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札幌弁護士会が直ちに同性婚法整備に着手することを要望、大阪市議会も意見書可決

2024年03月28日

 札幌高裁判決を受けて26日、札幌弁護士会が「「結婚の自由をすべての人に」北海道訴訟 控訴審違憲判決を受けて直ちに法整備に着手することを求める会長声明」を発しました。
「棄却判決ではあるものの、同性愛者らも異性愛者と同じ「人」として、パートナーとの家族としての営みを求め、社会の中で生きていくことを希求しているという現実を正面から受け止めた、心ある判決であると評価したい」と温かみを感じさせる言葉を寄せ、「加えて、本判決は、パートナーシップ認定制度は当該自治体による制度という制約があり、同性婚ができないことによる不利益が解消されているわけではないこと、同性間の婚姻に反対する立場の意見に触れ、同性婚に対する否定的な意見や価値観を有する国民も少なからずいるが、これらが感情的な理由にとどまるものであって、異性婚との区別についての合理的な説明がなされていないことなどを正当に指摘したほか、制度設計について検討の過程が必要であることは、国賠法上の事情として考慮されるとしても、憲法違反に当たるかどうかという点では本件規定が同性婚を一切許していない合理的な理由にはならないとの至極もっともな指摘をしている点についても触れておきたい」というように判決の意義も的確にまとめながら、「本判決は、同性婚制度が「根源的には個人の尊厳に関わる事柄であり、個人を尊重するということであって、同性愛者は、日々の社会生活において不利益を受け、自身の存在の喪失感に直面しているのだから、その対策を急いで講じる必要がある。したがって、喫緊の課題として、同性婚につき異性婚と同じ婚姻制度を適用することを含め、早急に真摯な議論と対応をすることが望まれる」と付言すらしている」「以上から、当会は、国に対し、本判決について、事実認定、憲法評価、そして、付言ごと真摯に受け止め、重大な人権侵害を生んでいる現在の違憲状態を速やかに解消するべく、法律上同性の者同士の婚姻を認める立法(法改正)に、直ちに着手することを強く求める」と結んでいます。
 札幌弁護士会は3年前の歴史的な地裁判決のときにも、「「結婚の自由をすべての人に」北海道訴訟 第一審違憲判決を受けて国会に早期の立法を求める会長声明」を発しています。
 性的マイノリティの気持ちに寄り添い、人権の観点からこのように力強く同性婚法の立法(法改正)を求めてくださっていること、とてもありがたいですね。

 なお、弁護士会による同性婚法の立法(法改正)を求める意見書は、2019年の日弁連をはじめ、福岡県弁護士会、神奈川県弁護士会、東京弁護士会、仙台弁護士会、沖縄弁護士会、札幌弁護士会、熊本弁護士会、埼玉弁護士会、山口県弁護士会など、これまでにたくさん発せられています。
 今回は札幌高裁の判決を受け、一刻の猶予もならない、直ちに国会は法制化の議論を進めるべきだと訴えるものでした。


 それから、翌27日には、やはり札幌高裁判決も踏まえるかたちで大阪市議会が「同性婚や事実婚を認める新たな法制度の確立に向けた議論の促進を求める意見書」を可決しました。
 大阪市は「市パートナーシップ宣誓証明制度」「ファミリーシップ制度」を導入しているが、これには法的効力がない、「すでに共に子どもを育てている同性カップルや事実婚状態のカップルも存在し、養育里親になるケースもある。しかし、同性カップルが法的に婚姻できない状態になっていることで、扶養控除をはじめとした税メリットを受けられない、相続ができない、子どもを養育する場合には子どもの「両親」として認められないなど、結果として子どもにも保護者にも重大な不利益が生じている」と、同性カップルが置かれている状況、被っている不利益について書き出し、「また、今月14日には札幌高裁で「同性婚を認めないのは違憲」として、憲法24条1項違反を認める初の高裁判決があった。つまり、憲法14条「法の下の平等」、憲法24条「婚姻の自由」をすべての人に保障する体制を整えることが課題である」として札幌高裁判決に触れながら、同性パートナーシップを婚姻相当と承認する制度の普及率や世論調査での支持率の高さ、SDGsの理念なども踏まえ、「この現代社会において、ダイバーシティの推進の観点からパートナーの形にとらわれず、子どもも含めすべての人に平等な社会を作るべきである。既存の婚姻制度のもとで子どもが不利益を受けることがあってはならない。そのためにも様々な家庭の形が認められる必要がある。また、既存の戸籍制度にとらわれることなく、同性婚や事実婚といった今の時代にあった家庭を実現していくためにも、税・福祉・健康・教育など様々な分野で新たな制度が必要である。よって国におかれては、同性婚や事実婚を認める新たな法制度の確立に向け、議論を促進されるよう強く要望する」と結んでいます。

 市議会による同性婚法整備を求める意見書もこれが最初というわけではなく、2020年に長岡京市が全国で初めて採択し、昨年には福岡市久喜市鳥取市などでも採択されています。 
 
 札幌高裁が一歩踏み込んだ画期的な判決を下してくれたおかげもあって、地方議会も動きました。今後も大阪市議会に続くところが現れることでしょう。(そもそも同性パートナーシップ証明制度を導入している時点で、その自治体は同性パートナーシップも異性婚と同等だと承認しているわけで、人口カバー率8割を超える自治体がそれを認めているということもスゴいことです)
 

 これだけ違憲判決が続き、婚姻平等に賛同する企業も400社を超え世論調査でも7割くらいの人たちが賛成し、社会はとっくに変わっているなか、国だけが頑なに動こうとしません…しかし、このように地方から声が上がってきたこと、とても心強いです。
 このように社会が変わってきたのは、5年前に「結婚の自由をすべての人に」訴訟がはじまり、原告や弁護団のみなさんが辛抱強く闘ってきてくださったおかげです。心から感謝します。
 『LGBTヒストリーブック 絶対に諦めなかった人々の100年の闘い』で書かれているようなことが日本でも現実に起こっています。あきらめずに声を上げ、求め続けていけば、きっと平等は達成されると信じます。歴史がそれを証明しています。

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