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マドンナがフロリダでの公演で「パルスの悲劇」の被害者や遺族を招待し、感動的なスピーチを行ないました

2024年04月11日

 マドンナが現地時間4月9日、フロリダ州マイアミで行なった「セレブレーション」ツアーの公演中、米史上最悪の銃乱射事件である2016年のゲイクラブ銃撃事件についての真剣な会話をファンと交わしました。


 2016年6月12日未明、フロリダ州オーランドのゲイクラブ「パルス」で起こった史上最悪の銃撃事件からもうすぐ8年が経とうとしています。マドンナはフロリダ州マイアミでの「セレブレーション」最終公演の中で、招待した100人以上の生存者と犠牲者の家族に向けて「世界を照らし、変化をもたらす力があることを忘れないよう」促すような、力強く、感動的なスピーチを行ないました。
 ファンが撮影した動画によると、彼女は厳粛に「私たち全員がそれほど幸運ではなかったことを思い出してほしい」と語りました。「あの瞬間に目を向けてほしいのです。なぜならナイトクラブや音楽、ダンスは私たちを結びつけるものだから。悲しみや悲劇、殺人、死、痛み、苦しみ、トラウマをもたらすような場所やものであってはなりません」「しかし残念ながら、人間はいまだにある種の型にはまったままでいます」
 マドンナは、事件で犠牲になった49人に弔意を示すとともに、LGBTQ+コミュニティへの支持も表明し、「私はいつまでもゲイの人々に味方します。ゲイの人々が以前からずっと私の味方でいてくれるからです」と語りました。
「あれは9.11に次ぐアメリカ最大のテロ攻撃でした。人々が集まり、愛に満ちた開放的なクラブで踊っていました。その日はラテン・ナイトで、人々がラテン音楽に合わせて踊っていたら、どこぞのマザーファッカーが銃を2丁持って入ってきて人を狙って撃ち始めたのです」
 マドンナはその夜の公演に生存者とその家族、そして生き延びられなかった人々の家族を招待したことを話し、彼らの名前を何人か呼び、出席してくれたことに感謝しました。スピーチの途中、感情が込み上げ、かすれ声になりながら「私はダンス・ミュージックを作っています。私の仕事は、人々を結びつけること、人々を踊らせること、人々を幸せにすること、人々を非難しないことです。こんなことが起こってはならないんです。忘れないでください」と語りました。

 マドンナが「セレブレーション・ツアー」でゲイコミュニティを襲った悲劇に言及したのはこれが初めてではなく、1月にNYのマディソン・スクエア・ガーデンで行なった公演では、1980年代のエイズ危機の絶頂期に患者を治療し、擁護した二人のNYの看護師、エレン・マッツァーとヴァレリー・ヒューズを讃える話をシェアしたそうです。
 

 マドンナは2019年6月(ストーンウォール50周年のワールドプライドがNYで開催されているときに)、「パルス」での銃撃事件をイメージした「God Control」のMVを発表し、世に銃規制を訴えました。YouTubeのページでは犠牲者への弔意も示されていました。「God Control」のMVはマドンナがストーンウォール50周年にオマージュを捧げた「I Rise」とほぼ同じ時期に公開され、どちらもアルバム『マダムX』に収録されました。
 なお、マドンナは2003年4月に発表した「American life」のMVでも(放送禁止になりましたが)血だらけになって倒れる戦士たちの生々しい姿をファッションショーの中で描き、戦争の残虐さを訴えています。
 
  マドンナは、まだエイズが「ゲイのがん」などと呼ばれ、感染経路もわからず、国じゅうから忌避されていた頃からエイズを発症したゲイの友人たちを支援してきました。実に40年以上にわたってゲイの強力な味方であり続けてきたのです(こちらの記事にまとめています)。さまざま批判されることもあるマドンナですが、ゲイに対する友情・多大な支援への感謝だけは忘れないようにしたいものです。
 
 


参考記事:
米歌手マドンナ、銃乱射事件の被害者に敬意 ツアー公演中に(CNN)
https://www.cnn.co.jp/amp/article/35217649.html
マドンナ、2016年にフロリダ州のナイトクラブで起きた銃乱射事件を忘れないでほしいとマイアミ公演で語る(Billboard JAPAN)
https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/136575

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