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レポート:Bruce Weber presents “Those Halcyon Days” / ヴォルフガング・ティルマンス「Moments of Life」展 / 芝浦GOLD写真展

新宿で開催中のBruce Weber presents “Those Halcyon Days”、 原宿のヴォルフガング・ティルマンス「Moments of Life」展、芝浦GOLD写真展のレポートをお届けします。

レポート:Bruce Weber presents “Those Halcyon Days” / ヴォルフガング・ティルマンス「Moments of Life」展 / 芝浦GOLD写真展

3月14日、うららかな春の陽気に誘われて、現在開催中の展覧会をハシゴしてみました(本当は「芝浦GOLD写真展」が14日までだったので駆け込みで観に行ったのでした)。これからの季節、(花粉が飛んでるつらさはともかくとして)お出かけにはとてもよい気候ですので、週末のデートや、二丁目に行く前、あるいはGG原宿店に行く前などにぜひ足を運んでみてください。
3月〜5月のアート展の情報を特集にまとめておりますので、そちらもぜひご覧ください)
(文:後藤純一) 
 

Bruce Weber presents “Those Halcyon Days”

 アバクロやラルフローレン、カルバン・クラインなど多くのブランドの広告写真や『Vogue』などファッション誌の写真を手がけ、絶大な人気を誇ってきたブルース・ウェーバーの、約18年ぶりとなる個展が伊勢丹新宿店本館で開催中です。ケイト、ナオミ、リンダなどスーパーモデルたちのファッションフォトに的を絞った企画展で、その多くはブルース・ウェーバーのエディトリアルやキャンペーンからの未公開作品だそうです。男性の写真は本当にわずかで、アバクロのカタログのようなテイストを期待するとがっかりするかもしれませんが、ブルース・ファンの方はひさしぶりの個展というだけで大喜びでしょうし、そうでなくても美しい女性をいかに魅力的に素敵に撮るかというところでのブルースの才能に惚れ惚れするのではないでしょうか。一部、映像などもあったりします。グッズ(Tシャツ)も売ってたりします。二丁目に行くついでに、ふらりと立ち寄る感じの気楽さでどうぞ。






Bruce Weber presents “Those Halcyon Days”
会期:2月25日(土)~3月29日(水)
会場:伊勢丹新宿店 本館2階 イセタン ザ・スペース
開館時間:伊勢丹本館の営業時間に準じる



ヴォルフガング・ティルマンス「Moments of Life」展

 ヴォルフガング・ティルマンスは2000年にターナー賞も受賞しているドイツを代表する写真家でオープンリー・ゲイの方です。表参道の「エスパス ルイ・ヴィトン東京」で「Moments of Life」展が開催されています。原宿駅や明治神宮前駅を降りて、表参道駅のほうに歩いて行って、表参道ヒルズの向かいにそびえ立つルイ・ヴィトン表参道ビルの7階が会場です。1階がヴィトンのショップで、ひるんでしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、ドアボーイに話しかけられたら「ティルマンスの写真を見に来ました」と言えば、エレベーターを案内してもらえます。
 ティルマンスは実は2000年代、ゲイ雑誌『バディ』でもその写真集がたびたび取り上げられていました(私が紹介していました)。対象がものすごく幅広くて、極めて抽象的な作品や花や風景の写真なども多いのですが、ゲイピープルや男性の裸体にフォーカスした作品も多く、今回もそういう作品を見ることができました。
 ティルマンス作品に惹かれるのはなぜなのか、昔はあまりうまく言語化できなかったのですが、会場で上映されていたインタビュー動画を観ていて、インタビュアーが「vulnerable(脆弱な)」という言葉を使っていて、腑に落ちたというか、そうか、と気づきました。私はザ・スミスが好きなのですが(1995年のモリッシーの来日公演を観に行ったくらい)、ティルマンスの写真にどこか同じ匂いを感じていたのだと思います。男性的な「鎧」を脱いだ、むきだしでありのままの「弱さ」をさらけ出しているところに惹かれ、共鳴していたのです。それは「親しみ」でもあるし、「優しさ」でもあるし、「温もり」でもあると思います。
 ルイ・ヴィトン表参道ビルの7階という、極めてスノッブで「お高い」会場ですが、ティルマンスは両手を広げてぼくらを歓迎し、ゲイの友人たちがピクニックする様子や、日本に来たときにホテルの部屋でみかんや柿の種を広げてる様子や、スタジオのメモ紙やいろんな物が貼ってある一角や、日常の風景やなんかを見せてくれます。構えずにオープンマインドに楽しんでみてください。






ヴォルフガング・ティルマンス「Moments of Life」展
会期:2023年2月2日(木)〜6月11日(日)
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京(東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7階)
開館時間:11:00-19:00
休館日:ルイ・ヴィトン 表参道店に準ずる
入場無料


 
芝浦GOLD写真展

 表参道ヒルズとラルフローレンの間を入って、小学校を過ぎてすぐの左手の路地を入って階段を降りたところの「ライフガードスクエア超生命体広場」の2階で「芝浦GOLD写真展」が開催されていました(もっと早く紹介できればよかったのですが、間に合わなくてすみません)
 1989年〜1995年に芝浦にあった伝説のクラブ「GOLD」。バブルの頃、7階建ての倉庫を改装して造られた「GOLD」は、店内のすべてのフロアが様々な遊びのスペースで、様々な著名人やセレブが集まり、実に面白い、スペシャルなイベントが多数開催され、濃い夜が繰り広げられていました。1991年にはゲイナイト「THE PRIVATE PARTY」が始まり、1995年7月まで毎週第1日曜日に開催されていました。年に1回、ミス・ユニバースというドラァグクイーンのコンテストも開催され、工藤静香さんが審査員をつとめたことが伝説となっています。東京でドラァグクイーンのショーが一般化したのはここからだと言われています(なお、「THE PRIVATE PARTY」はその後、新宿のリキッドルームに移ります)
 会場を入ると、入口辺りにVJさんが実際に流していたと思われる映像がプロジェクターで映し出されていて、右手に「GOLD」の店内の写真やフライヤー、招待状、お品書き、設計図などが展示されていました。さらに奥に入ると、イベントの様子やお客さんを撮った写真やポラロイド写真(チェキ?)がたくさん展示されていて、そのなかには、中村直さんやKO KIMURAさん、YUMEさん、チガさん、おそらくミス・ユニバースに出演していたドラァグ・クイーンの方たち(たぶんマットビのZINKOさんやKIDSのKEIKOさん)などの姿もあり(みなさん本当に若い!)、親しみを感じたと同時に、象がいたり、全身金粉のパフォーマーがいたり、本当にスゴいイベントが行なわれていたのだなぁとうかがいしれました(実はGOLDには行ったことがなく、今回初めてその様子の写真を見ることができて、とてもよかったです)
 いつかageHaの写真展が開催される日も来るのではないかとも思いました。





芝浦GOLD写真展
会期:3月2日(木)〜14日(火)(※3/8水曜日を除く)
会場:ライフガードスクエア超生命体広場2FL 渋谷区神宮前4-25-12 mico神宮前1-A 2階
開館時間:12:00-18:00
入場無料

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