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米オカシオ=コルテス議員が初来日し、「同性婚やLGBTの権利擁護が日米関係に重要」と力説しました

2023年02月23日

 同性婚やLGBTQを差別から守る法律の実現に関する2月23日の動きをお伝えします。

 米国で最も有名な議員の一人であるアレクサンドリア・オカシオ=コルテス米下院議員が初来日し、5月にG7サミットを開く日本の政治家たちに向けてLGBTQの権利を推進するよう力説しました。「G7全体として、何についてきっぱり足並みをそろえているのかというメッセージを送ることが大切だと思います。その文脈でいえば、日本が婚姻の平等だけでなく、LGBTコミュニティを広く認める方向へと政策を打ち出すことが極めて重要だと考えます」
 オカシオ=コルテス議員は東京入りした翌日の20日に投稿したインスタグラムストーリーズでも、女性とLGBTの権利、同性婚が重要課題だとの考えを示しました。「日本は、G7で結婚の平等とLGBTの平等の保護がない唯一の加盟国」「米国議員団がここに到着する前、一種のスキャンダルがあった。日本政府の関係者が、オフレコでLGBTの人々について非常に差別的な発言をし、隣に住みたくないなどと発言した。これらのコメントは公に流出したのだが、非常にショッキングだ」。そしてG7を開催する日本は「ある種の決断の時」にあると説明し、今回の訪問で、同性婚やLGBTの権利保護の制定が日米関係に重要な役割を果たすという見解を表明し、外交的に関与していくつもりだと語り、「国を超えて価値を共有すればするほど、より協力的になり、貿易や旅行といった経済的な意味合いも強くなる」と語りました。

 
 ハフポスト日本版は、2月17日、岸田総理がLGBTQ関連団体らと面会した際、プライドハウス東京のユーススタッフとして当事者やそうかもしれない若者の交流サービスに取り組んでいる大学生の山島凛佳さんが当事者の若者として感じていることや政治に求めることを伝えたことを報じました。メッセージは以下の通りです。
「私は今20歳です。2003年に生まれました。岸田さん、小倉さん、中谷さん、森さんが20歳のとき、あるニュースを見て、遠くにいる友達がちゃんとご飯を食べているのかちゃんと寝れているかが気になって、抱きしめたくなったことはありますか?
 守ってもらえない、幸せになれないのならしんどくなりすぎないうちにさっさと死んでしまいたいな、と思ったことはありますか?
 これは私が繰り返される差別発言ニュースを、一人で、部屋で、ベッドの上で、読んでいた時の感情です。今回だけではなく、これまでも幾度となく感じてきたものです。
 デジタルネイティブの私たち(子ども・ユース)は常に情報をキャッチできます。世論、著名人、企業、経団連、政治家が、国内外問わず、どんどん肯定的な意見を発信していることも、これまで何年もかけて行われてきた法整備を求める動きにようやく大きなうねりができたことも知っています。
 それなのに、いまだに「慎重な」「議論」を「検討」していることを知った時、私たちの住んでいる世界とあまりにも違う「感覚」や「理解」によって行われる、あまりにも厚くて暴力的な「永田町のやりかた」に「私たちの声の届かなさ」に悔しくて涙が止まりませんでした。
「差別を許さない」の文言を避けようとしていること。
「多様性を尊重し、包括的な社会を実現する」とか言いながら、理解増進法という生ぬるいもので留めようとしていること。
 私たちの家族のあり方、人生のあり方を否定しようとし続けていることも知っています。
 私たちを否定してくるのは社会の「雰囲気」なのではなく、制度です、制度だけが私たちを否定しています。
 私の性自認や恋愛的・性的指向、性表現は私のほんの一部分でしかないけれど、それらを否定された時、私の全てや大切なともだち、そして人生を否定されたような気分になります。
 正直、今日ここにくるのも、みなさんの前でお話しするのも本当に怖かったです。なぜならあなたたちの発言や行動は、私や私の大切な人たちを長い間、傷つけ続けているから。
 でも、私が一人で傷ついて泣いていたことも、私のような子ども、ユースの友達が全国に今現在もたくさんいるということも、なかったことにされたくなかったからここに来て話しています。
「社会の理解を増進する」ことが足りないとお考えのようですが、今、当事者で若者である私が、プライドハウスから「利用者」としてだけではなく、「居場所作りをしている立場」になってここに来ていること、そして、こんなにも堂々と、首相の前で訴えているという事実こそが、LGBTQ+活動団体が動き続けた結果、理解の進んだ世の中が少しずつできてきた、そして、そこで育った子供が少なからずいるということの証明だと思います。
 私が、政治の場でこのようなことを話して求める最後のユース、若者でありますように。こんなことが次の世代にもう2度と、繰り返されませんように。
 私はLGBTQ+当事者であるということでいかなる差別も受けず、差別禁止法がしっかりと定められている国でただ生きていきたいだけです。誰のための政治・法律でしょうか?これは命の問題です。
 最後に、私はこのヒアリングにわずかながら、希望を感じています。これがただのパフォーマンスではないことを法整備をすることで、はっきりと示してください」 


 タレントでエッセイストの小島慶子さんが『AERA』に寄稿し、「LGBT理解増進法では“差別の温存” LGBT差別禁止法を」と訴えました。
「人の命が等しく大切にされる社会とは、全員が互いに仲良く理解し合う社会ではありません。好き嫌いや仲の良し悪しや共通点の有無とは無関係に、人の命は全て等しく大切にされなければならないというルールが徹底される社会です。たとえあなたにとって理解し難い、何も似ているところがない人であっても、その人の命はあなたやあなたの家族の命と同じように大切に扱われるべきものです。なぜそうしたルールが大切かというと、もしもあなたが誰かにとって「理解できない、親しみの持てない人」になった場合に「死んでもいい人」にされてしまうかもしれないからです。だから、差別禁止法がなくてはならないのです」
「LGBT差別禁止法は、性的少数者でない人たちの人権を何ら制限するものではありません。差別禁止法で唯一制限されるものは、「差別をする自由」です。人の命に軽重をつけ、少数者を排除し、憎悪をぶつけ暴力を振るう自由は、決して認められないと。あなたはそれで困りますか。それでは困る、社会が分断されると主張する人たちが政権中枢にいることをどう思いますか。理解増進という文言で誤魔化す差別温存法ではなく、LGBT差別禁止法の制定を強く求めます」


 都知事選に出馬してきたことで知られる日弁連元会長の宇都宮健児さんは『週刊金曜日』に寄稿し、「岸田首相は、「多様性を尊重し包摂的な社会の実現」などとお題目を唱えるのではなく、本当にこのような社会を実現しようと思うのであれば、性的少数者の人権を守るための差別禁止や同性婚を認める法整備に早急に取り組むべきである」と訴えました。


  『MONEY VOICE』の記事で原彰宏氏は、「「同性婚や夫婦別姓を認める制度改正をすれば社会が変わる」発言は非常に重く、その後で上書きされた「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」発言がどれだけ罪深い表現だったことか。メンタルの弱い人たちの命をも脅かしそうなこれらの発言を、日本国の“行政の長”が発したことの意味を、もっと重く考えたほうが良いのではないでしょうか」と当事者に寄り添うように語っています。そして、これまでの流れを振り返り、ニュージーランド議会のモーリス・ウィリアムソン氏のスピーチや、最新の世論調査の結果に触れながら、同性婚賛成多数であるにもかかわらず自民党が法制化に消極的な理由を説明し、最後に「民主主義の根幹は「人権」です。特定の層の人たちのために世の中が存在するわけではありません。すべての人類の権利は、皆等しく認められるべきです。それは性別に関係なく、国籍は関係なく、年齢も関係ない。肌の色で区別されるものでもなければ、性的指向も関係なく、皆それぞれ個性があり、それらを認め合うことが多様性のある社会になると思います。その「差別」の有無を中心において、物事の判断をしていきましょう。「人権」という民主主義では当たり前のことを通して、政治を世の中を見ていきましょう。民主主義を妨げるものは、私たちの心の中にもあるかもしれません。それを自覚して、私たちの行動で、民主主義を守っていきましょう」と語っています。

 


参考記事:
オカシオ・コルテス米議員「日本はLGBTコミュニティを広く認める方向へと政策を打ち出すべき」(クーリエ・ジャポン)
https://courrier.jp/news/archives/317554/
オカシオコルテス米議員、日本のLGBTQ認識はG7に「極めて重大」(Bloomberg)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-22/RQHJRXT0AFB401
日本訪問の米左派議員 同性婚とLGBTの権利保護、日米関係に重要(mashup reporter)
https://www.mashupreporter.com/ocasio-cortez-calls-japan-to-moves-forward-lgbtq-rights/

「これは命の問題です」LGBTQ差別発言を受けて、20歳の当事者が岸田首相に伝えたこと(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_63f71f6ee4b0c87f32f57a3e

小島慶子「LGBT理解増進法では“差別の温存” LGBT差別禁止法を」(『AERA』)
https://dot.asahi.com/aera/2023022100036.html

人権感覚が欠如した政権(週刊金曜日)
https://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2023/02/24/fuusokukei-30/

遠のく同性婚・LGBT差別禁止の法制化…岸田首相「社会が変わってしまう」発言の罪深さ。G7で唯一の多様性不寛容の国ニッポ(MONEY VOICE)
https://www.mag2.com/p/money/1286033/5

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