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【同性パートナーシップ証明制度】名古屋市が11月に導入、旭川市、小樽市、大田原市、那須塩原市、佐渡市なども導入へ

2022年09月27日

 愛知県名古屋市は9月26日、同性パートナーシップ証明制度だけでなくカップルの子どもも承認する「ファミリーシップ制度」を11月に導入する方針を市議会総務環境委員会で明らかにしました。
 名古屋市の制度は性的マイノリティや事実婚のカップルの人権を保障することを目的として掲げ、宣誓を行なった同性カップルなどに証明カードを発行するものです。子どもの名前も登録できます。家族として公的に認められることにより、市営住宅への入居や、犯罪被害遺族への支援金の給付といった行政サービスを受けられるようになります(同性パートナーを殺害された内山さんが犯罪被害者給付金を支給されないのはおかしいと名古屋地裁に訴えた裁判を踏まえた措置と思われます。拍手)。また、民間では携帯電話の家族割引の適用や生命保険の受取人指定、民間住宅の賃貸契約などで同性カップルも異性婚夫婦と同等に扱うサービスが広がりを見せているため、市は事業者に対して制度への理解を求めていくといいます。
 市は早期に制度案を固め、9九月末からパブリックコメントを募り、11月に制度を開始する予定です。
 こちらのニュースでもまとめていますが、名古屋市では2018年6月に河村市長が制度導入を検討する考えを示したものの、なかなか導入されませんでした。苦節4年、ようやく実現を見ることになりました(名古屋のみなさん、おめでとうございます!)

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 北海道旭川市の今津寛介市長は26日の定例市議会一般質問で、同性パートナーシップ証明制度について「導入に向けた取組みを進めていく」と述べました。導入時期には言及せず、当事者や医師、弁護士ら専門家の意見を聞くなどして準備を進めるとの意向だそうです(医師は何のためなのでしょう…謎です) 
 旭川市では2018年に「パートナーシップを考える会・旭川」が制度導入を求める要望を行なっていました。しかし、市でこれを検討する動きはなく、今津市長は、2021年12月の市議会で「市民の声を聞き、国や他都市の動向を見極め、制度の導入について検討する」と述べ、慎重な姿勢を見せていました。
 今月14日には「パートナーシップを考える会・旭川」が再び、制度導入を求める要望書を市長に提出しました。このときは今津市長は「先延ばしにせず、制度導入に向け検討を進めたいと思っている」とする一方、「反対意見があるのも事実。市民らに理解を得る努力や環境の調整に努めたい」と述べました(なお、「パートナーシップを考える会・旭川」によると、最初の要望の直後、これに反対する団体が突然現れ、制度導入に反対する内容の要望書を提出しました。この団体の代表者は「旭川家庭教育を支援する会」の事務局次長で、「同性婚問題を考える旭川の会」の事務局にもなっています(こちらの記事でも詳しく説明されているように、旧統一教会系ということです)。今津市長は「旭川家庭教育を支援する会」の顧問をつとめており、そのことが、なかなか制度が導入されなかったことに関係しているのではないかと考えられます。が、旧統一教会との関わりを指摘されるようになった市長は14日、「旭川家庭教育を支援する会」の解散を決定しました。そうして26日、晴れて制度導入に向けて取組みを進めるとの意向を表明したのでした。
 同会の代表を務める弁護士の金子舞さんは、今回の市長の意向を受けて「前向きな答弁で今後に期待したい」「導入の期限を設けないと実行にはつながらない。積極的に協力したいと考えており、できるだけ早く導入してほしい」と述べました。
 
 同じ北海道の小樽市は、早ければ2023年度に制度を導入する方針を明らかにしました。14日の定例市議会で迫俊哉市長が表明したものです。
 迫市長は、制度導入で利用できるようになる行政サービスについて「(カップルでの)市営住宅への入居や、市立病院での家族同様の面会などを検討したい」との意向を示しました。

 道内では札幌、江別、函館、北見の4市が導入済みで、帯広(12月1日から)、苫小牧(来年1月から)、小樽(早ければ2023年度に)の3市が導入に向けて準備中で、釧路市も導入へ検討を進めています。人口10万人を超える市としては、これまで旭川市だけが導入方針を明らかにしていませんでしたが、ようやく旭川市も導入に向けて動きはじめました。

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 栃木県大田原市は9月20日、「パートナーシップ宣誓制度」を10月から導入すると発表しました。公営住宅への入居や那須赤十字病院などの病院で親族と同等の面会などが認められることになります。
 相馬憲一市長は同日の記者会見で「多様な性への理解促進を図り、人権を尊重し、誰もが自分らしく生きることができる社会となることを期待する」と述べました。
 市は、すでに「パートナーシップ宣誓制度」を導入している栃木県と連携し、新婚夫婦らが協賛店舗で特典を受けられる「とちぎ結婚応援カード」の交付申請もできるようにするそうです。

 また、同じ栃木県の那須塩原市も「パートナーシップ宣誓制度」を10月から導入します。9月22日の市議会議員全員協議会で発表しました。
 市役所本庁の市民協働推進課ダイバーシティ推進係で申請すると、宣誓証明書と宣誓書受領カードが交付され、市営住宅への入居や公営墓地の永代使用許可申請、病院での面会などが認められるようになります。

 なお、県の「パートナーシップ宣誓制度」に疑問を呈し、「(性的マイノリティは)できたら静かに隠して生きていただきたい」と下野市議会で発言していた石川信夫市議が27日、市議会の本会議で「誤解を与える表現であり、傷つく方もいたということで心よりおわび申し上げ、撤回したい」と謝罪し、発言を撤回したそうです。

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 新潟県佐渡市は9月15日、「パートナーシップ宣誓制度」の導入を検討していることを明らかにしました。9月定例市議会で渡辺竜五市長が語ったものです。2023年度も視野に早期導入を目指すそうです。

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 石川県では、昨年7月に北陸三県で初めて金沢市で「パートナーシップ宣誓制度」がスタートし、これまでに10組が宣誓したそうです。
 また、白山市でも昨年12月に「パートナーシップ宣誓制度」が導入されましたが、これまで利用がなく、ようやく最近、第一号カップルが現れました。それぞれの家庭の事情から、結婚後にどちらの名字にするか折り合いがつかなった男女の事実婚のカップルが宣誓したそうです。
 野々市市でも制度導入が検討されています。
 北陸放送が上記のすでに導入済または導入予定の3つの市を除く16の市と町に独自に聞き取り調査を行なったところによると、小松市が「検討している」、かほく市が「導入に向けて調査段階」と答えましたが、残る14の市と町は「具体的な議論は進んでいない」とのことでした。

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 広島県海田町は10月1日から「パートナーシップ宣誓制度」を導入します。一緒に町営住宅に入居することなどが認められます。県内での同制度導入は、広島市などに続き6自治体目となります。

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 沖縄県豊見城市は24日、「性の多様性を尊重するまち とみぐすく」宣言(とみぐすくレインボー宣言)を発しました。レインボーにかけて24日に宣言したそうです。
 この日、市役所で記念セレモニーが開かれ、山川仁市長が宣言文を読み上げ、「性の在り方は人それぞれで、誰からも否定されるものではない」「多様な性があり、調和がとれ、虹のように美しい社会、いきいきと人が輝くまちを目指す」と表明しました。市は宣言を機に今後、同性パートナーシップ証明制度の導入も検討するそうです。

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 越前市が10月1日から「パートナーシップ宣誓制度」を導入することを受けて、福井新聞が「同性パートナー制度 越前市からの広がり期待」という社説を掲載しました。
「この一歩を機に、性的少数者を許容する社会が県内で広がるよう期待したい」
「ただ、制度導入で問題解決というわけにはいかない。例えば宣誓書を提出すれば性的少数者であることを明かさなければならず、当事者に精神的負担を与えることになる。行政側の研修や住民理解が不可欠だ」
「現時点では県内唯一の制度導入だけに、越前市以外の市町に転居すればこの権利を手放す結果となる。越前市の人口問題には有利に働くかもしれないが、性的少数者にとっては不自由を強いられることになり、県をはじめ各市町でも同様の制度の導入が不可欠だ。さらに異性夫婦との差を完全になくすような制度改正が理想だろう」
「同性パートナーの関係性に異性夫婦と差があるとは考えにくく、それが権利の違いにつながるのは差別としかいえない」
 同性婚という言葉こそないものの、同性だろうと異性だろうとパートナーシップに違いはない、平等な権利が認められるべきだと明確に述べられているところが素晴らしかったです。



参考記事:
ファミリーシップ制を11月導入 名古屋市が方針示す(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/552463
 
パートナー制度導入を 旭川の市民団体が要望書提出(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/731135
旭川市がパートナー制度導入へ 市議会で市長が方針、時期は言及せず(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/736405

小樽市にパートナーシップ制度 市長、来年度導入方針(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/731218

大田原市がパートナーシップ制度導入へ 10月から(下野新聞)
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/637010

那須塩原市パートナー制度導入へ 低所得者世帯に5万円給付(下野新聞)
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/638125

栃木 下野市議会 性的マイノリティーへの発言 議員が謝罪(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20220927/1000085283.html

佐渡市がパートナーシップ制度導入を検討 市長「できるだけ早い形で」(新潟日報)
https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/113745

パートナー制度 第1号 白山市 2人に婚姻準じた権利(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/550216

「いつか結婚できる日が来るまで」パートナーシップ宣誓制度 金沢市で導入1年… 10組が宣誓も行政サービスの拡充が課題に(北陸放送)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/164158

広島県海田町がパートナー制 10月から、導入5市町とも連携(中國新聞)
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/218178

多様性認め合うまちへ 豊見城市がレインボー宣言 沖縄県内で3例目(琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1589879.html
「みんなちがってみんないい」性の多様性を尊重するまち宣言 県に続き4自治体目 沖縄、豊見城市(沖縄タイムス)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1030549

同性パートナー制度 越前市からの広がり期待(福井新聞)
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1634759
 

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