv.co.jp/category/society/to0efe80e2d53042668db1379df0f64148
「パートナーシップ宣誓制度」大分県が4月1日から導入(大分放送)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1076064?display=1

善通寺市 性的マイノリティー 来月から子どもや親も家族認定(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/20240325/8030018062.html
善通寺市 ファミリーシップ宣誓制度を4月から開始 香川(KSB瀬戸内海放送)
https://news.ksb.co.jp/article/15206620

パートナーシップ宣誓制度 大野市 1日に導入(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/874676

2月導入の上越市パートナーシップ制度で2組が宣誓 新たな市民団体「制度を広める会」結成(上越タウンジャーナル)
https://www.joetsutj.com/2024/03/27/175307

結婚休暇 同性パートナー職員も 千葉県(千葉テレビ)
https://www.chiba-tv.com/plus/detail/20240395801
同性パートナー持つ職員も結婚休暇可能に 扶養手当なども対象に 千葉県職員、4月から(千葉日報)
https://www.chibanippo.co.jp/news/politics/1206787

南相馬市がパートナーシップ・ファミリーシップ導入決定 3自治体目(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASS3T71N7S3TUGTB005.html
LGBTQカップルなどを公的に証明「パートナーシップ」制度を5月に導入 福島県南相馬市(福島民友新聞)
https://www.minyu-net.com/news/news/FM20240327-846779.php


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