2023/10/13

HIV/エイズを終わらせるには、どうすればいいの?

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ゲイたちには切り離せない話題「HIV/エイズ」。

そんなHIV感染を2030年までに“終わらせる”ことを目標にしたシンポジウムが105日に都内で開催された。

 

主催したのは、HIV治療薬を手がける「ギリアド・サイエンシズ」で、国内のHIV啓発団体、HIV研究を行う医師らが多数参加した。

 

HIVを終わらせることなんてできるの??」

そう思った人も多いだろう。

 

今回はそのシンポジウムから、最新のHIV/エイズ状況、PrEPについてなど、気になる情報をピックアップして紹介。

 

 

国内のHIV啓発団体、HIV研究を行う医師ら

 

HIV感染者、実は減少している!

国立国際医療研究センターの杉浦医師によると、世界ではじめてHIVが発見されたのが1981年。それから約40年間で約4,000万人以上がエイズで亡くなっている。

 

現在、世界には3,900万人のHIV/エイズ患者がいるそうだ。

 

そんなHIV/エイズだが、実はここ数年、日本で減少傾向にある。

2014年のピークを境にガクンと減っているのだ!

 

 

 

 

ちなみに、昨年(2022年)のHIV/エイズの新規感染者数は884人。(内訳はHIV感染者が632人、エイズ発症が252人)。これは過去20年で最小を記録した。

*厚労省のデータから

 

HIVを終わらせるには「PrEP」がカギ

このままのペースで行くと、本当にHIV感染を「ゼロ」にすることができるかもしれない。

 

それには「PrEP」が大きなカギになると、ギリアド・サイエンシズのケネット・ブライスティング社長は語った。

 

PrEPを受けている方は、新しい感染の確率を大幅に低下させています。PrEPは全世界でのHIVの流行の終結に向けての重要なツールでもあります」

 

 

ケネット・ブライスティング氏

 

ご存知の方も多いと思うが、PrEP(プレップ)とは、新しいHIV予防法のこと。

PrEPは方法の名前で、実際は「ツルバダ」や「デシコビ」という薬を飲む。セックス前に服用することで、100%近くHIVを防げるのだ。

 

飲み方は、毎日1錠飲む「デイリー」と、セックスの前後に飲む「オンデマンド」の2つの方法があり、どちらともWHO(世界保健機関)が認めている。

 

ここ数年、日本でもPrEPを始める人が急増している。

専門家によれば、このPrEPの影響もあってHIV感染者が減少しているのでは?との見解もある。

 

 

 

 

ギリアドでは、2030年までにHIVを終結させるべくHIV啓発の6団体と協力して活動し、国への提言も行なっていくそうだ。

 

ちなみにこの「2030年までにHIV流行を終結する」というのは、国連(UNAIDS)が定める国際的なゴール。

 

UNAIDSでは2030年をまでに「3つのゼロ」を掲げている。

 

・差別をゼロにする

・新たなHIV感染をゼロにする

・エイズ関連死をゼロにする

 

検査できる機会を増やすためには?

今回のシンポジウムのなかで、2030年までにHIV感染を終わらせるべく具体的な方法が示された。「検査数の拡大」と「予防手段の拡大」だ。

 

HIV啓発団体「ぷれいす東京」の生島氏によると、保健所以外で検査できる機会を増やすことが重要だと話した。

 

 

「ぷれいす東京」生島氏

 

1つ目は「医療機関」を増やすこと。

HIV検査を行う医療機関が増えること、また利用する当事者が増えることによって、保健所だけでなく広く検査が受けられる。

 

しかし課題としては、保健所は無料・匿名検査だが、医療機関の場合は有料(5000円以上)・記名が必須となるため、金銭的な負担やプライバシーを気にする人は足が遠のく可能性もありそうだ。

 

2つ目は「郵送検査」を増やすこと。

郵送検査とは、自宅に検査キットが届き自分で血液を採取。ネット上ですべて結果がわかるというもの。コロナ禍になり、郵送検査が大幅に増えているそうだ。

 

 

 

 

郵送検査は有料が多いが、それでも検査所に行くのがめんどうな人、対面で人に会うことに抵抗感がある人はメリットを感じて利用している。

 

最近では、HIV団体が行う郵送検査(無料)もあるため、気になる人は調べてみてほしい。

 

「PrEP派 vs コンドーム派」対立をやめて、組み合わせて予防しよう

さきほどのギリアド、ブライスティング社長が語ったように、PrEPHIV終結の大きなカギになる。

実際にPrEPを積極的に導入した都市(ロンドン、サンフランシスコ等)では、HIV新規感染者が大幅に減少している。

 

メリットの大きいPrEPだが、ゲイコミュニティの中で「コンドーム派」と「PrEP派」で対立が起きやすいとも、HIVコミュニティセンター「ZEL」の太田氏は語る。

 

「実際のゲイコミュニティの中でもPrEPを使う人は『コンドームは古い予防法』と言ってしまったり、逆にコンドーム使用側は『PrEPだとHIV以外は予防できないから、他の性感染症を広げているのでは?』といったように、ちょっとした対立が起きやすい」

 

「そうではなく、それぞれの人が自分のニーズに合わせて、組み合わせて予防することが大事です。引き続きコンドームの必要性、そして若年層への性教育も必要だと思います」

 

 

「ZEL」太田氏

 

太田氏が語ったことは非常に重要なポイント。

日本では急速にPrEPが広がっているが、まだまだネガティブな意見を持つ人は多く、それがPrEP普及の妨げになっているかもしれない。

 

「コンドーム or PrEP」ではなく、それぞれのライフスタイルに合った予防手段を選んでいくことはとても大切だろう。

 

ちなみにPrEPは、近々国内承認される可能性があるため、その動向にも注目していきたい。

 

 

 

 

ここ40年、世界中を苦しめてきたHIV/エイズ流行を、あと数年で終わらせるために。

 

ぜひ、読者のみなさんも自分にできる予防法/検査方法を考えてみてはいかがだろうか?

 

 

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