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レポート:岡山レインボーフェスタ2022

10月16日(日)、岡山市で2回目のプライドパレードが開催されました。天気にも恵まれ、数百名の方たちが市内中心部を晴れやかに楽しく行進しました。高島屋と市役所にはレンボーフラッグも掲げられていました。

レポート:岡山レインボーフェスタ2022

 岡山では昨年、初のプライドパレード「ももたろう岡山虹の祭典(愛称:ももにじ)」が開催され、約300名が参加して盛り上がりを見せました。「ひとりじゃないよ」というメッセージを掲げたレインボーカラーのトラック「虹トラ岡山」の取組みも素晴らしかったです(レポートはこちら
 今年は「ももにじ岡山」が主催する『岡山レインボーフェスタ2022』として2回目のパレードが開催されました。名称だけでなくパレードのコースも変わり、石山公園〜桃太郎大通り〜JR岡山駅前〜岡山市役所という2.3kmをパレードしました。駅前の高島屋にレンボーフラッグが掲げられていたのも素敵で、みなさん「ありがとう!」と手を振りながら歩いていました。約400人が来場し、254人の方が参加登録して歩いたそうです。
 前日に開催されたトークイベントと、本番のパレードのレポートをお送りします。


 
前夜祭トーク&交流イベント『前夜も楽しむんじゃっ!!』

 10月15日(土)、岡山市のゲイバー「AX」で前夜祭トーク&交流イベント『前夜も楽しむんじゃっ!!』が開催されました。飛行機の時間の関係でスタートには間に合わなかったのですが、到着した時には座る場所がないくらい大盛況で、熱気を感じさせました。
 岡山県青年司法書士協議会の方が、自治体でパートナーシップ宣誓制度が導入されてもカップルの法的権利が保障されるわけではないため、公正証書を取得したり、遺言書を書いたりなど、法的にできることについてお話してくださいました。
 今回LUSH岡山一番街店とLUSHイオンモール倉敷店が、岡山レインボーフェスタへの寄付となるチャリティポットを開催してくれたのですが、それぞれの店舗から来られたお二人が、LUSHの取組みについて話してくれました。
 今回のメインのスポンサーである岡山で有名な不動産屋さんである良和ハウスの方のご挨拶もありました。同性カップルでも問題なく入居できる物件を紹介してくださるというのはとても心強く、うれしい、と共同代表の市川さんも語っていました。
 それから、岡山大学の学生である岩田竜馬さんが、次世代の若いリーダーたちが一堂に会する世界最大級のサミット「One Young World」の地域拠点イベント「OYW 2022 Hive in Okayama, Japan」でLGBTQについても取り上げた話をしてくれました。
 最後に、質疑応答の時間が設けられたのですが、子育てをしている女性カップルが公正証書について質問していたほか、ももにじの昨年のテーマ「ひとりじゃないよ」に触れて「私はパートナーと死別し、今はひとりです。この先どうしたらいいのか…」という切実な心情を吐露するゲイの方もいらっしゃいました(あとでたくさんの方が彼に慰めの言葉をかけていて、温かいと思いました)
 21時過ぎからはAKINORIさんがDJをはじめ、音を楽しみながら、お酒を飲みながら交流する時間となりました。
 とても素敵な前夜祭でした。



 
パレード!

 1週間前くらいの天気予報では雨マークがついていて心配だったのですが、16日(日)の当日は見事な秋晴れとなり、またしても「パレードのときは晴れる」ジンクスを実感させられました。最高気温27度で、日差しも強すぎず、本当にちょうどいい、過ごしやすい天気でした。
 駅前の高島屋の大きなレインボーフラッグ(懸垂幕)を眺め、ひとしきり感慨に耽ったあと、11時過ぎに会場の石山公園に到着しました。
 まだ人もそんなに多くなく、ゆっくり出展ブースを見て回ったり、お話したり。香川の「結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告となっている田中昭全さんが青空DJをして参加者のみなさんにゴキゲンな音楽を届けたり(ピチカートファイブとかかかってました。素敵)、尾道ラーメンの屋台も出ていたり(しかもワンコインで提供。みなさん喜んで召し上がっていました)、川縁のほうに行くと、昨年は改修中だった岡山城が綺麗に見えたり。豊かな気持ちになれる時間でした。










 12時半にステージでオープニングイベントがスタート。最初に共同代表の市川さんと浅沼さんがご挨拶しました。それから、良和ハウスの方(5年前からLGBTQ研修をやってきて、学びを深めてきたそうです)、プラウド岡山の鈴木さん(今年のテーマ「それで、ええんじゃっ」は「私はわたしのままでいい」と思える支援のメッセージで素晴らしい、と語っていました)、Japan Pride Networkのみなさん(トランスマーチ、名古屋レインボープライド、京都レインボープライド、まんで!さぬきレインボーパレード、九州レインボープライド)、「結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告のみなさん、にじーず岡山・あしたプロジェクトのみなさん(岡山の学校での制服の選択制の実現を求めるキャンペーンを展開中)と続きました。
 ドラァグクイーンのショータイム。ラブリアライズさんのポップでキュートなショーに続き、岡山が誇るZUROEさんが「This Is Me」に乗せて想いを込めたショーを披露、最後にはシャーロットさん、へーこさん、フェオネさんなども登場し、ゴージャスに盛り上がりました。
 そして、今回のメインゲストである岡山出身のシンガーソングライター、リトルブラックドレスさんのライブ・パフォーマンスが行なわれました。去年岡山に帰ってきてラジオ番組でももにじ共同代表の市川さんにお話を聞いたというご縁で、今回、出演を快諾してくださったんだそうです。スラッとして背が高く、まるでモデルさんのような方だなと思いましたが、重かったり情念系だったりな曲も披露し、ギャップが素敵でした。最後は明るめな曲で締めてくださいました。歌がビシバシ入ってくる、とても聴かせる、耳が離せないライブでした。
 みんなで集合写真を撮って(いつの間にかものすごく人が増えていて、全員をカメラに収めるのが無理なくらいでした)、テキパキと整列し、14時に意気揚々とパレードがスタートしました。












 石山公園を出て、岡山市のメインストリート・桃太郎大通りを行進します。フロートはDJ AKINORIさん(パレードらしい曲が次々に。素晴らしいDJでした)がクラブミュージックで盛り上げる「それで、ええんじゃっ!」号と、事前に募集したメッセージをフロートに取り付け、J-POPを中心にしたナンバーで思いを伝える「It’s all gooooood !!」号の2つで、どちらもドラァグクイーンの方々が乗って盛り上げました。2つのトラックの間にリトルブラックドレスさんが乗ったオープンカーも走っていました。また、勇気を持ってパレードに参加したけどやっぱりメディアには載りたくないという方のための撮影禁止ブロックも設けられていました(たぶん高松店だと思うのですが「男子学園」のスタッフの方たちがたくさんいらっしゃいました)
 すごく印象的だったのは、沿道の方たちの温かい反応。割とLGBTQには厳しいと思われがちな中高年男性も含め、笑顔で手を振って応援してくれる方が本当に多かったです(お店からおばさんが出てきて「これ何?」と聞かれたので「LGBTQのパレードです」と答えたら、「そうなのね。応援するわ!」と言って手を振ったり、メディアの取材に答えたりしてました)
 岡山駅前で左折すると、左手に高島屋のレインボー懸垂幕が。店先に高島屋のスタッフ(社長さんも?)と思われる方たちが出てレインボーフラッグを振ってくれて、パレード参加者のみなさんは「ありがとう!」と感激した様子で手を振っていました。
 そこからしばらく真っ直ぐ歩き、終点の市役所に到着。なんと、市役所にもレインボーフラッグが掲げられていました。















 少し休憩して、トイレに行ったり、飲み物を飲んだりした後、クロージングセレモニーが始まりました。
 JPNの簡易ブースも設けられ、グッズの販売も行なわれていました(名古屋レインボープライドのトートバッグは完売したそうです)
 最初に、総社市のマスコットキャラクターである「チュッピー」が浅沼さんたちに連れられて登場。性別のないキャラクターだそうで、「ゆるキャラグランプリ2016」で全国3位に輝いているそうです。チュッピーはその後もイベントのステージの前にいてくれました(中の人、大変だったと思います)
 浅沼さんから、「今日の参加者は来場者400人、参加登録してパレードを歩いた方は254人でした」と報告され、拍手が起こりました。
 岡山大教授でGID学会理事長の中塚幹也先生が登壇、1997年から岡山でジェンダークリニックをやってきたこと、性同一性障害の診断だけでなくトランスジェンダーの方の教育や就労の支援もしてきたこと、国際社会でトランスジェンダーが疾患ではないという概念が変わったことを受けて、GID学会も専門家集団として法律の見直しや裁判の支援などに携わっていく、といったお話をされました。
 続いて、総社市の片岡市長が登壇し、浅沼さんと話をしてすぐに、平成31年にパートナーシップ宣誓制度を始めた、全国的にも早かった、今後は全国にファミリーシップ制度も広めていこう、といったお話をされました。
 フィナーレとして、PINKNOTE petitのYakkoさん(とてもカラフルないでたちだったので、ドラァグクイーンの方かと思ってました)が公式ソング「We are all with you ~ひとりじゃないよ~」を歌ってくれました。
 共同代表のお二人からご挨拶。浅沼さんは、「ひとりじゃない。私たちが共にいます。どんなセクシュアリティの方も胸を張って生きていきましょう」と、市川さんは、「昨年パレードを開催して、みんなが自分らしく生きることにつながるという実感がありました。今年は「それで、ええんじゃっ」というテーマを掲げて開催しました。高島屋さん、感動しましたね」と語りました。
 最後に、みんなでシャボン玉を飛ばすバルーンリリースならぬバブルリリースが行なわれました。公式ソングが流れ、(参加登録した方全員にシャボン玉セットが配られていたので)みなさん思い思いにシャボン玉を吹いて、楽しんでいました。大小様々な大きさの泡たちは、夕陽に照らされてキラキラ虹色に輝いていました。







★パレードのフォトアルバムはこちら


 
岡山レインボーフェスタを振り返って

 昨年のももたろう岡山虹の祭典は11月末の開催で(本当は9/20開催予定だったのですが、コロナ禍の影響で延期に)、天気はよかったものの、街はすでに冬の装いでした。今年は、気候的にもとてもいい時期の開催となり、パレードを歩く楽しさ・気持ちよさ・満足度の高さが際立っていたと思います(DJフロートの音もよかったです。みなさん最後までずっと盛り上がってました)。沿道のみなさんも温かく、ちょうど角を曲がったところに高島屋さんのレインボーフラッグが見えるという感動もあり、パレードらしい手作り感も残しながらの参加しやすく、楽しいパレードでした(以前東京でパレードを開催したこともある方が、「岡山のパレードは最高」と絶賛していました)

 「ひとりじゃないよ We are all with you」「それで、ええんじゃっ It’s all gooooood!!」というテーマにも表れているように、あらゆる当事者の方に寄り添い、励まし、肯定し、抱きしめるような気持ちがパレード全体に行き渡っていたように感じます。岡山のコミュニティのみなさんの温かさが、このパレードの最高のコンディションという奇跡にもつながった気がします(ちなみに翌日は朝から雨でした)
 
 昨年もそうでしたが、パレードは歩かず、沿道で応援してくれるゲイと思しき方たちの姿も見受けられました。一方、新たに参加してくれる方たちも増えたように思います。きっと「パレードって楽しい!」と実感していただけたのではないでしょうか。みなさんの笑顔がそれを物語っていました。

 岡山レインボーフェスタ、来年も何か新しい試みが見られるかもしれませんし、晴天の下(「晴れの国」岡山はきっと裏切りません)、気持ちのいいパレードを楽しむことができると思います。

 未体験の方はぜひ、旅行を兼ねて、岡山にお出かけください。観光したり美味しいものを食べたり、ゲイバーに飲みに行ったり、ハッテンしたり。もしかしたら素敵な出会いもあるかもしれません。


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